“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

子どもの “偏食” “好き嫌い” への対処法

2022年05月25日 15時09分25秒 | 育児
便秘治療で通院しているお子さんの診療では食事内容が話題になることがあり、
そこで決まって出てくる単語が「偏食」「好き嫌い」です。

しかし私は指導する資格がありません。
なぜって、私の子どもがすごい偏食で、
ラーメンとポテトチップスとローソンのからあげクンで生きていました。
中学生になるまで食パン以外給食をほとんど食べられませんでした。

なので教科書で読んだ通り一辺のことしかアドバイスできません。

・苦い野菜は本能的に“毒”と感じますから、最初から食べないのは当たり前。
・料理は塩や砂糖で強く味付けするのではなく「ダシ」をうまく利用しましょう。

等々。

肝心の便秘対策としては、
・水溶性食物繊維:海藻類、ネバネバ系食品
・不溶性食物繊維:野菜類、糸寒天(おススメです)
を紹介してます。

近年、サンファイバーという製品が話題になりましたが、
毎日食べると高くつきますので紹介はしていません。

なお、野菜ジュースには食物繊維は含まれていませんので、
便秘対策としては有効ではありません。

当社の野菜ジュースは、水に溶けない不溶性の食物繊維は搾りかすとして取り除きますが、
水溶性の食物繊維は野菜ジュースの中に若干残っています

と本来期待する不溶性食物繊維が含まれていないことを明言しています。

さて、NHKの育児番組「すくすく子育て」に好き嫌いをテーマにした回がありましたので、
内容を一部抜粋・引用して紹介させていただきます。

ご意見番・コメンテーター;
・太田百合子氏(東洋大学 非常勤講師/管理栄養士)
・宮里暁美氏(お茶の水女子大学 特任教授/保育学)

余談ですが、私の子どもはこの番組の最後にある「視聴者の写真投稿コーナー」で一度登場したことがあります(^^)。
あのときのナレーションは清水ミチコさんだったなあ。

・・・「甘味(あまみ)」「うまみ」「塩味(えんみ)」には大切な栄養素が含まれています。
お米や芋類の「甘味」は、炭水化物で、エネルギーの元です。
肉や魚の「うまみ」は、アミノ酸で、体を作ります。
「塩味」はナトリウムで、私たちに必要なミネラルをとることができます。
一方で、「酸味」には腐敗のイメージがあり、「苦味」は毒のようなサインが感じられます。そのため、少し怖いと思ってしまい、野菜が苦手になりがちなのです。(太田百合子氏)

・子どもは、3歳ぐらいでようやく全ての歯が生えそろいます。それまでは、繊維質のものや、ほうれんそうの葉のように薄いものを、歯ですりつぶすことができません。(太田百合子氏)

・野菜に含まれる栄養は、ほかの食材からもとることができます。果物や芋類など、ほかのものが食べられていれば大丈夫です。(太田百合子氏)

やはり、本能的に「苦み」(と「酸味」)は受け付けないようにできている、ということですね。

便秘対策としての野菜摂取についての回答です。

・いいウンチを作るには、食物繊維と水が必要です。・・・果物や芋類など、他の食材からもとることができます。
例えば、食物繊維は、納豆からもとれます。やわらかいので、小さな子どもにも食べやすいですね。
なめこなどの、きのこ類にも含まれます。
苦手な食材であれば、こまかくしてスープにするのもいいでしょう。いろいろなものを組み合わせて食物繊維をとってください。(太田百合子氏)

成人領域の便秘治療のWEBセミナーを聞くと、
「水分はみんなが思っているほど便秘に影響しない」
という説明が近年多くなりました。
小腸・大腸で1リットル単位の水分の吸収や分泌が行われているので、
100ml単位の差は関係ないとのこと。
まだ栄養士さんまで知識が普及していないのかな。

それから、ASD(自閉スペクトラム症)児はキノコが苦手です。
あのグニャッとした食感がダメらしいです。

次は、
「いろいろ工夫して食べさせようとしているけど失敗続きでつらい」
「苦手な野菜がわからないように料理しているのに・・」
という質問への回答です。

・苦手な食材をわからないようにして、「栄養があるからね」と言って食べさせても、子どもは「だまされた」と感じることもあります。
すると、「今度は何を入れたの?」と、疑心暗鬼になってしまいます。
苦手な食材でも、例えば、にんじんは「にんじんだよ」と見せてあげることも大事だと思います。(太田百合子氏)

