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クリエイト速読スクールブログ
書くことが面倒だったのは、書く内容をしっかり考えていなかったからであった
第63期文演(15/1/10~3/7)アンケートです。
きょうは、63期勉強会仮幹事をお願いしたKさんです。
個性的文章です(クセのあるとも、本音ともいいます)。
まず、2014-07-19「自分の受講回数のプラス10回あたりのアンケートが参考になります」で試運転しておいたほうがよいかもしれません
Kさんの文演アンケート
Q.1 当講座をどんな目的で受講しましたか?
A.1 文演で何がおこなわれているのか知りたかったため。ユーキャンで速読講座をはじめたときからずっと、ホームページもブログも読んでいた。しかし文演の内容は皆目わからない。見当もつかない。効能だけたくさん載せて中身は内緒なんてずるいではないか。
とはいえ、クリエイト速読スクールの大将が直々にひらく講座である。面白くないわけがない。緻密なBTRメソッドを作った人の授業である。受けてみたい。講師も全員受講している。
ただ不安もあった。どんな生徒が一緒になるかである。それでも、クリエイトに入会したうえ、現金で56,000円を持参できる覚悟のある人しか受けられない。ならば変な奴はいないだろう。いても俺くらいだろう。それなら心配はない。
Q.2 「文演」を受講して文章への印象で変わったことがありますか?
A.2 文章に疑問を出すことを意識するようになった。こういうつもりで書いたけど、そうは読めないかもしれない、こうも読めてしまうかもしれない、と考えるようになった。
文章が書きやすくなった。書くことが面倒だったのは、書く内容をしっかり考えていなかったからであった。考えていないから行きづまっていただけだった。
読みづらい文章を書く人や、同じ文章を読んでるのに明らかに変な解釈をする人に優しくなった。そのような人々は文章の書きかたを知らないだけだからである。優しくなったかわりに付きあう人を考えるようになった。優しくなれない人とは付きあいたくないからである。
Q.3 宿題の「要約」はどうでしたか?
A.3-1 「授業前」 これまで文章の要約はやったことがなかった。作業に1か月かかってしまった。
まず鉛筆で宿題の文章を書き写してみた。あきらかに削っても大丈夫な文章を消しゴムで消した。語尾の「ですます」も消して、「だである」に換えた。短く書き換えられる部分も整理してみた。前半はなんとか目処がつけられた。
後半が難題だった。全然整理されてくれない。原文と書き写した文を何度も読んだ。こんなことが言いたいのだろう、というところまでは考えられた。なのに、それを原文の言葉を用いて文章にしようとするとできない。おかしい。こんなはずじゃない。いらだちがつのる。そのうち、この文章がなにを言ってるのかわからなくなってきた。 筆者を恨みもした。あの野郎、ややこしい文章こさえやがって。すっと書けよすっと、前後半を750字で。それでも時間が過ぎるばかり。作業は進展しなかった。
逆恨みしてる場合ではなかった。人を恨んでいても要約は完成しない。今までの作業はなかったことにして、あらたに一から考えた。
今度は原文のコピーをとり、すべてを床に並べてみた。全体が一望できて関係がよくわかる。見晴らしがいい。気分もいい。
ハサミを持つ。全体をながめ、明らかに本筋ではない部分にハサミを入れた。幹と枝だけが残った。残った文章を白紙にはりつけて、再びコピーを取った。約3,000字の大まかな見取り図ができた。これをいつも持ちあるき、頻繁に見返した。表現を圧縮したり、言葉を塗りつぶしたり、文の段落を一言で書いてみたりした。
〆切が近づいてきた。さらに圧縮するために段落ごとの内容を声を出して言ってみた。言いまわしにひっかかりのある部分は言いかえながら、何度か繰りかえした。
翌日に〆切が迫った。目をとじて、これまで要約してきた文章全体を頭の中にならべた。イメージボードの要領である。ならべたら目をあけて、見取り図を確認した。頭の中にならべた文章とのずれをなくすようにした。できるまで数回かかった。
