“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

ブログ閉鎖のお知らせ

2018年02月23日 07時43分30秒 | 子どもの心の問題
 自分自身への備忘録として始めたブログですが、「ネット上の記事を引用して感想を記す」というスタイルは著作権法違反になるとのご指摘を受けました。
 引用元を明記すればよいのでは(宣伝にもなるし)との考えは、私の勝手な思い込みだったようです。

 2018年3月に閉鎖する予定です。
 ご愛読ありがとうございました。

「一人っ子政策」をやめても増えない人口(中国)

2018年02月15日 06時14分26秒 | 育児
 日本に続く高齢化社会・人口減少のリスクを回避する目的で“一人っ子政策”を終了した中国。
 しかし、期待された出生率上昇は伸び悩んでいます。

 その原因は「子育て費用に尻込みする若い夫婦たち」。
 日本と似たような事情が垣間見えます。

 一方で、一人っ子政策を廃棄したことは、“中国共産党が進めてきた政策は間違いだった”と批判される可能性があることから、舵を切ることに今ひとつ躊躇がある、という要素もある様子。

 生み渋る国民を、中国政府はなだめたり脅したり・・・。

■ 中国「二人っ子政策」の限界、増えない人口 〜一人っ子政策やめても効果なし
2018年2月15日:The Economist:日経ビジネス
 中国政府は人口減少を食い止めるようと、2015年末に一人っ子政策を撤廃し、2016年に二人っ子政策を導入したが効果は全く上がっていない(写真:ロイター/アフロ)
 リー・ドンシャ氏は、赤ん坊の頃から祖父母や親戚に預けられて育てられた。中国北部の山東省の生家から30分ほど離れたところだった。彼女の両親には、そうせざるを得ない理由があった。すでに娘が一人いて、複数の子どもを持つことを禁じる中国の法律を破ったことで、罰金を徴収されたり解雇されたりする恐れがあったからだった。
 政府当局から隠れ、事情を知らされずに育ったドンシャ氏は、ちょうど小学校に入った頃、よく訪ねてくる優しい叔母と叔父が実は本当の両親であることを知った、と言う。ようやく本当の両親の家に戻れた頃には、すでに十代に入っていた。
 ドンシャ氏は現在26歳で、家庭教師を派遣する企業を経営している。特殊な幼少期を過ごすことを彼女に強いたあの時代は、今やはるか昔に感じられる。中国政府は一人っ子政策を2015年末に撤廃し、全ての夫婦は2人目の子どもを持つことが(2016年から)認められたからだ。
 むしろ最近、中国の政治家たちを悩ませているのは、子どもが多すぎることではなく、1980〜90年代生まれの中国人があまり子作りをしていないことだ。国営メディアは1月、2017年に国内で最も多くの子供が生まれた山東省をこぞって褒めたたえた。その生殖能力は「勇気に満ちている」と評した。

◇ 現在予測されている2030年よりも早く、人口減少が始まる
 こうした中国政府の方針転換の根底には、中国の人口動態が大幅に変化していることへの不安がある。出生率は2010年のどん底からやや持ち直しているものの、女性1人が生涯に産む子供の人数は平均で2人未満だ。つまり、人口は早晩、減少に転じることを示している。
 政府は、2030年に人口が14億人強のピークを迎えると予測しているが、もっと早く減少に転じるとみる人口統計学者は多い。
 16~59歳までの労働人口は既に2012年から減少に転じており、2050年までに23%縮小すると予測されている。高齢化が進めば、社会保障財政への負担は重くなり、労働市場の規模の縮小を招く。
 北京大学の梁建章氏は、労働人口が高齢化することで、米国のように人口動態の見通しが明るい国に比べ、中国では企業のイノベーションが停滞してしまう可能性があると指摘する。
 一人っ子政策の撤廃により、事態は改善するはずだった。だが1月に発表された統計によると、出生率は一人っ子政策撤廃直後、一時は上向いたが、その効果は消滅しつつあるという。中国では昨年、1720万人が誕生した。これは一人っ子政策撤廃前に比べれば多いものの、2016年と比べると3.5%減だ。
 米カリフォルニア大学アーバイン校のワン・フェン氏によると、出生数は国家衛生計画生育委員会が一人っ子政策を見直すかどうかを検討していた時の予測より300万〜500万人も少なく、撤廃による効果に懐疑的な専門家の予測さえも下回るという。