・頑張り過ぎるのはあまりよくありませんが、工夫することは大切です。
例えば、味や形状はごまかさずに、大きさや硬さは、子どもの発達に合わせて調理してみてください。(太田百合子氏)

最近の育児書を読んでも、このような
「工夫し過ぎると逆効果のこともある」
という表現が多いですね。
昔は「食材がわからないように細かく刻んで料理に仕込む、
お母さんの腕の見せ所ですよ」と書かれていたと記憶しています。

次は「食べられない子にどう声をかけたらよいか?」という質問への回答です。

・「これを食べないと、大きくなれないよ。病気になるよ」のように、子どもを怖がらせるような言葉がけはやめましょう。
かえって、子どもが不安になってしまいます。(宮里暁美氏)

・「今」は諦めることも、ときには大切です。
その食材を食べないと病気になってしまうわけではありません。
「今はいいか」と考えてもいいのではないでしょうか。
ただ、苦手な食べものを、食卓にのせ続けることは重要です。
まわりの人が、おいしそうに食べる様子を見せておくのです。
いずれ、「親が『おいしい』と言っていたな」と思い出されて、食べるようになることだってあるのです。(宮里暁美氏)

うちの子どもも、「友達が美味しそうに食べていたから食べてみたら食べられた」がキッカケになりました。

元々は「本能的に危険な食べ物」と避けることが「好き嫌い」のはじまりですから、
「慣れさせる」「危険ではないことを繰り返し教える」ことも解決の糸口になりそうです。

「あきらめないで食卓に出し続ける、10〜20回続ければ慣れてくる」
「一緒に買い物に行って子どもに選ばせたり、その絵を描いたりと日常に取り込む」
などが役立つと云ってました。


そして最後のコメント。

・幼児期は、自己主張の時期です。食べ物の「好き嫌い」を含めて、たっぷり出させてあげるのが大事です。
自己主張を受け止める大人は大変かもしれません。
でも、受け止めてもらえた愛情や関わり方が土台となって、我慢を覚えていきます。
そして、繰り返しになりますが「食事は楽しく」を大事にしてください。(太田百合子氏)

やはりここでも子どもの気持ちを受け止めきれないまま、
親が「大人ルール」にはめ込もうとして子どもとぶつかる構図が見え隠れしてきます。


<参考>

▢ 食事の悩み ~子どもの好き嫌い~(すくすく子育て)

こどもの “かんしゃく” と “ぐずり” への対処法

2022年05月24日 08時45分02秒 | 育児
さて、子育ての悩みの定番“かんしゃく”です。
子育てが一段落したアラ還の私でも、
いまだに“正解”がわかりません。

このテーマもNHKの「すくすく子育て」の特集回から、
専門家のコメントを拾ってみました。

ご意見番・コメンテーター;
・遠藤利彦氏(東京大学大学院 教授/発達心理学)
・井澗知美氏(大正大学 准教授/臨床心理学)

まずは、「園ではいい子だけど、家ではわがまま放題で困っている」
という相談に対する回答です。

・お子さんは、幼稚園という“社会”に適応しようと頑張っていると思います。
家に帰ってお母さんの顔を見ると、安心して、自分のフラストレーションのようなものを発散して、心のバランスをとっているのではないでしょうか。
家の外では「いい子」を演じているところもある。
でも家には、ダメな自分もイヤな自分も、すべてをひっくるめて「好きだよ」と言ってくれる親がいる。
とても健康的な状況だと思います。(遠藤利彦氏)

これはありがちなパターンですね。
この逆のパターン、つまり「家ではいい子、園では乱暴者」は危ないとされてます。
家で緊張して素を出せないのは、リラックスできる雰囲気がないと云うこと。

・自我が発達してきた子どもの場合は、自分で選ばせるのもよいですね。
例えば、「トイレに行ってほしい」と伝えたいとき、「行って!」「でない!」の言い合いになるようであれば、「ママとお歌を歌ったあとに行く? それとも時計の針が3になったら行く?」のように、選択肢を与えてみる。
「自分」が出てきている子どもは、「自分で決めた」と思えるほうがよいと思います。(井澗知美氏)

