私の最も嫌いな言葉に、「オレもなったよ」というのがある。ある病気で苦しんでいる患者に、慰めのためや、自分がその病気を理解している事や、自分の見識、体験の豊富さや、それを克服した自分を自慢するため、からである。「オレもなったよ」だけでとどめるのなら悪くはない。むしろ、患者にとって力づけられる。しかし、その後、何を言うかで、180°方向が違ってしまう。「オレもなったよ」だけで、それで終わりならいいのだが。しかし、自分の経験だけから相手を理解した気になったり、自分の克服法を相手に押しつけずにはいられない人はよろしくない。そういうデリカシーのない人は結構、いるのである。そういう人は、苦しんでいる人にさらに鞭打っているということに自分でも気づいていないのである。世の中に、同じ顔の人が一人もいないように、全く同じ病気の人というのは一人もいないのである。本当に共通する部分だけに限定して、相手を慰めたり、自分の体験を話したりするのならいいのだが。そして、食い違う部分については、触れない方がいいのだが。世の中には、百花繚乱の健康法の本がある。それは自分の体験を一般論に敷衍させてしまっているからである。
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