◇ 子育て費用に尻込みする若い夫婦たち
 原因は、一人っ子が理想だと何年も言われ続けてきたことに加え、中国が豊かになるにつれ、大きな家族を望む傾向が薄れつつあるからだ。子どもがほしい夫婦への世論調査では、子育てに必要となる巨額の費用に尻込みしているという回答が多い
 多くの若い夫婦は、住宅費が高騰していることや保育施設が不足していることを心配しているのに加えて、いずれ高齢化した親4人を支えるのにお金がかかることが分かっている。
 よって多くの夫婦は、自分たちの時間と収入を2人の子どもに分け与えるよりも1人に集中して注ぎ込み、なるべく良い人生のスタートを切らせてあげるほうが望ましいと判断するようだ。
 一方、高等教育が普及し社会で活躍するチャンスが増えたことで、平均結婚年齢が上昇している。これは世界各国で出生率低下の原因となっているが、中国のように婚外子がタブー視される社会では特に顕著だ。
 家族を作ったり増やしたりすることを考える女性は、依然として職場で差別されるリスクを考慮しなければならない。一人っ子政策が緩和されてから、多くの省では男女両方のために産休や育児休暇を拡充させているが、雇用主が必ずしも制度を導入していないからといって、違反だとして雇用主に罰則を与えるわけではない。
 中国共産党は、こうした障害を解消するための対策が必要だとは認識しているようだ。昨年発表された人口計画に関する文書では、出生率の低下は問題であると認め、出産を奨励するため一連の方策を検討するとしたが、いずれも曖昧なものだった。
 「中国日報」はその翌月、子作りをためらう夫婦のために「奨励金や補助金」などを導入する可能性もあるという、ある政府高官の発言を報じた。
 だが、世界各国で出産奨励策があまり成果を上げていないことからすると、出生率を上げるには膨大な投資が必要であり、保育費を安くすることが優先課題だと考えられる。

◇ 出生率を低く保つのが仕事だった公務員の処遇も問題
 現時点では、中国共産党が出生率を上げるために効果ある対策を打つとは考えにくい。ある程度の人口抑制策は不可欠だとの公式見解をいまだに捨てていないのだから当然だろう。指導者たちが、出生率を低く保つことを仕事としてきた大量の公務員たちを今後どう処遇していくかを検討している間は、二人っ子政策を完全に撤廃し産児制限をなくすことは難しいかもしれない。
 かつては一人っ子政策によって中絶や避妊手術などを強要していたこともあり、あまりに早急に産児制限をなくす方向に転換すれば、これまで共産党が掲げてきた厳しい一人っ子政策は「間違っていた」と認めることになるという点も懸念しているのだろう。
 明確な戦略がなければ、出産を奨励しようとしても、断片的で効果のない政策になってしまう。中国共産党の各機関が結婚の喜びについてこれまでになくアピールするようになっているのは、出生率を上げたいとの狙いもあるもしれない。
 また、共産党指導者の間に社会的な保守主義が広まっていることも一因かもしれない。じわじわと浸透しつつある海外の文化は危険なので、「伝統的」な中国の文化を推進したいという考え方だ。それは、未婚の男性が増えすぎると社会秩序が脅かされるという懸念だ。
 実際、中国共産主義青年団はここ数年、愛国的な独身者を招待して婚活イベントを開催し続けている。

◇ 「結婚しない女性」への“脅し”戦略も…
 政府が(出生率を上げようとするあまり)多忙で野心的な女性が家庭に入ることを促してしまうことにも懸念がある。作家であり学者でもあるリータ・ホン・フィンチャー氏は、国営メディアが「売れ残りの女性」という概念を広めるのに加担していると指摘する。
 これは20代半ば以降の未婚女性を指す侮辱的な言葉で、都市部に住む高学歴の中国人女性に、自分の望みよりも早い段階で身を固めないと、「売れ残り女性」と見なされるようになると“脅す”意図がある。
 同氏によると、こうしたプロパガンダはますます積極的に展開されているという。官僚たちが本当にこのような解決策を練っているのであれば、ベビーブームを期待しても“死産”に終わってしまうだろう。


©2018 The Economist Newspaper Limited.
February 10th-16th 2018| From the print edition, All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。