この辺の対応は、前項目“イヤイヤ期”と共通するものがあります。
命令ではなく、選択肢を含んだ提案なら、自我が否定されずに済みます。

次は「気に入らない」「思い通りにならない」と泣き叫んで手がつけられない、という相談に対する回答です。

・かんしゃくを起こしている子どもは、混乱していて、うまく頭を働かすことができません。
そのため、わかりやすく伝えることが大切です。
例えば、「ジュースがほしい!」とかんしゃくを起こしているとき、「お風呂から出てからにしようか」だけだと、うまく伝わらず「飲めないんだ」と思ってしまうかもしれません。
「お風呂から出たら、ジュースを飲もうね。おいしいよ」など、丁寧に伝えてみてください。
子どもが「ジュースを飲むためには、お風呂に入ればいい」とわかるように伝える工夫が大切です。(井澗知美氏)

・騒いでいるときは少し待ってあげることが大切です。
泣きやんで、少し落ち着いたところで、「ジュースを飲もうか」「ちょっとママとどこかに行こうか」のように声をかけるのがよいでしょう。
子どもは、親から声をかけられる、つまり、親から温かい注目をしてもらえる体験をすることで、心が安定していきます。(井澗知美氏)

“かんしゃく”を起こしている子どもは“混乱していて自分でもどうしてよいかわからない”と解説していますが、
お風呂に関係なくジュースが欲しいと訴える場合も有りますから、この対応は応用範囲が狭いと思われます。
「少し待ってあげる」「泣き止んで少し落ち着いたところで」とありますが、
数十分泣きわめいている状況を放置して周りからの冷たい視線に耐えるのは無理です。
残念ながら井澗氏のコメントでは「泣き叫んでいる子どもへの対応は困難、泣き止むまで待つ」という結論になってしまいます。

・古代ギリシャ哲学者のアリストテレスも言うように、怒りというものは、怒る対象、怒るタイミング、怒る方法を間違えると、その効果がなくなってしまいます。
例えば、言葉でわかってもらえる相手なのに、人やものにあたってしまう。
いってみれば、かんしゃくは対象・タイミング・方法を間違えた怒りではないでしょうか。
子ども自身も、いつのまにか、かんしゃくのような怒りは「自分のためにならない」と気づいて、発達とともに減っていくのではないかと思います。(遠藤利彦氏)

遠藤氏も解決法は示せず、子どもの成長を待つという結論にとどまります。

・子どもの怒りを抑えつけるのではなく、怒り方を学ぶ機会だと考えてみましょう。
このとき、子どもが自分の感情を理解することが大切になります。
子どもが感じている気持ちにふさわしい言葉を、タイミングよく貼ってあげる、「感情のラベリング」をしてあげるのです。(遠藤利彦氏)

・例えば、ゲームに怒ったときに、「うまくいかなくて、悔しかったね」「負けちゃって、がっかりだよね」といった声をかけます。
感情のラベリングは、子どもが自分の感情を理解するために、周りの大人が心掛けたい働きかけです。
ラベリングをしてあげることで、子どもは徐々に「今の自分の感情」がどのようなものかを理解していきます。
理解できるようになると、自分の感情とうまくつきあえるようになっていくと思います。(遠藤利彦氏)

できることは、混乱している子どものこころを言語化して整理するサポート(感情のラベリング)、でしょうか。

次は“かんしゃく”ではなく“グズリ”の相談に対する回答です。

・「この子はちょっと時間のかかる子だな」と思って声をかけると、声のトーンから切迫感がなくなり、やわらかくなると思います。
・・・子どもができていることを、もう少しほめてあげてくださいね。(井澗知美氏)

できないことを責めると子どもは追い詰められてしまう、できることをほめると子どもは自信を持ち、グズリは減るかもしれない・・・。

最後にお二人からのコメント;

・基本的に、プラスの感情もマイナスの感情も、自然に経験して、自然に表現されることが、子どもにとって健康な状態だと考えてください。
そういった感情について、子どもが落ち着いているときに話をしましょう。(遠藤利彦氏)

・グズりやかんしゃくは、とても大変な行動です。
でも、大変な面ばかりを注目するのではなく、いろいろできるようになってきた子どもでも、まだまだ甘えたい部分もあると考えてください。
1日に10~15分でも、短い時間でいいので、子どもがグズってないときに、一緒に遊ぶような時間を持ちましょう。
そんな時間があれば、子どもの気持ちが落ち着いていくと思います。
いろいろと工夫しても、うまいかない場合もあります。
そんなときは、地域の保健センターや子ども家庭支援センターなど、
発達の専門の所に相談する方法もあります。(井澗知美氏)

