「子どもの心のコーチング」ーハートフルコミュニケーション・親にできる66のことー
菅原裕子著、2003年、リヨン社発行(二見書房発売)
これは数多ある子育て本とは一線を画す、ちょっと毛並みの違う子育て本です.
著者の元々の仕事は「人材開発コンサルタント」です.ご存知のように組織や企業において、社員の潜在能力を伸ばし、より働きやすい環境を作る仕事ですね.人の能力を開発する事を「コーチング」と言いますが、それを子育てに当てはめたらピッタリだったというのが「ハートフルコミュニケーション」という活動であり、ずばりこの本の内容です.
とういわけで、少々違和感を覚える導入部分ですが、読み進めるうちに頷ける事がたくさん出てきました.
感情論に走りがちな「子育て」論を分析してコーチング理論として再構築しており、むしろその展開・解決法は見事と言うほかありません。
子育てで陥りやすい間違いは「子どもは教えなければ何もできない」という認識.
逆に「子どもはなんでもできる可能性を持っている、親はその過程を見守るだけ」と考えると全てが上手く回転しはじめる.
・・・確かにそうですね。
「ヘルプ」と「サポート」の違い.
「ヘルプ」 → 「できない」人のために、その人に代わってやってあげる事.保護者がするヘルプは親の自己満足でありその時に愛しているのは子どもではなく親自身でしかない(グサグサッ).
「サポート」 → 人を「できる」存在と捉えてそばで見守り、より良くなるために必要な時に手を貸す事.サポートこそが親の仕事.
ここまで言い切られると困ってしまいますが、真実をついていると思います.
他にも「なるほど!」と感心した文言がたくさんありました.
・子どもは、親がこうしろと言う子どもにはなりません.親がやっている通りの子どもになります.
・子どもが育つプロセスには母性と父性の両方が必要.包み込んで優しく愛する母性(そのままの自分が最高だと教える母性)と、距離を置き本来学ぶべき事を学ばせる父性(自分を抑制することを教える父性)です。母性と父性が一つになった時、子どもの自立は促されるのです.
また、「聞く技術」のところでは、自閉症に行う教育プログラムである「インリアル・アプローチ」を思い出しました.
その基本は「SOUL」
S:silence・・・静かに彼が話すのを待つ
O:observation・・・彼が何を考えているのか観察する
U:understand・・・彼の事を理解しようとする
L:listen・・・彼の話を聞く
すると、自発的な行動、言葉が生まれてくるのです.共通するものがありますね.
「待つこと」「聞くこと」・・・親が苦手なことです。その前に「ひとこと」言ってしまうことの方がなんと多いことか。
しかし、現在社会をにぎわす子ども関係の問題が、子育ての姿勢を見直すことで解決するのでしょうか.
「話を聞いて気持ちを受け止める事が大切」と書いてありますが、受け止める側の母親自身はどうでしょうか.
彼女が夫に「話を聞いて気持ちを受け止めて」もらっていないと難しいのではないでしょうか.
その夫はどうでしょう.会社で自分の考えを受け止めてもらい充実した仕事をできているでしょうか.ストレスまみれの中間管理職だったら家庭に帰り妻の話を聞く心の余裕なんてないのでは?
つまり、現代社会が「人の話を聞けない」心の余裕のない状態です.社会が病んでいるとそのツケは弱い子どもにのしかかるのだと思います.
菅原裕子著、2003年、リヨン社発行(二見書房発売)
これは数多ある子育て本とは一線を画す、ちょっと毛並みの違う子育て本です.
著者の元々の仕事は「人材開発コンサルタント」です.ご存知のように組織や企業において、社員の潜在能力を伸ばし、より働きやすい環境を作る仕事ですね.人の能力を開発する事を「コーチング」と言いますが、それを子育てに当てはめたらピッタリだったというのが「ハートフルコミュニケーション」という活動であり、ずばりこの本の内容です.
とういわけで、少々違和感を覚える導入部分ですが、読み進めるうちに頷ける事がたくさん出てきました.
感情論に走りがちな「子育て」論を分析してコーチング理論として再構築しており、むしろその展開・解決法は見事と言うほかありません。
子育てで陥りやすい間違いは「子どもは教えなければ何もできない」という認識.
逆に「子どもはなんでもできる可能性を持っている、親はその過程を見守るだけ」と考えると全てが上手く回転しはじめる.
・・・確かにそうですね。
「ヘルプ」と「サポート」の違い.
「ヘルプ」 → 「できない」人のために、その人に代わってやってあげる事.保護者がするヘルプは親の自己満足でありその時に愛しているのは子どもではなく親自身でしかない(グサグサッ).
「サポート」 → 人を「できる」存在と捉えてそばで見守り、より良くなるために必要な時に手を貸す事.サポートこそが親の仕事.
ここまで言い切られると困ってしまいますが、真実をついていると思います.
他にも「なるほど!」と感心した文言がたくさんありました.
・子どもは、親がこうしろと言う子どもにはなりません.親がやっている通りの子どもになります.
・子どもが育つプロセスには母性と父性の両方が必要.包み込んで優しく愛する母性(そのままの自分が最高だと教える母性)と、距離を置き本来学ぶべき事を学ばせる父性(自分を抑制することを教える父性)です。母性と父性が一つになった時、子どもの自立は促されるのです.
また、「聞く技術」のところでは、自閉症に行う教育プログラムである「インリアル・アプローチ」を思い出しました.
その基本は「SOUL」
S:silence・・・静かに彼が話すのを待つ
O:observation・・・彼が何を考えているのか観察する
U:understand・・・彼の事を理解しようとする
L:listen・・・彼の話を聞く
すると、自発的な行動、言葉が生まれてくるのです.共通するものがありますね.
「待つこと」「聞くこと」・・・親が苦手なことです。その前に「ひとこと」言ってしまうことの方がなんと多いことか。
しかし、現在社会をにぎわす子ども関係の問題が、子育ての姿勢を見直すことで解決するのでしょうか.
「話を聞いて気持ちを受け止める事が大切」と書いてありますが、受け止める側の母親自身はどうでしょうか.
彼女が夫に「話を聞いて気持ちを受け止めて」もらっていないと難しいのではないでしょうか.
その夫はどうでしょう.会社で自分の考えを受け止めてもらい充実した仕事をできているでしょうか.ストレスまみれの中間管理職だったら家庭に帰り妻の話を聞く心の余裕なんてないのでは?
つまり、現代社会が「人の話を聞けない」心の余裕のない状態です.社会が病んでいるとそのツケは弱い子どもにのしかかるのだと思います.