パソコンに向かい、頭の中に並べた文章を書き出した。字数は大体あっていた。原文の言葉を確認し、文字数や段落、読みやすさなどを点検した。しかし、これでいいのかという不安がふくらんできた。
当日は、午後4時になったら要約を送信して池袋に向かおうと決めていた。メールを送ったのが4時半だった。わかってはいたが、やめられなかった。
翌週、全員の要約をもらった。一読し、仰天。俺だけ調子が違うじゃないか。 自分のは要約ではなく意訳ではないか。要約の定義について、トコトンまで考えていなかった。
A.3-2 「授業後」 最終回。自分の順番が迫りくるなかこっそりカウント呼吸をしてしまった。松田さんには「おおむね内容は押さえている」と言ってもらえた。体の力がぬけた。要約提出前、松田さんから「Kさんは撃沈するんじゃないですか」と言われていた。なので泣かされるものだとばかり思っていた。上を向いて歩かずにすみ、安堵した。けれど半面、拍子抜けの感もあった。
要約には原文がある。なので要約と原文を突きあわせたときに疑問が出ないようしなければいけない。
カレーの話をする。作る側であれば、今日はカレーですよと言ったなら、カレー粉が入ってないカレーを出すと期待を裏切ることになる。あとからそういうカレーもある、は通用しない。先に言え、となる。カレー粉が入っていれば、肉の種類、野菜の種類、辛さの度合いはバリエーションで納得できる。
食べる側であれば、カレーを食べた話を人にするとき、肉とジャガイモとニンジンとタマネギの入った汁気のあるものを頂きました、では聞いた人はポトフと思うかもしれない、シチューと思うかもしれない、肉じゃがだってあてはまる。これではいけない。はじめにカレーと言いなさい、である。
要約も押さえるべき箇所を押さえていれば、あとはそれぞれの書き方が現れるのが面白い。要点の順番を変えてる人もいた。自分が平易な言葉に置き換えることばかり考えていたのに難しい熟語にまとめてる人もいた。盲点をつかれた。
要約の面白さは定型の面白さだと思った。
Q.4 全体的な感想をお聞かせください。
A.4 1回目の授業を受けて、あれこの感覚なんか覚えてるぞ、と思った。知らない人ばかりのなかで、手ががりのないまま話を聞き、目の前のプリントを読みながら全力で思考をめぐらせる。一瞬、中野サンプラザの会議室が見えた。そうか、堂園さんの歌集のパネルディスカッションのときの感覚だったのか。
短歌も知らず、歌集も読んでないのに堂園さんが主役の会だから面白そうだと参加したのである。ということは、文演の初回の前にすでに文演の先輩の授業を受けていたのであった。
また、同期で様々な人に会えたのもいい経験だった。自分もまだまだだなと思えたのがよかった。
ユーキャンの記録カードに「試行錯誤の一つ一つが自分の蓄積になった」と書いた。文演でもまたたっぷり試行錯誤させてもらえた。受けてよかった。受けてよかったです。
松田さん、2か月間ありがとうございました。授業前などに聞いた話も面白かったです。また聞かせてください。
スタッフのみなさまもありがとうございました。速読、これからも通います。
Kさんは、創作に取り組んでみればいいと思います。
まずは、原稿用紙5枚程度のショートショートからというのはどうでしょうか。 真
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Kさんは、どえらい才能の持ち主ですね。
自分の気持ちをいかに人に伝えるかということに一生懸命なのが、読んでいて伝わってきます。
これだけ取り出してもどうかとは思いますが、最後の《受けてよかった。受けてよかったです。》には泣けましたよ。
ではまた。
こんなにたくさん書いているのにちっともクドクドしくなく、もっと読みたくなる文章ですね。
創作の方もぜひ読ませていただきたいです。
(気が早い?)
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