いずれにしても、前項目の“イヤイヤ期”、今回の“かんしゃく”や“ぐずり”は子ども本人が困っていることが共通点として存在すると感じました。
その“困った感”を大人は“どすこい!”と受け止めて、サポートしたり、待って成長を見守ったり・・・なんだか思春期の反抗期への対応と似てますね。

最後になりましたが、私は“かんしゃく”と“ぐずり”に困っている方には漢方薬の使用を提案しています。
よく処方する抑肝散は500年前、小建中湯は2000年前から使われてきた方剤です。
昔からこのような子どもは当たり前に存在し、それに対応するため知恵を絞った成果として伝わってきたお薬ですので、利用しない手はありません。


<参考>

▢ どうする? 子どものグズるキレる(すくすく子育て)

▢ 印象に残る症例②
なかしまこどもクリニック 院長 中島 俊彦

子どもの “イヤイヤ期” “魔の2歳” への対処法

2022年05月24日 08時35分45秒 | 育児
子育ての登竜門の一つ“イヤイヤ期”。
“魔の2歳”という表現もありますね。

何を言っても「イヤ」
と拒絶され、保護者は困ってしまいます。

乳幼児の子育てがずいぶん昔になった今の私から見ると、
親が何か言うから、
親のルールを押しつけようとするから、
それに反応して「イヤ」という回答になるパターンが一つ。

子どもはいつまでも楽しく遊んでいたいのです。
でも、食事や保育園やトイレや、アレコレとこなすことがあって、
“邪魔される”というイメージなのでしょう。

まあ、大人ルールにはめ込むことを諦めれば、
このストレスは減る可能性がありますね。

それから、自分でいろいろできるようになる時期であり、
でもうまくできないので自分自身にイライラしているパターンもあります。

こちらは見守るしかありません。
あるいは子どもにわからないようにサポート・根回しするとか・・・。

あからさまに手伝うと、
かえって逆上してしまうこともありそうです。

さて、NHKの育児番組「すくすく子育て」で子どものイヤイヤ期をテーマにしている回がありました。
参考になりそうな箇所を私なりにかみ砕いて抜粋・紹介します。

ご意見番・回答者は以下の2人;
・坂上裕子氏(青山学院大学 教授/臨床発達心理学)
・髙祖常子氏(子育てアドバイザー)

・自分の気持ちをことばで伝えることも、まだうまくできません。自分のどうしようもない状態を、どうしたらいいのかわからないのです。(坂上裕子氏)

・(モノを投げて困る場合)モノを投げると、まわりの人や子ども自身にあたって危ない場合があります。投げたくなるモノは置かない、または、だっこして別の場所に連れて行くのもひとつの方法です。(坂上裕子氏)

・「何でイヤだったの?」と聞いてみましょう。まだ自分で説明することが難しいかもしれません。そのときは、「〇〇でイヤだったのかな」「もっとこのおもちゃで遊びたかったんだね」のように、子どもの気持ちをことばにしてあげます。(髙祖常子氏)

・子どもに選ばせてあげるのもいいですね。例えば、出かけるときに「イヤ!」という場合は、「どっちの靴がいいかな?」のように選択肢を与えると、子どもが「こっち!」と選んでくれることもあります。子どもは、自分の意志を尊重してもらえたと感じて、納得しやすいのです。(髙祖常子氏)

この方法、私も診療で使っています。年齢はもっと上ですが・・・
予防接種の注射を嫌がる子に「1秒コースと2秒コースと3秒コースがあるけど、どれがいい?」と聞くと、
9割の子は「1秒コース!」と答えます。
自分で選んだので、抵抗が少なくなります(全員とはいきませんが)。

・子どもの気持ちの切り替えを手伝うこともひとつの方法です。
「ボール投げして遊ぼうか」のように、視点をずらしてあげる声かけなどです。(髙祖常子氏)

・何をやってもダメなときは、「自分の気持ちと戦っているんだ」と考えて、見守ってあげましょう。
興奮しているときには、なかなかことばも入りません。(髙祖常子氏)

