便秘治療で通院しているお子さんの診療では食事内容が話題になることがあり、
そこで決まって出てくる単語が「偏食」「好き嫌い」です。
しかし私は指導する資格がありません。
なぜって、私の子どもがすごい偏食で、
ラーメンとポテトチップスとローソンのからあげクンで生きていました。
中学生になるまで食パン以外給食をほとんど食べられませんでした。
なので教科書で読んだ通り一辺のことしかアドバイスできません。
・苦い野菜は本能的に“毒”と感じますから、最初から食べないのは当たり前。
・料理は塩や砂糖で強く味付けするのではなく「ダシ」をうまく利用しましょう。
等々。
肝心の便秘対策としては、
・水溶性食物繊維:海藻類、ネバネバ系食品
・不溶性食物繊維:野菜類、糸寒天(おススメです)
を紹介してます。
近年、サンファイバーという製品が話題になりましたが、
毎日食べると高くつきますので紹介はしていません。
なお、野菜ジュースには食物繊維は含まれていませんので、
便秘対策としては有効ではありません。
こちらの販売会社「伊藤園」のインタビュー記事でも、
「当社の野菜ジュースは、水に溶けない不溶性の食物繊維は搾りかすとして取り除きますが、
水溶性の食物繊維は野菜ジュースの中に若干残っています」
と本来期待する不溶性食物繊維が含まれていないことを明言しています。
さて、NHKの育児番組「すくすく子育て」に好き嫌いをテーマにした回がありましたので、
内容を一部抜粋・引用して紹介させていただきます。
ご意見番・コメンテーター;
・太田百合子氏(東洋大学 非常勤講師/管理栄養士)
・宮里暁美氏(お茶の水女子大学 特任教授/保育学)
・宮里暁美氏(お茶の水女子大学 特任教授/保育学)
余談ですが、私の子どもはこの番組の最後にある「視聴者の写真投稿コーナー」で一度登場したことがあります(^^)。
あのときのナレーションは清水ミチコさんだったなあ。
・・・「甘味(あまみ)」「うまみ」「塩味(えんみ)」には大切な栄養素が含まれています。
お米や芋類の「甘味」は、炭水化物で、エネルギーの元です。
肉や魚の「うまみ」は、アミノ酸で、体を作ります。
「塩味」はナトリウムで、私たちに必要なミネラルをとることができます。
一方で、「酸味」には腐敗のイメージがあり、「苦味」は毒のようなサインが感じられます。そのため、少し怖いと思ってしまい、野菜が苦手になりがちなのです。(太田百合子氏)
一方で、「酸味」には腐敗のイメージがあり、「苦味」は毒のようなサインが感じられます。そのため、少し怖いと思ってしまい、野菜が苦手になりがちなのです。(太田百合子氏)
・子どもは、3歳ぐらいでようやく全ての歯が生えそろいます。それまでは、繊維質のものや、ほうれんそうの葉のように薄いものを、歯ですりつぶすことができません。(太田百合子氏)
・野菜に含まれる栄養は、ほかの食材からもとることができます。果物や芋類など、ほかのものが食べられていれば大丈夫です。(太田百合子氏)
やはり、本能的に「苦み」(と「酸味」)は受け付けないようにできている、ということですね。
便秘対策としての野菜摂取についての回答です。
・いいウンチを作るには、食物繊維と水が必要です。・・・果物や芋類など、他の食材からもとることができます。
例えば、食物繊維は、納豆からもとれます。やわらかいので、小さな子どもにも食べやすいですね。
なめこなどの、きのこ類にも含まれます。
苦手な食材であれば、こまかくしてスープにするのもいいでしょう。いろいろなものを組み合わせて食物繊維をとってください。(太田百合子氏)
成人領域の便秘治療のWEBセミナーを聞くと、
「水分はみんなが思っているほど便秘に影響しない」
という説明が近年多くなりました。
小腸・大腸で1リットル単位の水分の吸収や分泌が行われているので、
100ml単位の差は関係ないとのこと。
まだ栄養士さんまで知識が普及していないのかな。
それから、ASD(自閉スペクトラム症)児はキノコが苦手です。
あのグニャッとした食感がダメらしいです。
次は、
「いろいろ工夫して食べさせようとしているけど失敗続きでつらい」
「苦手な野菜がわからないように料理しているのに・・」
という質問への回答です。
・苦手な食材をわからないようにして、「栄養があるからね」と言って食べさせても、子どもは「だまされた」と感じることもあります。
すると、「今度は何を入れたの?」と、疑心暗鬼になってしまいます。
苦手な食材でも、例えば、にんじんは「にんじんだよ」と見せてあげることも大事だと思います。(太田百合子氏)
・頑張り過ぎるのはあまりよくありませんが、工夫することは大切です。
例えば、味や形状はごまかさずに、大きさや硬さは、子どもの発達に合わせて調理してみてください。(太田百合子氏)
最近の育児書を読んでも、このような
「工夫し過ぎると逆効果のこともある」
という表現が多いですね。
昔は「食材がわからないように細かく刻んで料理に仕込む、
お母さんの腕の見せ所ですよ」と書かれていたと記憶しています。
次は「食べられない子にどう声をかけたらよいか?」という質問への回答です。
・「これを食べないと、大きくなれないよ。病気になるよ」のように、子どもを怖がらせるような言葉がけはやめましょう。
かえって、子どもが不安になってしまいます。(宮里暁美氏)
・「今」は諦めることも、ときには大切です。
その食材を食べないと病気になってしまうわけではありません。
「今はいいか」と考えてもいいのではないでしょうか。
ただ、苦手な食べものを、食卓にのせ続けることは重要です。
ただ、苦手な食べものを、食卓にのせ続けることは重要です。
まわりの人が、おいしそうに食べる様子を見せておくのです。
いずれ、「親が『おいしい』と言っていたな」と思い出されて、食べるようになることだってあるのです。(宮里暁美氏)
うちの子どもも、「友達が美味しそうに食べていたから食べてみたら食べられた」がキッカケになりました。
元々は「本能的に危険な食べ物」と避けることが「好き嫌い」のはじまりですから、
「慣れさせる」「危険ではないことを繰り返し教える」ことも解決の糸口になりそうです。
「あきらめないで食卓に出し続ける、10〜20回続ければ慣れてくる」
「一緒に買い物に行って子どもに選ばせたり、その絵を描いたりと日常に取り込む」
などが役立つと云ってました。
そして最後のコメント。
・幼児期は、自己主張の時期です。食べ物の「好き嫌い」を含めて、たっぷり出させてあげるのが大事です。
自己主張を受け止める大人は大変かもしれません。
でも、受け止めてもらえた愛情や関わり方が土台となって、我慢を覚えていきます。
そして、繰り返しになりますが「食事は楽しく」を大事にしてください。(太田百合子氏)
やはりここでも子どもの気持ちを受け止めきれないまま、
親が「大人ルール」にはめ込もうとして子どもとぶつかる構図が見え隠れしてきます。
<参考>
▢ 食事の悩み ~子どもの好き嫌い~(すくすく子育て)