過去の作品の方が、明らかに面白くて質が高いのに、人々は常に新しい作品を求める。それは、世間の人々が刺激を求めているからである。ちょうど、週刊漫画の表紙のビキニのグラビアアイドルや写真集を気に入って、それだけが欲しくて、その週刊漫画を買いたくなる心理と同じである。それで、買ってしまうこともあるが、一ヶ月もすると、あきてくる。そして、次なる刺激のあるグラビアアイドルを欲しくなる。その心理と同じである。
推理小説は、はたして文学なのだろうか。私は、文学の定義を、「何度も繰り返して読めること」であり、進行していくストーリーの中で、とどまれる、くすぐったい所、つまりは、言葉の重み、内容の重み、があるものが、文学だと思っている。私は再読できる推理小説というものを、すぐには思いつけない。
東野圭吾の「黒笑小説」を読む。すごい力量だ。ホームランは無いが、全ての作品が確実にヒットしている。察するに、どこにでもある、誰でも知ってる日常の一つの現象をヒントにして小説を作っている。確実にヒットに出来るという技術は、天才といって何ら過言ではない。
星新一はショート、ショートの天才などと、言われているけど、量が1000作とか、多いだけで、ヒット作はお目にかかったことがない。
星新一はショート、ショートの天才などと、言われているけど、量が1000作とか、多いだけで、ヒット作はお目にかかったことがない。