・どの子どもにも合う方法はありません。
親子でいろいろと試しながら、どうやったら気持ちの折り合いをつけることができるのか、一緒に練習していく時期だと思います。(坂上裕子氏)

・1歳5か月のころは何を言っても「イヤ」の一点張りで、
親の言うことが耳に入らない状態・・・自分の「これをやりたい」しか見えていないわけです。
それが、1歳10か月ごろになると、少しまわりの様子が見えてきて、「イヤ」と言いつつも、親の言葉に耳を傾ける余裕が出てきて・・・
2歳に入るころ、自分の思いと相手の思いの違いで葛藤するようになり・・・
まだ自分のやりたい思いが勝る場合が多いのですが、いろいろな経験を通して、
3歳ぐらいになると折り合いをつけられるようになっていきます。(坂上裕子氏)

子どもがいろいろなコトができるようになると、
「これがやりたい!」
という考えが出てくるのは自然なこと。

しかし状況がそれを許さないことで問題が発生し、
解決は至難の業です。

専門家からの解決のヒントは、

・まずは子どもの気持ちを受け止める
・子どもの気持ちを言葉に置き換える
・希望が叶えられない状況なら、興味対象をそらす
・1歳前半では周りが目に入らない・聞く耳を持てないが、2歳近くなると周りが見えるようになるが自分の希望が勝り、折り合いがつけられるようになるのは3歳まで待つ必要がある。それを親子で練習している過程と割り切る。
・投げて暴れると危険なモノは遠ざける。

などでしょうか。

次は「お店で〇〇〇が欲しい!と寝転んで泣き叫ぶときどうしたらよいですか?」という“あるある”質問へのコメントです。

・子どもの気持ちを「受け入れる」と「受け止める」には違いがあります。
「気持ちを受け入れる」が、行動(要求)を実現することだとすれば、
「気持ちを受け止める」は、まずは「わかった」と、気持ちに共感することです。
つまり、要求は「わかった」けど、実現してあげられないこともある。
実現の是非の判断は、親の仕事なのです。(坂上裕子氏)

・子どもの要求に応えられないときは、「これができなくて悲しいよね」といった声をかけて、
要求がかなわなかったときの気持ちにも共感することが大事です。
親が気持ちを受け止めることで、子どもは自分の気持ちに向き合うことができ、
目の前の状況に折り合いをつけられるようになっていきます。(坂上裕子氏)

う〜ん、結構奥が深い。
子どもの「〇〇〇が欲しい!」という気持ちを“受け止める”必要があるが“受け入れて”はいけない、つまり折れて買ってはいけないのですね。
子どもの気持ちにより添い
「欲しいものが買えなくて残念ね、お母さんその気持ちわかる」
と共感するとありますが、そんなにうまくいくかなあ・・・。

・気持ちに寄り添うことと、甘やかすことは、全く別のこと・・・
「甘やかす」とは、すべて子どもの言いなりになってしまうこと。
そうならないように線引きするには、2つのポイントがあります。
ひとつめは「場当たり的に対応しない」ことです。
イヤイヤが続くと、親は根負けして「いいよ」と許しがちです。
子どもは「昨日はダメだったのに、今日はいいんだ」「ぐずれば通るんだ」と思ってしまいます。
甘やかさないために、「ダメ」なことは「ダメ」と、ぶれずにはっきり伝えることが大事です。
次に、モノで釣らないこと。
「ぐずるともらえる」「ぐずるとこれができるようになる」のように、子どもの判断基準がいろいろになってしまいます。
大騒ぎ・大泣きをするかもしれませんが、きっぱりと言っていくことが大事です。
例えば、お気に入りの絵本やおもちゃなど、気分転換を手伝うためのモノがあるといいかもしれません。(髙祖常子氏)

髙祖氏は
「受け止める」を「気持ちにより添うこと」、
「受け入れる」を「甘やかす」
と言い換え、やはり「甘やかす」ことを否定しています。
一度許したら味をしめてしまうので、その後修正することが難しくなりますよ、
と番組中にコメントされていました。

