わが国では肥満と肥満症が区別されているが、欧米では区別されず、ともにobesityである。本試験の対象者も肥満に起因ないし関連する健康障害の有無はinclusion criteriaに含まれておらず、obesity-related complicationsとして耐糖能障害や高血圧などを有する対象者が約半数含まれている。したがって、以下のコメントでは「小児肥満症」ではなく「小児肥満」を使用する。
成人と同じく小児肥満の治療も食事・運動療法が基本となる。しかし、薬物療法が必要な患者も少なからず存在する。現在のわが国では残念ながら小児肥満に適応のある薬物は存在しない。(商品名:ビクトーザ)はわが国では肥満治療薬として承認されていないが、欧米では高用量(3.0mg/日)が肥満治療薬として承認されている。これまで成人(>18歳)2)、青少年(12~18歳)3)でその有効性が報告され、すでに治療薬として承認されているが、小児(6~12歳)での有効性は不明であった。そこで本試験「SCALE-Kids試験」が実施された。
対象患者の背景は平均で年齢10歳、身長149cm、体重70kg、腹囲95cm、BMI 31kg/m2である。リラグルチドの投与量は成人、青少年と同量の3.0mg/日であり56週後のBMIの変化率が主要評価項目とされた。その結果は予想どおり、リラグルチド群で有意なBMIの減少を認め、有害事象も許容範囲であった。
本試験の結果に基づいて、リラグルチドはおそらく小児肥満治療薬として欧米で承認されるだろう。わが国でも肥満の有病率は増加しているが欧米の比ではなく、本年ようやく成人に対してセマグルチド(商品名:ウゴービ)が肥満症治療薬として使用可能となったばかりである。わが国では成人に対してもリラグルチドは肥満治療薬として承認されておらず、小児肥満治療薬としての道のりはまだまだ遠いと思われる。
「先生、Tくんが私の髪を引っ張るんです!」「Hさんが、私のペンケースの中身をいつもグチャグチャにするんです!」
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「友達にちょっかいを出す子」について、私が長年観察してきた特徴をお話ししたいと思います。これを読んで、「あ、うちの子もそうかも」とか「私、昔そうだったな」なんて思い当たる節があかもしれません。
▶ 友達にちょっかいを出す子の5つの特徴
1. 注目の的になりたがり屋さん
とにかく目立ちたい、誰かに見てもらいたいんです。授業中に突然「わー!」って叫んで、みんなをびっくりさせる子がいます。そのたびに「Yくん!」って注意するんですが、彼の満足そうな顔を見ると、ついため息が出てしまいます。
2. エネルギーが有り余ってる子
エネルギーが有り余っていて、ずーっと動いていたい子たちです。休み時間、校庭を走り回って汗だくになってる子がいますよね。でも教室に戻ってきても、まだまだ元気。隣の子をつついたり、後ろの子の消しゴムを投げたり。「もう、エネルギーの使い道、そこじゃないでしょ!」って思わず言いたくなります。
3. コミュニケーションが今ひとつな子
本当は仲良くなりたいんだけど、どうしていいか分からないタイプの子です。「一緒に遊ぼう」って言えなくて、代わりに相手の帽子を取って逃げ出す。そんな光景を見かけます。気持ちはわからなくもないですが、見ていて「あー、そうじゃないんだけどなあ」って思います。
4. 感情コントロールが難しい子
頭では分かっていても、体が先に動いてしまうタイプの子に多いです。クラスには、ちょっとしたことですぐカッとなる子もいます。友達とぶつかっただけで、相手を押し返しちゃったり。でも、落ち着くと「ごめんね」って謝れる子なんです。
5. 他人との距離感がつかめない子
自分と他人との境界線が、ちょっとあいまいなタイプの子です。「これくらいなら大丈夫だろう」って思って、友達の髪を引っ張ったり、背中をバシバシたたいたり。その子はスキンシップのつもりでも、相手が嫌がってるのに気づかない。そんな時は「もし自分がされたら?」って聞くと、はっとした表情を見せます。「僕は気にしない」と言ってくる子には、「それを嫌がる子もいるから、叩かないで声をかけるとか他の方法はないかな?」と代わりの方法を考えさせます。
まとめ
ここまで読んでみて、どうでしたか? 「ああ、あの子のことだ」とか「自分の子育てに活かせそう」なんて思った人もいるでしょう。
結局のところ、友達にちょっかいを出す子は、周りに「私のこと見て!」って必死にアピールしているんです。エネルギーは有り余ってるけど、うまく表現できないだけなのです。感情のコントロールも、他人との距離感も、まだまだ勉強中なんですね。