「自閉スペクトラム症」の人を取り巻く困難さ

2018年02月13日 06時55分06秒 | 発達障害
 近年、「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などの病名が「自閉症スペクトラム」という表現に統一されました。これらの病態にはハッキリ分けられる境界線が存在せず、連続的なものであることがわかってきたからです。
 そして、この疾患は他人事ではなく身近です。
 ちなみに、東大生の4人に1人はアスペルガー症候群であるとTV報道で耳にしたこともあります。
 どんな風に捉えるべきか、参考になる記事を紹介します;

※ 下線は私が引きました。

■ 「自閉スペクトラム症」の人を取り巻く困難さ
2018/2/12:東洋経済)備瀬 哲弘 :精神科医
 近年、テレビや新聞、雑誌などで「大人の自閉スペクトラム症」が取り上げられることが増えました。実際、自閉スペクトラム症(以下、ASD:Autism Spectrum Disorder )は「10人に1人は抱えている」とも言われています。
ではASDとは、いったいどのような症状を言うのでしょうか。『大人の自閉スペクトラム症』を刊行し、職場での深刻な現状を豊富な事例とともに取り上げた精神科医・備瀬哲弘氏にお聞きしました。

◇ 自閉スペクトラム症は、もはやひとごとではない
 筆者のところには“生きづらさ”を感じている人たちが多く診察に訪れます。そして生きづらさの原因を探し求める過程で、「ASD」に行き着く人が実に多いのです。
 ASDとは「従来は自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症などを含む広汎性発達障害と包括されていた疾患を、知的レベルや特性に強弱はあるが、その基本的な特性によって連続している(スペクトラムは連続帯と訳される)ととらえ直した概念」のことです。
 ASDの特性としては、空気が読めず、思ったことをすぐ口に出し、その結果として相手をすぐに怒らせる、極端にこだわる、落ち着きがない、同僚との雑談が苦手などを挙げることができます。ただ、程度の差こそあれ、少なくともこれらの特性の1つは、誰にでも当てはまるかと思います。
 ではASDの人は、生きるうえで「どう困っているのか」「何が生きづらくさせているのか」、4つのケースを紹介します。

 30代女性事務員のBさんは、子どもの頃から余計な一言をつい言ってしまい、人を怒らせたり、不愉快にさせたりしてきました。年を重ねるにつれ、言葉をのみ込めるようになってきているとはいうものの、それでもうまくいかないことのほうが多いとのことです。また、空気が読めず、場の雰囲気を乱すようなことばかりしています。Bさんはよどみなく話すことができますが、どこかまくし立てるように、せわしなく話す印象を受けます。

 40代男性会社員のIさんは、幼い頃から内気で引っ込み思案な性格です。興味があることに没頭すると周りの状況が見えなくなり、ほとんどの時間を一人で過ごしてきました。就職してからは、人付き合いやコミュニケーションが不得意ということで、上司や同僚、後輩たちからも、「付き合いが悪い」「空気が読めない」「コミュ障(コミュニケーション障害)」などと、叱責されたり、陰口を言われたりすることが続いています。

 10代女子大生のEさんは、他人の心情を想像するのが苦手です。そのため自分が“わからないこと”を質問すると、かなりの頻度で相手に誤解されてしまいます。相手を責められているような気持ちにしたり、相手が怒り出したりするのです。それでもただ単にわからないから聞いているだけなので、なぜ誤解されてしまうのか、わからないのです。

 20代男性会社員のRさんは、子どもの頃から人間関係が苦手で、トラブルになることが多々ありました。自分は間違ったことを言っていない、と思っても、相手が怒り出すというのです。これまでの経験から、自分が主張を曲げないことで相手を怒らせることが多かった、と自覚をしているので気をつけているのですが、社会人になってからもトラブルが続いています。弟がASDという先輩の勧めで、私のところに受診しにきました。