次は「ダラダラ食べ」「遊び食べ」に切れてしまった母からの質問への回答です。

・子どもに多くを求め過ぎたり、求めるレベルが高すぎると、その通りにはならないのでイライラしてしまいます。
ごはんを「食べてほしい」という一心でつくったのに、だらだらと食べてくれないと・・・イライラもあると思います。
でも、子どもにはわからないことなのです。
2歳ぐらいは食べむらも多く、偏食が出てくる時期でもあります。
例えば、何か1品でもいいので「食べたらOK」と考えてみましょう。
年齢とともに、要求水準が上がっていきますが、
その基準が子どもとマッチしているのか見直してみると、
イライラが減るのではないかと思います。(坂上裕子氏)

やはり「大人ルール」に無理にはめ込むと生じるトラブル的要素がありますね。
それほどお腹はすいていないけど、食事の時間だから・・・
と母の気持ちと裏腹に、子どもはひたすら楽しく遊んでいたいのですから。

・誰もが、イライラすることがありますね。
まず、「感じる脳」が瞬時に動くといいます。
「なんで言うことを聞かないの!」のように思うわけです。
その後、5~6秒ぐらいで「考える脳」が動き始めて、
「もう少し遊びたかったのかな」のように思えるのです。(髙祖常子氏)

・イライラで感情に流されそうになったとき、
子どもが安全な場所にいるならば、
ひとまず少し離れてみるのもいいのではないでしょうか。
クールダウンの方法はいろいろとあります。
ちょっとだけ離れてみる、深呼吸する、トイレに行くなどです。
方法は、何でもいいと思います。
「イライラしてきたときは、これでクールダウンしよう」という方法を、
ひとつだけでもいいので持っておきましょう。(髙祖常子氏)

出ました!
アンガー・コントロールで出てくるクールダウン方法“6秒ルール”ですね。


<参考>

▢ どう向き合う? 子どものイヤイヤ(すくすく子育て)

寝かしつけの極意は「抱っこして5分間止まらずに歩き回る」こと。

2022年05月24日 08時33分35秒 | 育児
昔からあるNHKの子育て番組。
数年ごとに番組名は変わりますが、歴史があります。

興味があるテーマをみかけると、ときどき視聴してます。
自分の子育て時代からですから、もう30年近くなりますね。

その中で特に記憶に残っている番組は、
「発見!世界の子育て」(NHK-BSで2001年に放送)
です。

子育て中の問題を1回に1テーマを選んで取り上げ、
インターネットで世界各国の専門家が解説する、異色の内容でした。

しかし、答えがひとつに収束しないところが興味深い。
国により、視点により、いろんな意見があり、
「子育てに正解はないんだなあ」
と感じたことを覚えています。

さて、過去も今も保護者の方々は悩んでおり、
診療や検診の場で以下の相談を受けます;

・夜泣き
・かんしゃく
・偏食

知識は蓄積されているはずなのに、
質問されても即答できません。

私は小児科医ですが漢方薬も使うので、
夜泣きとかんしゃくについては、
一般育児書に書いてあることを一通り行っても解決しない場合は、
漢方薬をお勧めしています。
そのお薬は500年前から使われてきた、祖先お墨付きのもの。

ところが先日、「すくすく子育て」を見ていて、
「これは新しい考え方だ!」
という寝かしつけ法を知りました。

黒田公美(理化学研究所・脳科学総合研究センター 脳神経科学)氏による、
「“輸送反応”を利用すると子どもは寝ます」
というアドバイス。

“輸送反応”とは?
→ “ほ乳動物において親が子どもを運ぶ際、子どもがおとなしくしている現象”
だそうです。
子どもを輸送する理由は、大抵危険が迫っている状況なので、
子どもが泣きわめくと見つかってしまうから、との理由付け。

な、なるほど。

ちなみに、動物の赤ちゃんには夜泣きやぐずりはなく、親もあやしたりしません。
そう言えば、ネコが「ニャー」と泣くのは人間に対してだけ、
と「チコちゃんに叱られる」でも紹介していましたね。

これを人間の子育て中の悩みのひとつである“寝かしつけ”に応用すべく、
NHKが番組の中で実験してみました。

お父さんが赤ちゃんを抱っこして5分間歩き続ける実験。
ここでポイントとなるのは、
・赤ちゃんの胸とお腹と親の体を密着させる
・揺らしたりあやしたりしない
・寝ているかどうか止まって途中で確認しない
こと。

実際に2名のお父さんにやっていただくと、
ホントに5分後には寝ていて、スタジオ騒然&驚嘆の声!

