“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

「大好き!が伝わるほめ方*叱り方」明橋大二著

2010年10月27日 22時35分29秒 | 育児
2010年発行、1万年堂出版
 
ご存じ「子育てハッピーアドバイス」シリーズの最新刊です。
今回も子育て指南の明橋節は冴え渡っています。
内容は今までの本とそう変わらないのですが、イラストの秀逸さと相まってウンウン頷きながらスラスラ読み進めてしまいます。

著者が子育ての肝にしていることは「自己肯定感」を育てること。
すると本人も周囲のヒトも幸せな人生を歩めるはず、と一貫して唱えています。

明橋先生の著書は大体読んできましたが、最近その内容に限界を感じるようになりました。

自己肯定感を子どもに与えることは簡単ではありません。
良いところも悪いところも受け止め、受け入れてくれるお母さんの存在が必要です。
そのためにはお母さんが幸せであることが必要条件。
お父さんが子育てをねぎらう優しい言葉をかければ、お母さんは子どもに優しくなれるはず、という論法ですが・・・。

そのためにはさらにお父さんの幸せが必要です。
お父さんの幸せって何?
お父さんは自己肯定感にあふれていますか?
お父さんは会社・社会に良いところも悪いところも受け止め、受け入れてもらえているでしょうか?

残念ながら否定的です。
リストラに怯えながら残業で体をすり減らしているのが日本のお父さんの現状ですね。

明橋先生のハッピーアドバイスはお父さんのところで止まっており、社会に言及していません。


親子関係にトラウマを抱えた親による子育て

2010年10月13日 23時06分14秒 | 育児
 育児に関して、解決できないでいる疑問があります。
 親子関係にトラウマを抱えた親による子育てがうまくいかないとき、どうすべきか?

 朝日新聞土曜日版「Be on Saturday」の「悩みのるつぼ」コーナーに、同様の悩みを抱えている30代女性の投書がありました。

 シングルマザー状態で出産、頼ることのできる身内は両親のみ、しかし幼少時に母親から受けた暴力が原因の精神的トラブルを抱えており素直になれない、どう育ててよいかわからない。

 評論家の岡田斗司夫氏が回答しています;

「実はあなたは自分の子どもが好きじゃない。なのに、無理して育児している。だから辛い。問題の本質はここです。」

「今あなたに必要なのは”育児リハビリ”です。子どものためとガマンせずに、子どもを自分のリハビリのための道具と割り切ってください。」

「子どものために育児しなくてもいいんです。子どもを好きになれなくてもかまわない。ずるい気持ちで自分のリハビリのために子どもを利用すると考えてもかまいません。」

 回答に期待していたのですが、私にはどうもしっくりこない内容です。

 巷の育児書には子育てがうまくいかずにどうしてよいかわからないとき「子どもの気持ちを受けとめて寄り添うとよい」と書かれています。
 でも、云うはやすし、行うは難し。親自身がそのように育てられてこなかったからできない事実は放置されたまま。
 
 戦後60年間、日本は理想の育児をしてきたのでしょうか。子どもの気持ちを受け入れ、寄り添う子育てが行われてきたでしょうか。

 無になった焼け野原から復興するために、親たちは自分の夢を犠牲にして生きるためにがむしゃらに働き、その夢を次世代の子ども達に託しました。しかし、託された子ども達にすれば、親の価値観を押しつけられ、窮屈きわまりない状態に追い詰められました。
 その頃から、不登校や引きこもりなど、親の期待に押しつぶされた子ども達が発生してきました。
 
 時代の影響で育児に歪みが生じた要素もあると思います。そのように育てられた世代が、子どもを自由にさせる育児ができるでしょうか。

 難しい。この負の連鎖を断ち切るにはどうしたらよいのか。

 答えは宗教が用意していることに最近気がつきました。イエス・キリストに限らず、世界の宗教はこのように説いています;

 「人にして欲しいことを、人にしなさい」

 人に喜ばれることは、自分の喜びにもなります。相手も自分も幸せになれます。この一歩を踏み出すことができれば、負の連鎖をとめることができるかもしれません。

 それは、子育てでも、人間関係でも、同じこと。