 このように多くの人が持っている特性だとしても、ASDの人はその度合いが強いために問題となってしまい、生きづらさを感じているのです。

◇ 誤解を解いていくことが”生きづらさ”を解消するカギ
 大人のASDの人の生きづらさの原因の1つは、周囲の人たちから「誤解され続けている」ということです。
 彼らは、事実とは異なる誤った理解に基づいて、実際よりもネガティブな評価を下される可能性が高い状況にあります。筆者は、周りの人が彼らに対して冷淡な視線を向けたり、素っ気ない態度を取ったり、面倒くさそうな口調になってしまうのではないかと心配になることがあります。
 彼らは幼い頃から、接する人のほとんどから誤解を受け続けていることも少なくないため、生きづらいと感じたとしても、なんら不思議ではありません。
 これは、なにもASDの人だけの問題ではありません。周囲の人にとっても、大きなストレスになります。事情がなんであれ、人にネガティブな態度で接し続けることは、不快な気持ちになるからです。これも、生きづらい状態に違いないのです。
 お互いの生きづらさを解消するために、できるだけ誤解を解いていくことが必要です。つまり、お互いをより適切に理解していくことが大切です。
 ASDは生来の「特性」であるため、本人の努力が足りなかったり、親のしつけが悪かったわけではありません。このことが十分に理解できたとしても、不快な気持ちにさせられると、お互いに理解するのは不可能、と思われる方も少なくないでしょう。その気持ちは、よくわかります。
 それでも私は、コミュニケーションを取る前からあきらめることなく、繰り返しコミュニケーションを取ってほしい、と願わずにはいられません。その積み重ねによって、想像もできなかったほどよい状況になっていくことがあるからです。
 ASDの特性は、ネガティブなものばかりではありません。特定の分野では、ほかの多くの人が到底及ばないほどの高い能力を発揮し、偉業を成し遂げる人も珍しくないのは、広く知られている事実です。
 また、たとえ偉業と呼ばれるほどでない場合でも、ASDの特性がある自分の「ありのまま」を理解し、受け入れ、周囲の人にも「ありのまま」を理解してもらうことで「生きやすさ」を感じるようになった人は数多くいます。
 ASDの特性は、基本的に生涯持続します。ただ、生きづらさは生まれ持ったものではありませんし、生涯その状況が持続するとは限りません。たとえいま生きづらいと感じていても、これからの未来に「生きやすさ」を感じられるような「変化を起こす」ことは、いまからでも、誰にとっても可能なことなのです。

◇ 無理のない「共助」が持続的なサポートにつながる
 では、具体的にはどうすれば変化を起こすことができるでしょうか。
 大人のASDに対するサポートは、ASDの人の「自助」、つまり、他人の力を借りることなく、自分の力で切り抜けることの割合が高くなります。「大人」ですから、自分で解決すべきと期待されやすいからです。
 ただ、ASDの人は、自分自身を客観的に見ることが苦手です。また、社会的コミュニケーションが苦手という特性があります。「他者の心情を適切に想像すること」が苦手なために生じている問題です。自助だけで不十分な場合は周囲からのサポート、つまり「共助」が必要で、重要なウエートを占めることになります。
 たとえば、職場でASDの人が心掛ける「自助」として、先輩や上司の評価基準や価値観についての情報を収集することが挙げられます。情報収集の方法としては、先輩や上司が自分以外の他者と接している時の様子をよく観察するという方法があるでしょう。
 「ああいうふうに振る舞えば、上司が怒り出すことはないのだな」と、観察をして評価を下げないような言動を探っていくわけです。
 さらに、先輩や上司から注意を受けることへの対処法がわからずに悩んでいるのなら、改まって相談をして、意見を仰ぐのもいいでしょう。「相談に乗って話を聞いてくれる」とか「アドバイスをしてくれる」などのサポートが得られる可能性も出てくるからです。すなわち、ASDの人が「共助」を得る可能性を高めることにつながるわけです。
 たとえば、「あの人は、進捗状況を子細に把握していないと不安になってきて、それでお説教が始まるから、細かく状況報告をするといいよ」「指示された内容だけでなくて、全体の状況を踏まえて資料を用意していることをアピールすれば、安心してもらえるし評価もよくなるよ」という具合に、ASDの人が自ら相談をしてみることによって初めて、具体的な対処法を助言してもらえる可能性が出てくるわけです。
 当人が繰り返し取り組み続けているからこそ、周囲の人も、あれだけ苦労しているのなら何か協力したい、という気持ちが自然と湧き上がってくることもあります。
 このような状況になってくると、ASDの人本人にとっても、周囲の人にとっても、生きづらさが軽減する可能性が高まるのではないでしょうか。


