「李歐」 高村薫
簡単に言えば、22歳の吉田一彰(大学生)と美しい殺し屋李歐との、出会いから再会までの15年間のお話。
なんとも……良いです。
ふたりが共有した時間なんて、15年に比べれば一瞬みたいなもので、おまけに肉体的接触など、ほとんどないんだけど、……萌えます。
李歐の、一彰に向かって放つ台詞がいちいち艶っぽくて、腐女子心にぐっときます。
李歐と一彰が結ばれるとしたらどっちが「受け」でどっちが「攻め」なの、などど、余計なお世話的な心配をしながら、寝る間も惜しんで読んでしまいました。(その疑問は最後まで解決しませんでしたけど)
どうしてこの二人が、お互いに惹かれ合い、惚れることになったの?などと、疑問に思ってはいけません。
「一目惚れ」っていうヤツなんですよ、きっと。
なんだ、そのBL小説なみのチープな設定は!などと、怒ってはいけません。
そういうこともあるんですよ。
なにせ、李歐はとっても美しい青年で、一彰は、黙っていても男も女も(ついでに犯罪も)寄ってくる水銀灯だそうですから。
このイントロで引っかかると楽しめませんので、スルーすることを勧めます。
で、互いに惹かれ合った二人は再会を誓い合い「いつか大陸に連れて行ってくれ」という一彰との約束を守るために李歐は生き抜き、一彰は夢見るのです。
とにかく別れてから15年、李歐という人物は人づてに聞く話しの中にしか、登場しません。
ですが、充分李歐は魅力的だし、その生き様に惹かれます。
だいたい、一彰を迎える大地に数千本もの桜を植えるなんて、なんという乙女なんだ、李歐は!(桜千本5億円だそうです)
作品中の随所に登場する桜。
ぜひぜひこの桜に陶酔してみてください。
桜が見ている夢、のようなお話です。
それにしても、このお話、70年代~80年代の頃だと思うんだけど、
わたし、生まれてましたけど、世の中こんなんだったかなぁ?
大陸への夢、とか言われてもピンときませんわぁ。
(水洗トイレのないところへ行きたいと思わないし……。現実的な腐女子ですみません)
一目惚れってきっと運命なんだなと。思い込みも妄執も、貫き通せば運命という大それたものになるのですね。15年の歳月お互いを縛り続けた二人の想いと、それをずっしりと書ききる高村薫に感嘆しました。
大陸、もう少し前に読めばロマンチックだったかもしれませんね(笑)『マークス』は確かに重いし読みづらいです!でも柴田よしきの警察ものより好きな感じです。まだまだ上巻なので頑張ります!
高村薫を読んでしまうと、どうしても柴田よしきは軽く感じてしまいますよね。でもいいんです。それでも練ちゃんのファンです。
ようするに強気の「受け」様が好みなんです。そういう意味で、合田より加納が好きですね。
あの、是非とも英田サキの「さよならを言う気はない」と「愛してる言う気はない」を手にとってみて下さい。見事に麻生と練と被っています!とても好きです。BL至上最強の強気な受けが読めると思いますよ!