正直、私たち大人だって完璧じゃありません。子育てや教育に正解なんてないんです。でも、こういう子たちの気持ちを少しでも理解しようとすること。それが大切だと思うんです。
ちょこっとアドバイス
ちょっかいを出す子を見かけたら、すぐに叱るんじゃなくて、まずは「どうしたの?」って聞いてみてください。きっと、意外な答えが返ってくるかもしれません。
(幼児期)睡眠障害、かんしゃく・こだわり、パニック、落ち着きのなさ
(学童期)同上
(思春期)同上、月経前症候群(PMS)
✓ 各都道府県の精神保健福祉センター
✓ 市役所や保健所の子育て相談窓口
✓ 自治体の教育支援センター
✓ 小中学校のスクールカウンセラー
依存症とは、特定の何かに心を奪われ「やめたくてもやめられない」状態になることです。特定の行為を繰り返す、より強い刺激を求める、いつも頭から離れないなどの特徴があります。この定義をスマホ依存に置き換えると理解しやすいでしょう。つまり、スマホ依存とは、スマホから得られるワクワクや快感に没頭するあまり、自分で自分をコントロールできなくなる状態といえます。
では、スマホ依存の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。
ソウル聖母病院のキム・ダイジン教授のグループによって作成され、多くの言語に翻訳されている「スマートフォン依存スケール」では、スマホ依存の症状が10項目が挙げられています。
スマホの使い方で気になる様子があったら、まずは子どもと話しあってみましょう。本人に改善する様子が少しでもみられる場合は、しばらく見守っても良いでしょう。
たとえば、テスト前はスマホを見ないように我慢していたり、時間制限を守ったりするなど、子どもが努力してスマホと距離を置こうとしていたら、見逃さずに認めてあげてください。
しかし、本人がスマホを手放せずに日常生活に影響が出ているようであれば、依存症である可能性が高まります。
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子ども本人が「スマホ依存症である」と自覚しているケースは少なく、本人の意志だけで回復するのは困難です。そのため、子どもを支える家族がスマホ依存について正しい知識を持ち、受診や相談をする必要があります。
しかし、スマホ依存を専門的に治療できる病院は全国的にも少ないのが現状です。まずは、近くにある児童精神科か心療内科に問い合わせをするのが良いでしょう。久里浜医療センターが作成したリストを参考にしてください。どうしても相談先がみつからない場合は、かかりつけの小児科や民間のカウンセリング機関に相談する方法もあります。
いざ受診をしようとなると「病院でどんな治療をするの? 痛いことは嫌だ」と心配する子どもも少なくありません。実際にどんなことをするのか、保護者も子どもも知っておく必要があります。
そこで、一般的な治療の流れをご紹介します。
・外来診療での問診、身体的な検査や心理検査
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・問診や検査をもとにした依存症の診断・治療方針の決定
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・精神科医による診察、心理師によるカウンセリング
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・ 認知行動療法やソーシャル・スキル・トレーニングなどを組み合わせた治療
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・必要があれば入院治療
認知行動療法とは、物事に対する考え方のクセに気づき、さまざまな考え方を身につけることでストレスへの対処法を増やす心理療法の一つです。認知行動療法を基盤とし、コミュニケーションの技法を練習するソーシャル・スキル・トレーニングなどを行います。
著しい日常生活の乱れ、体調不良や家族への暴力などがあるケースでは、入院治療も一つの方法です。スマホやメディアから離れ、運動やレクリエーションなどを通じ、周囲とのコミュニケーションや日々の生活に自信をつけていきます。
このような治療の中で重視されているのは「子どもへの寄り添い」です。なぜ、こんなにスマホにのめり込みたくなったのか、背景にある悩みや問題にスポットをあてます。「学校に居場所がない」「勉強がわからない」「友達とうまく付き合えない」など、孤独でプレッシャーに押しつぶされそうな子どもにとって、スマホでつながる世界は大人が思っている以上に重要なのです。