 日本人特有の「言わなくてもわかってもらえる」「空気を読む」スタンスを捨てて、鉄道員の指さし確認のように、コミュニケーションを取りつつ、一つ一つの段階を確認しながら物事を進めていくというスタンスが必要と思われます。
 自閉症者には「日本語が第二外国語のように聞こえる」そうですが、それをヒントにして、ASDの方を「外国人と同じように捉えて理解を求める、丁寧に説明する」ようにしたらうまくいくかもしれません。

“愛をください”症候群(ストーカー、痴漢、境界性パーソナリティ障害)

2018年02月06日 07時39分27秒 | 心の病
 NHK-Eテレ、ハートネットTVで「メンタルヘルス入門」という番組が放送されました。
 1は病気としての「痴漢」の治療、2は「境界性パーソナリティ障害」です。
 進行役はタレントの壇密さん。

 なぜこの項目に入れたかというと、その根源が子ども時代の経験に大きく依存しているから。

1 痴漢を治す条件反射制御法
2017年9月19日



 最近よく耳にするようになった「メンタルヘルス」。私、壇蜜と一緒に基本から学びませんか?精神疾患の世界的診断基準であるDSM-5では、さまざまな精神疾患が解説されています。悪夢障害、露出障害、フェティシズム障害など、種類は実にさまざま。壇蜜さんが、白衣姿の精神科研修医に扮し、精神疾患の症状や治療法をわかりやすく学んでいきます。
 世間を騒がせている痴漢。千葉市にある国立病院機構・下総精神医療センターでは、条件反射制御法という治療法で、痴漢を繰り返す人を治療しています。精神疾患の世界的な診断基準であるDSM-5には、痴漢を反復して犯す症状が「窃触障害」として記載されています。何度も刑務所に入ったにも関わらず、痴漢をやめられないという男性の治療に密着。マネキンをさわっているうちに、どんどん痴漢への欲求が消えていくという最先端の治療法をご紹介します。タレントの壇蜜さんが、痴漢の治療について学んでいきます。


 人間の脳の役割を大きく分けると、動物脳(本能)と人間脳(理性)に分けられます。
 動物脳の行動の基本は生き抜くために「食べる」「セックスする」「守る」。
 しかし本能を野放しにすると社会生活ができないので、人間脳の理性で制御するのが現代社会です。

 ここで、子ども時代に過酷な生活(虐待やDV目撃)にさらされると、「殺される、生き延びなくちゃ」という本能がむき出しになる。
 大人になっても本能を理性で制御できなくなり、この表現形の一つが「痴漢」(セックスに繋がる行為)と説明されていました。

 人間性を回復させる(むき出しの本能を理性でコントロールする)にはどうしたらよいのか?

 究極の治療は、「条件反射制御法」という、「動物脳に“失敗経験”をさせ続ける」手法でした。
 病的な痴漢常習入院患者に、マネキンを使って痴漢を疑似体験させます。
 柔らかい女性の胸の感触を期待して触ってもプラスチック製の硬いものだった、というガッカリ感を繰り返すことにより、動物脳がこの行為から興味を失っていくというカラクリ。
 紹介例では、マネキンタッチを何百回も繰り返すことにより、最初は「ドキドキした」「快感だった」が、徐々に失われて最後は「別に何にも感じない」になっていき、その変化に驚きました。

 番組の中では万引き常習犯も紹介されました。こちらは太古の「狩猟」行為がむき出しになったと考えます。同じ「条件反射制御法」で軽快。

 この治療法の開発者である平井愼二医師、以前ストーカー加害者の治療「ストーカー 私が加害者になった理由」でも登場しました。今回の番組の方が理解しやすい構成でした。

2 境界性パーソナリティ障害
2017年9月20日
 今回のテーマは、「境界性パーソナリティ障害」。見捨てられることがとても不安で、リストカットなどの自傷行為を繰り返してしまう。境界性パーソナリティ障害と診断された女性の本音、そして、恋人が境界性パーソナリティ障害だったという男性の声から、この障害の本当の姿を明らかにします。


 境界性パーソナリティ障害では「見捨てられ不安」が強い、と説明されていました。
 これも子ども時代に親の愛情が得られず、ずっと愛に飢えていることが引き金になっています。

 日本では子どもがすこやかに育つ環境が徐々に失われてきています。