ただ、“ベッドおろし”の儀式の際に2人とも起きてしまいましたが。

この“ベッドおろし”にもテクニックがあり、
頭がぐらぐらした状態で下ろそうとすると、
子どもは不安になり目覚めてしまうそうです。
また、背中がベッドに付く前に胸とお腹が親の体から離れてしまうと、
「落ちていく〜」
と本能が反応して不安になり泣いてしまう。

ポイントは、
・まずお尻を下ろす
・体は親に密着したままベッドにゆっくり下ろす
・体が離れたら手が中に泳ぎ不安になるので優しく手を添える
だそうです。


哺乳類の赤ちゃんは「輸送反応」という反応を生まれつき備えています。
「輸送反応」とは、哺乳類の子どもが親に運ばれるときに、泣きやんでおとなしくなる反応です。
動物は移動のとき、敵に見つからないように注意しなくてはいけないため、
生き延びるための子どもの本能として、親に協力しておとなしくします。
この本能が、人間にも備わっていると考えられています。
実際の実験でも、だっこして移動を始めると泣いている赤ちゃんの心拍数が下がり、おとなしくなりました。
「輸送反応」は、「泣いている赤ちゃんを泣きやませる」のに即効性があります。
また、「寝かしつけ」や、「赤ちゃんが眠りやすい状態までもっていき、
赤ちゃんを落ち着ける」ということにも効果がありますよ。 
【対象年齢】
効果が出やすいのは生後1~8か月ごろまでです。
それ以上大きい赤ちゃんの場合、体が重くてしんどいです。
また、赤ちゃん自身の眠るリズムが大切になってくるので、
眠くないときにやっても、うまくいかなくなります。 
【注意事項】
(1)決めた時間よりも、時間を延長しないでください。
10分歩いてもダメな場合は、一度お休みをしてください。 
(2)赤ちゃんによって個人差があるので、好みに合わせて調節してください。
歩いている途中で寝てしまう子もいれば、
刺激がないのが好きな子などで座ったときにはじめて寝られる子もいます。
また、抱き方も横抱きが好きな子、縦抱きが好きな子と、
赤ちゃんによって好みがあります。
好みに合わせて調節してあげてください。 
(3)筋力が弱いなど体の心配がある赤ちゃんには、行わないでください。 
(4)首がすわっていない赤ちゃんの場合は、しっかりと支えてください。 
(5)部屋の中で行う場合、だっこしている人がつまずかないよう部屋の中の物を片づけ、安全確保をしてください。 
★ポイント
(1)寝かしつけようと思って歩くのではなく、「用事があって移動する」という気持ちで5分間歩いてください。
寝かしつけようと思って歩くと、ゆっくりになりがちです。
5分間と決めたら、その間はできるだけ止まらないように歩いてください。 
(2)だっこしている人の体に赤ちゃんのおなかと胸をピッタリくっつけ、グラグラさせないでください。
だっこしている人の体に赤ちゃんの体がピッタリくっついていれば、
だっこでも、だっこひもを使ってもかまいません。
また、おんぶでも大丈夫です。
これはパパにもオススメの方法ですよ。


<参考>

▢ 赤ちゃんの寝かしつけと夜泣き(すくすく子育て)

▢ 寝かしつけ大作戦(すくすく子育て)

▢ 抱っこして歩くと赤ちゃんがリラックスする仕組みの一端を解明(動画あり
-経験則を科学的に証明、子育ての新たな指針に-
・・・生後6カ月以内のヒトの赤ちゃんとその母親12組の協力を得て、母親に赤ちゃんを腕に抱いた状態で約30秒ごとに「座る・立って歩く」という動作を繰り返してもらいました。その結果、母親が歩いている時は、座っている時に比べて赤ちゃんの泣く量が約10分の1に、自発的な動きが約5分の1に、心拍数が歩き始めて約3秒程度で顕著に低下することを見いだし、赤ちゃんがリラックスすることを科学的に証明しました。

→ この現象、私は日々実感しています。予防接種の際、泣いていた生後数ヶ月の赤ちゃんは、母親が抱いた状態で立ち上がるとすぐに泣き止むことが多いのです。まだ「注射が怖い」という感覚があるとは思えない月齢でのこの現象は“輸送反応”で説明ができますね。

理研:黒田 公美(くろだ くみ) 親和性社会行動研究チーム