親にはなかなか打ち明けられないことも、専門家に話せるケースもあります。子どもの悩みが明らかになってきたら、子どもの気持ちを理解するようにしてみてください。家庭でも子どもに寄り添いながら回復をサポートしていきましょう。
そんなときに、つい家族がしてしまいがちなのが、「本当のことを伝えずに連れていくこと」。
以前、私のところに寄せられた相談では、「すぐに終わるよ」「行ったら○○を買ってあげる」などと、病院に行く目的をしっかりと話さないまま、子どもを連れて行ってしまったケースがありました。そのお子さんは、おとなしく受診しましたが「長い間待たされた」「知らない人に聞かれるのが嫌だった」など、ネガティブな体験だけが心に残り、その後受診をしなくなり、さらには部屋に引きこもるようになってしまったのです。
たとえば、勉強や友達、進路など、子どもが悩みを抱えやすい話題について話し合ってみましょう。
「勉強のことがすごく不安」「教室で気軽に話せる相手がいない」など、子どもが心の奥底で抱えている本当の悩みにフォーカスしてみるのです。
子どものニーズがだんだんと分かってきたら、悩みに沿った声かけで受診を促します。次のような例を参考に、子どもとコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか。
「病院の相談室やデイケアでは、勉強や進路について話せるみたいだよ」
「同じ趣味の人で集まって話せる場所があるみたいだよ」
このように、病院は決して子どもを苦しめる場所ではなく、悩みや不安を一緒に解決してくれる所だと伝えることが大切です。
子どもが病院に行きにくいようなら、まずは家族だけで診察を受けるのもよいでしょう。家族も病院への信頼感を持てて「とても優しい先生だったよ」などと教えてあげられますね。
そのようなときは、子どもを受診させる考えをいったん捨てましょう。家族だけで相談できる場所を探し、信頼できる医師や心理師などの支援者に出会うことが大切です。
子どものスマホ依存を診察する病院の多くは、家族だけでも受診できるシステムが整っています。子どもの様子や家族の悩みについて相談できる場所の一つです。
子どもの依存症に悩む方のために「家族教室」を開催している病院もあります。スマホ依存に関する知識だけでなく、他の家族の体験談やアドバイスを聞くことができる貴重な場です。
・各都道府県の精神保健福祉センター
・市役所や保健所の子育て相談窓口
・自治体の教育支援センター
・小中学校のスクールカウンセラー
精神保健福祉センターでは、スマホ・ゲーム依存の自助グループや家族会を紹介してくれることも。同じような境遇に悩んでいるメンバーとの出会いは、先の見えない不安を抱える家族にとって大きな心の支えになるはずです。
その中に小学校4年生のA君がいました。前年のクリスマスに買ってもらったゲーム機がマイブーム。放課後は友達とのゲームが習慣となっていました。
5年生になると、まわりの友達がスマホを持ちはじめました。クラスにLINEグループができ、その中で盛り上がった会話をクラス内で話す子も。オンラインゲームもできると聞き、A君はスマホが欲しくなり両親に頼みました。
すぐにスマホを買ってもらえたA君は、さっそく友達数人とオンラインゲームをするように。みるみるうちに夢中になっていきました。
Wi-Fi環境がないとスマホを使うのが不便なため、公園に行くことはもうありません。家にいながら友達とつながることができるスマホ。画期的なアイテムを手に入れて、A君は楽しく放課後を過ごしているように見えました。
スクールカウンセラー・ヨウコ(以下、スクールカウンセラー):担任の先生より、息子さんのことで悩んでいるとお聞きしました。
A君ママ:はい。昼夜逆転していて、朝起きられない状態です。最初は遅刻しながら行っていましたが、夏休みが明けてからはほとんど通えていません。
スクールカウンセラー:それは大変でしたね。原因として何か思い当たることはありますか?
A君ママ:(しばらく言葉に詰まって)……スマホです。5年生になってから買い与えました。朝から晩までスマホを見ています。ゲームをしたり、インスタグラムを見ていたり。
スクールカウンセラー:そうなんですね。スマホから離れる時間はありますか?
A君ママ:いいえ。お風呂場やトイレにも持っていきます。最近では食事の時間に呼んでも来なくなり、外出も嫌がるようになりました。外食に行こうと誘っても「今、友達とゲームしている」と。家族の時間よりもスマホが大事なのかと……。(涙ぐむ)
スクールカウンセラー:それはとてもつらい状況ですね。息子さんとスマホについて話し合いはできそうですか?
