医師のボランティアで行われている学校健診。
そこでは「症状のないレベルでの病気のスクリーニング」が行われています。
「ん、これは怪しい…病院で検討してもらった方がよい」と判定すると、
「受診勧告」という書類が発行されます。
しかし現実は、受診勧告をもらった生徒の3割しか病院を受診していません。
医師は無力感を感じます。
外来診療の合間を縫って時間を作り学校健診に出かけ、
数時間かけて診察しまくり、
グッタリ疲れて帰ってくるのが開業医にとっての“学校健診“です。
そしてせっかく「病気が隠れているかもしれない」と抽出して病院での検討を指示しても、
守られていないのです。
もう、健診の意義が崩壊しています。
生徒側からすると“症状がない”から“受診の必要あるの?”
くらいにしか捉えていないのですね。
とくに肥満の生徒に受診勧告を出しても受診率が低いです。
そのような生徒の家族もたいてい、同じ体型もしています。
生徒と家族にとって「これが当たり前、問題ない」のですね。
肥満児の医療機関受診率をどうすれば上げることができるのか?
…これは地道な啓蒙しかないと思われます。
というわけで、読売新聞の記事を紹介します。
短い記事なのでサラッと読めます。
要点は、
・BMI25以上 → 肥満
・BMI25以上+検査値異常 → 肥満症
・メタボ(メタボリック症候群) → 内臓脂肪がたまる病態
となります。
ですから、肥満か肥満症かは検査をしなければわからないのです。
肥満症は将来の生活習慣病のハイリスク者です。
現在症状がなくても、今から対策を立てることにより成人後に病気で悩む確率を減らすことができます。
▢ 肥満、肥満症、メタボの違いは?…太るのは、自己管理ができていないからなのか
(2024年12月2日:読売新聞)より一部抜粋(下線は私が引きました);
Q 太って、おなかの脂肪が気になる。血圧も高いし。
ヨミドック それは単なる「肥満」ではなく、「肥満症」かもしれません。
Q 肥満と肥満症は違うの?
ヨ 肥満は体格指数(BMI)が25以上の体格を指す言葉で、特定の病気がなければ治療の対象にはなりません。しかし、BMIが25以上で、糖尿病や高血圧など11種類の健康障害のうち一つが該当するか、そのリスクが高い場合には、肥満症と診断されます。肥満症は適切な治療を受けることが必要です。
Q メタボリックシンドロームという言葉もよく聞くね。
ヨ 内臓脂肪症候群とも呼ばれますが、肥満や肥満症とは異なる考え方です。内臓脂肪がたまると動脈硬化につながりかねないため、特定健診などに用いられる分類です。
Q 自分がしっかりしないから太るんだよね……。
ヨ 肥満や肥満症に対しては、思い込みや偏見が根強くあります。遺伝や体質、成育歴など様々な要因が関係するのに、自己管理ができていないなどと、必要以上に個人の責任を問われる傾向があるためです。こうした負の印象はスティグマと呼ばれ、苦しむ人が多くいます。
スティグマにとらわれ、「肥満は自己責任。医療の対象ではない」といった誤解が生じると、適切な治療の機会が奪われかねません。関連する学会は、肥満や肥満症に対する知識を普及させ、治療に前向きに取り組めるよう活動しています。
Q どう治療するの?
ヨ 基本は減量です。医師や管理栄養士らの支援を受けながら、食事や運動、行動など生活習慣を改善します。さらに、食欲を抑える薬を使うこともあります。
BMI35以上の高度肥満症で、これらの治療を6か月ほど続けていても効果がでない場合などには、胃を小さくする外科手術も行われます。一部の肥満症患者は、BMI32以上でも手術の対象となります。
Q 治療を受けた方がいいかな。
ヨ 肥満症かもしれないと思う人は、肥満症専門病院や肥満症の外科手術の認定施設、内分泌・代謝・糖尿病内科など、専門医のいる医療機関に相談してください。
(余門知里/取材協力=横手幸太郎・千葉大学長、佐々木章・岩手医大教授)