ツォルシュトック
折り尺です。
『折尺』または『折れ尺』などでも、画像検索できます。
ツォルシュトックだと、地名が出てきちゃいますねぇ。
~ツォルという単位を仮定する~
フィガロは最初に『5』を測ります。
単位は明記されていません。
5センチかもしれませんし、5インチかもしれませんし、
5フィートかもしれません。
いきなり5メートルではないでしょう。
先ずは、
ペータース版のト書きに従って、
現代のドイツならどの家庭にもある物差し、
ツォルシュトックを使用していたと仮定します。
昔の長さの単位であるツォルは、親指が基準となる身体尺で、
現在のインチや寸とほぼ同じ長さだそうです。
1インチは25.4ミリメートルつまり2.54センチメートルです。
小数点第二位を四捨五入して、1ツォルを2.5㎝と想定します。
5ツォルで12.5㎝です。
ツォルをインチと同じくらいと考えるなら、
フィガロは最初に12.5㎝くらいを測っていることになります。
5、10、20、30、36、43。
12.5㎝、25㎝、50㎝、75㎝、90㎝、107.5㎝です。
~ツォルシュトックで測る~
ペンケースに収納できるツォルシュトック。
物差しは、フィガロの商売道具の一つでもあったでしょう。
理髪師のハサミやクシ、ブラシなどと一緒に
道具箱などに物差しも入っていたはずです。
道具入れに刺さっていると表現した方が実感が湧くかもしれません。
先ず、ツォルシュトックを床に置きます。
測りたい場所に合わせて。壁から測り始めるでしょう。
幕が開き、18小節目から始まるレの連続に乗って、
ツォルシュトックを置きます。
フィガロのテーマに合わせて。
道具入れから出したツォルシュトックを、
収納時の長さのままで、置くだけです。
壁にちょんとツォルシュトックの頭をくっつけて、
『よいしょ』と響くような5度の下行形で、『5』。
たぶん、収納時の長さが『5』なのです。
次に、ツォルシュトックを伸ばします。
20小節目から21小節目にかけてのフレーズ、
レが連続するフレーズに合わせて、
折り畳まれているツォルシュトックを、
5ツォルから10ツォルへ、よいしょと、
2倍の長さに伸ばします。
『よいしょ』と響くような3度の下行形で、『10』。
オーケストラは6度の下行形です。
さらにツォルシュトックを伸ばします。
レが連続するフレーズに合わせて、
よいしょと、10ツォル分伸ばします。
3度の下行形、オケは5度の下行形で、『20』。
さらにツォルシュトックを伸ばします。
…気分が高揚してきました。
ゴールに、近づいてきたからです。
音もだんだん上がってきました。
連続していたレは、長3度上がりました。
ファ#が連続するフレーズに合わせて、
さらに10ツォル分、よいしょと、
ツォルシュトックを伸ばします。
3度の下行、オケは5度の下行で、『30』。
G-Durの主和音です。
しかも、
この2重唱の中で、フィガロが演奏する最高音であるレに
ここで到達しました。
どうやら、『30と少し』という、
だいたいの大きさを測ることができたようです。
あとは、微調整。
26小節目から27小節目にかけての、
小躍りするような、可愛いフレーズに合わせて、
さらに10ツォル分、ツォルシュトックを伸ばして、
細かい数字を確認して、『36』。
目盛りを細かくきちんと確認しているようなフレーズです。
~ツォルシュトックの使い方~
そして、
ここで、そのツォルシュトックをそのまま持ち上げます。
この物差しの良い点は、固いことです。
金属製か木製のツォルシュトック。
モーツァルトやボーマルシェの時代なら、木製でしょう。
40ツォル分に伸ばした状態のまま、
持ち上げることができます。
スチール製の巻き尺よりも簡単に、
持ち上げて、方向を変えることができるのです。
1メートルの木製の物差しを持ち上げるような感覚で、
ツォルシュトックを持ち上げます。
スザンナの前奏とも表現した28小節目からのフレーズで、
90度、角度を変えました。
そして、『43』。
縦の丈が43ツォル、横の幅が36ツォル。
ダブルサイズのベッドの大きさを測ることが出来ました。
……そして、この測り方は、
音楽的にもマッチしているような気がします……。
~ツォルという単位を定義する~
最初の前提に戻ります。
ツォルをインチと同程度の長さとして定義しましたが、
ツォルというのは、身体尺であり、
『親指分』の意味です。
インチと同じくらいの長さですが、同じ長さではなく、
現在はインチよりも少し短めと定義されています。
