“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

「やすらぎ子育てアドバイス」

2008年12月01日 00時27分27秒 | 育児
こころの名医が教える「やすらぎ子育てアドバイス」ー「自分が好き、親が好き」な子は必ず伸びる!
佐々木正美著、三笠書房(知的生き方文庫)、2007年発行

久しぶりに佐々木先生の著書を読みました.
今回も「ウンウン」頷きながら読み終えました.
思い起こせば、もう5年以上前に「子どもへのまなざし」「続・子どもへのまなざし」を読んで感動し、私にとって子育てのバイブルとなっています.

子育ての根っこは「そのままでいいがな」という相田みつをさんの言葉に凝縮されると記されています.
ホント、その通りだと思います.
子どもの存在を受け止めてあげられれば子どもは「自分は大切にされている」ことを実感し、「自分は大切な存在なんだ」と自己肯定感が育まれていきます..
でもそれが今の大人はできないんですよねえ.
子どもに自分の理想を押し付ける親はいつもイライラ.
子どもにやかましく言うのは「子どものため」というよりは「親の自己満足のため」なのです.
そのように育てられた子どもには「自己否定感」が芽生え、これは一生厄介な存在となります.

佐々木先生の本を読むと「自分という人間の成り立ち」にハッと気づかされることがあります.
今回は体罰についての記憶が甦りました.

小学生のとき、担任の先生に殴られたことがありました.
理由はちょっとしたこと(ラジオ体操の終了後に整列が遅れた)なのですが、ツカツカと近寄りいきなりガツッと.
何が起きたのかわかりませんでした.
元々「口より手が早い」先生だと噂されていたようです.

その先生の思い出はこれしかありません.
思い出そうと思っても、何も出て来ないのです.
「体罰はトラウマを残す」という意見に頷く私.

佐々木先生は体罰を無条件に否定していません.こう書いています.
「信頼している人から叱られても納得できる、しかし信頼していないヒトから叱られると敵意を抱く」
そうだったのか・・・私はその先生を信頼していなかったんだ.
確かに信頼している恩師に叱られても、反省はすれど反発はしないなあ.

それから世間をにぎわす少年犯罪について.
「こうした事件が起こるたびに、家庭での幼児期のしつけができていなかったからだとか、親が過保護に甘やかし過ぎたからだという人がいます.」
「しかし、それはむしろ逆なのです.親が自分の期待を無理に押し付け、子どもの自尊心を傷つけているからなのです.そのように育てられた子どもには自己否定感が生じ、社会を破壊することにひそかな喜び、いわゆる屈折した自虐的喜びとでも言うしかないような感情をつくってしまいます.少年犯罪の背景には、非常に厳しい母親、過剰期待する母親がいるケースがよくあります.」

例えば、オウム真理教の信者.
佐々木先生は3名の信者と面会したことがあるそうです.
皆、親が「自分の勲章になるような子ども」にしようと一生懸命育ててきたのだな、と感じ、実際に彼らの親と話してみると肯定して悔いていたそうです.

最後に女性に向けて.
「最近は男女平等にばかり気を取られ、育児に価値を見いだせなくなってきているお母さんたちが多くなってきているようです.こんな割の合わない仕事を押しつけられてイヤだ、と.確かに子育ては収入に結びつかないかもしれません.でも、自分がどう生きるか、よりも、次世代の人々がどう生きるか、を思いやれる生き方のほうが人間的価値があると思います.」
御意!