A君パパ:話をするのは……、とても難しいです。ついこの前も、息子が食卓の上にスマホを置き、LINEで通話しながらパンを食べていたので「いい加減にしなさい」と𠮟りました。
それから、スマホを取り上げようとすると、息子が激高して私に暴言を吐いてきたんです。スマホを取り返そうと暴力もふるってきて……。
A君ママ:「ご飯をしっかり食べなさい」と言っても、スマホに夢中でちゃんと食べません。夜中もずっと起きているので、朝方に寝落ちしてしまうんです。
「頭が痛い」といつもイライラしていて親や兄弟に暴言を吐きます。兄弟のフォローも必要だし、私たちも精神的につらくて……。親としての自信もありません。(涙が止まらない)
A君パパ:実は、息子がスマホアプリで高額な課金をしていたことが分かりました。妻のクレジットカード番号を入力したようです。正直、とても情けなくなってしまい、息子のことも信じられなくなってきました。
こんなことは担任の先生にも話せないし、どうしたらよいのか分からなくて……。何か方法はあるのでしょうか?
スクールカウンセラー:つらい状況をよく話してくださいましたね。今のお話だと、息子さんは「スマホ依存」の可能性があるかもしれません。スマホ依存は早めに治療が必要ですので、息子さんに合った方法を一緒に考えていきましょう。
A君は学校でのカウンセリングを嫌がったため、自治体の教育相談に行くようになり、病院受診をすすめられました。
スクールカウンセラー:その後のA君の様子はいかがですか?
A君ママ:特に大きくは変わっていないのですが、先月初めての病院受診をしました。予約をしてから半年待ちで、その間に心が折れそうでしたが、なんとか受診できてホッとしています。
A君パパ:医師からスマホ依存は治るのに時間がかかると聞きました。病院に行けば治る、状況が変わると思い込んでいたので……。私も妻もかなりショックを受けています。
A君ママ:息子は相変わらず学校には行けないし、自宅に引きこもりの状態です。友達とはスマホでつながっているようで安心していますが……。
息子をこんな状態にしたのもスマホだけど、外とのつながりをつくっているのもスマホなんですよね。頭の中がすごく混乱していて「これからこの子はどうなってしまうんだろう」という不安でいっぱいです。(涙が頰をつたう)
スクールカウンセラー:話してくださってありがとうございます。つらい気持ちはどこかで吐き出さないと、体や心に悪い影響をおよぼしてしまいます。よかったらご両親だけでもこちらに通ってください。何かお力になれるかもしれません。
A君パパ:息子に聞いてみたんです。「何か悩みがあるのか?」と。そのときは何も返ってきませんでしたが、別の日に、「お父さんも気持ちが沈んでいたとき、現実逃避がしたくてパチンコばかり行っていたな」と話しかけてみたんです。
すると、息子の表情が少し変わって、久しぶりに他愛もない会話ができました。息子の悩みは今も分かりませんが、きっと何かあるんだろうなと感じています。
スクールカウンセラー:息子さんとのコミュニケーションができてきましたね。パパは何か心境の変化があったのですか?
A君パパ:はい。病院から紹介された「家族会」でヒントをもらいました。スマホ依存や、ゲーム依存の子どもを持つ親の会ですが、同じ境遇の方と話すうちに子どもと、もっとかかわることが大切だと気づいたんです。そこで、息子とつながるにはどうすればよいか、考えるようになりました。
スクールカウンセラー:それはよかったです。ママのほうはどうですか?
A君ママ:息子は病院やデイケアを嫌がりはしませんが、積極的に行こうとはしなくて。医師や心理師からは「焦らずに。見守りながら、できたことを認めましょう」と言われています。
以前だったら「うまくいかないことばかり。もう逃げ出したい!」という気持ちでいっぱいだったと思います。でも今は、この相談室でも自分の気持ちを話せますし、病院や家族会の人たちも助けてくださる。
まわりから見たら何も変わっていないのかもしれませんが、もし話せる場所がなかったら、皆さんとつながっていなかったら……、きっと前には進めなかったと思います。
スクールカウンセラー:少しずつ親子関係にも変化があらわれていますね。
A君パパ:そうなんです。今度、息子と一緒に町内のお祭りを手伝うんですよ。息子の友達も参加するから、「それなら行こうかな」と言ってくれて。当日になったらどうなるか分かりませんが。
でも、こんなふうに息子のことを誰かに話せるようになったのは、すごく大きな進歩です。
スクールカウンセラー:そうですね。本当に頑張っていらっしゃると思います。息子さんが元気になると信じて、少しずつでも前に進んでいきましょう。
A君のご両親は、現在でもA君に合ったスマホ依存の治療方法を模索し続けています。病院受診をきっかけに、いろいろな人のアドバイスを受けたことで、確実に親子の距離は近くなっていると感じました。
いつかきっと、A君は両親に本当の悩みを打ち明けてくれるでしょう。A君との心の距離に悩むご両親を、さまざまな人とのつながりと支援で変化が訪れたと気づかされたケースでした。