が、当時は『親指分』の長さと定義されていました。
つまり、世界基準ではなく、
国によって、地域によって、時代によって、人によって、
長さが変わります。
あるいは、
持っている物差しによって、長さはマチマチだということです。
尺や寸を考えてみるとわかりやすいかもしれません。
『私の親指で測った長さ』が『ツォル』です。
『親指分くらいの長さ』が『ツォル』です。
『親指分くらいの長さを測る物差し』が『ツォルシュトック』です。
よって、1親指(ツォル)は3センチであったかもしれませんし、
2センチしかなかったかもしれません。
1ツォルが5㎝だったと仮定します。
36ツォル×43ツォルのサイズのベッドは、
180㎝×215㎝です。
キングサイズよりも丈が長い、キングロングサイズのベッドです。
召使夫婦が使うには、大き過ぎます。
1ツォルが4㎝だったと仮定します。
36ツォル×43ツォルのサイズのベッドは、
144㎝×172㎝です。
ダブルサイズよりも少し丈の短い、ダブルショートサイズのベッドです。
オーストリアに居た頃、モーツァルトの家で見たベッドを
思い出してみます。
丈が短く、身長が低かったのかと感じたことを思い出します。
よって、144㎝×172㎝のベッドは、
モーツァルトやボーマルシェの時代の二人用ベッドとして、
合点がいくサイズだと思えます。
4.1㎝か4.2㎝か…。
とにかく、4㎝強くらいの長さが
フィガロの1親指(ツォル)サイズだったように思えます。
~結論~
フィガロが、ペータース版のト書き通りに、
ツォルシュトックという物差しを使っていたとしたら、
上記のように、パタパタと伸ばしつつ、
音楽に合わせて測量をしていたでしょう。
そして、
フィガロの使っていたツォルシュトックの1ツォルは、
だいたい4㎝強くらいであったでしょう。
そのように考えて
フィガロ役は演技をしてよいはずです。
5ツォル、10ツォル、20ツォル、30ツォル、36ツォルと43ツォル。
20㎝、40㎝、80㎝、120㎝、144㎝と172㎝。
フィガロや小道具さん、
ぜひこんなツォルシュトックを作ってください。
木製で、
10ツォル毎に蛇腹に折り畳めて、
それをさらに半分に折って、収納できるようなものを。
折り尺です。
『折尺』または『折れ尺』などでも、画像検索できます。
ツォルシュトックだと、地名が出てきちゃいますねぇ。
~ツォルという単位を仮定する~
フィガロは最初に『5』を測ります。
単位は明記されていません。
5センチかもしれませんし、5インチかもしれませんし、
5フィートかもしれません。
いきなり5メートルではないでしょう。
先ずは、
ペータース版のト書きに従って、
現代のドイツならどの家庭にもある物差し、
ツォルシュトックを使用していたと仮定します。
昔の長さの単位であるツォルは、親指が基準となる身体尺で、
現在のインチや寸とほぼ同じ長さだそうです。
1インチは25.4ミリメートルつまり2.54センチメートルです。
小数点第二位を四捨五入して、1ツォルを2.5㎝と想定します。
5ツォルで12.5㎝です。
ツォルをインチと同じくらいと考えるなら、
フィガロは最初に12.5㎝くらいを測っていることになります。
5、10、20、30、36、43。
12.5㎝、25㎝、50㎝、75㎝、90㎝、107.5㎝です。
~ツォルシュトックで測る~
ペンケースに収納できるツォルシュトック。
物差しは、フィガロの商売道具の一つでもあったでしょう。
理髪師のハサミやクシ、ブラシなどと一緒に
道具箱などに物差しも入っていたはずです。
道具入れに刺さっていると表現した方が実感が湧くかもしれません。
先ず、ツォルシュトックを床に置きます。
測りたい場所に合わせて。壁から測り始めるでしょう。
幕が開き、18小節目から始まるレの連続に乗って、
ツォルシュトックを置きます。
フィガロのテーマに合わせて。
道具入れから出したツォルシュトックを、
収納時の長さのままで、置くだけです。
壁にちょんとツォルシュトックの頭をくっつけて、
『よいしょ』と響くような5度の下行形で、『5』。
たぶん、収納時の長さが『5』なのです。
次に、ツォルシュトックを伸ばします。
20小節目から21小節目にかけてのフレーズ、
レが連続するフレーズに合わせて、
折り畳まれているツォルシュトックを、
5ツォルから10ツォルへ、よいしょと、
2倍の長さに伸ばします。
『よいしょ』と響くような3度の下行形で、『10』。
オーケストラは6度の下行形です。
さらにツォルシュトックを伸ばします。
レが連続するフレーズに合わせて、
よいしょと、10ツォル分伸ばします。
3度の下行形、オケは5度の下行形で、『20』。
さらにツォルシュトックを伸ばします。
…気分が高揚してきました。
ゴールに、近づいてきたからです。
音もだんだん上がってきました。
連続していたレは、長3度上がりました。
ファ#が連続するフレーズに合わせて、
さらに10ツォル分、よいしょと、
ツォルシュトックを伸ばします。
3度の下行、オケは5度の下行で、『30』。
G-Durの主和音です。
しかも、
この2重唱の中で、フィガロが演奏する最高音であるレに
ここで到達しました。
どうやら、『30と少し』という、
だいたいの大きさを測ることができたようです。
あとは、微調整。
26小節目から27小節目にかけての、
小躍りするような、可愛いフレーズに合わせて、
さらに10ツォル分、ツォルシュトックを伸ばして、
細かい数字を確認して、『36』。
目盛りを細かくきちんと確認しているようなフレーズです。
~ツォルシュトックの使い方~
そして、
ここで、そのツォルシュトックをそのまま持ち上げます。
この物差しの良い点は、固いことです。
金属製か木製のツォルシュトック。
モーツァルトやボーマルシェの時代なら、木製でしょう。
40ツォル分に伸ばした状態のまま、
持ち上げることができます。
スチール製の巻き尺よりも簡単に、
持ち上げて、方向を変えることができるのです。
1メートルの木製の物差しを持ち上げるような感覚で、
ツォルシュトックを持ち上げます。
スザンナの前奏とも表現した28小節目からのフレーズで、
90度、角度を変えました。
そして、『43』。
縦の丈が43ツォル、横の幅が36ツォル。
ダブルサイズのベッドの大きさを測ることが出来ました。
……そして、この測り方は、
音楽的にもマッチしているような気がします……。
~ツォルという単位を定義する~
最初の前提に戻ります。
ツォルをインチと同程度の長さとして定義しましたが、
ツォルというのは、身体尺であり、
『親指分』の意味です。
インチと同じくらいの長さですが、同じ長さではなく、
現在はインチよりも少し短めと定義されています。
が、当時は『親指分』の長さと定義されていました。
つまり、世界基準ではなく、
国によって、地域によって、時代によって、人によって、
長さが変わります。
あるいは、
持っている物差しによって、長さはマチマチだということです。
尺や寸を考えてみるとわかりやすいかもしれません。
『私の親指で測った長さ』が『ツォル』です。
『親指分くらいの長さ』が『ツォル』です。
『親指分くらいの長さを測る物差し』が『ツォルシュトック』です。
よって、1親指(ツォル)は3センチであったかもしれませんし、
2センチしかなかったかもしれません。
1ツォルが5㎝だったと仮定します。
36ツォル×43ツォルのサイズのベッドは、
180㎝×215㎝です。
キングサイズよりも丈が長い、キングロングサイズのベッドです。
召使夫婦が使うには、大き過ぎます。
1ツォルが4㎝だったと仮定します。
36ツォル×43ツォルのサイズのベッドは、
144㎝×172㎝です。
ダブルサイズよりも少し丈の短い、ダブルショートサイズのベッドです。
オーストリアに居た頃、モーツァルトの家で見たベッドを
思い出してみます。
丈が短く、身長が低かったのかと感じたことを思い出します。
よって、144㎝×172㎝のベッドは、
モーツァルトやボーマルシェの時代の二人用ベッドとして、
合点がいくサイズだと思えます。
4.1㎝か4.2㎝か…。
とにかく、4㎝強くらいの長さが
フィガロの1親指(ツォル)サイズだったように思えます。
~結論~
フィガロが、ペータース版のト書き通りに、
ツォルシュトックという物差しを使っていたとしたら、
上記のように、パタパタと伸ばしつつ、
音楽に合わせて測量をしていたでしょう。
そして、
フィガロの使っていたツォルシュトックの1ツォルは、
だいたい4㎝強くらいであったでしょう。
そのように考えて
フィガロ役は演技をしてよいはずです。
5ツォル、10ツォル、20ツォル、30ツォル、36ツォルと43ツォル。
20㎝、40㎝、80㎝、120㎝、144㎝と172㎝。
フィガロや小道具さん、
ぜひこんなツォルシュトックを作ってください。
木製で、
10ツォル毎に蛇腹に折り畳めて、
それをさらに半分に折って、収納できるようなものを。