精神病院の入院形態は、三つある。措置入院(強制入院)、保護入院(本人が嫌がっても保護者の意志で患者を入院させる)、任意入院(患者本人の意志で入院)の三つである。保護入院は、患者が退院したくても、保護者と精神科医が認めなければ退院できないのである。
任意入院について、その言葉が、患者に誤解を起こしやすいと思うので書いておきたい。任意入院というと、本人の意志で入院したのだから、いつでも退院できると思う患者もいるのではないだろうか。そういう軽い気持ちで、入院する人もいるのではないだろうか。だが、実際は、そうではないのである。任意入院で入院しても精神科医の判断で、すぐに保護入院に切り替える事ができるのである。保護入院になってしまえば、退院したいと思っても、精神科医と保護者が許可しなければ、永遠に退院することは出来ないのである。入院時に、そういう事をきちんと患者が納得するまで説明すべきなのだが、ちゃんと説明しない精神科医や精神病院が多いのである。患者は、そういう事をしっかり理解してほしいと思う。任意入院は、けっして任意で自由な入院ではないのである。私は、「任意」という言葉がイメージとして不適切だと思う。任意入院は、任意に入院して、任意に退院できる入院ではないのである。「任意入院」ではなく、「同意入院」とでも名前を変えた方がいいと思う。
厚生省も、保護入院より、できるだけ、任意入院での入院を推奨しているし、また、こんな事を書けば、精神病院に患者が入院したがらなくなる人も出てくるかもしれないから、経営のため患者をとりたい精神病院としては、こういう発言は不快に思う精神科医もいるかもしれない。しかし私は、精神科医なんか、どうでもよく、精神科の世界から爪弾きにされても、痛くも痒くもないので、書いておく。また、任意入院の時、ちゃんと説明していない精神科医が多い。仕事に慣れきってしまってだれているのである。
ちゃんと説明しない理由は、だれている面もあるから、私の説明を、むしろ歓迎してくれる精神科医もいるかもしれない。まあ、だが、ともかく、私が、何を言っても、精神病院の入院者数に変化なんか起こらないだろうから、たいした問題ではない。
精神科を選んだら、精神保健指定医の国家資格を取らなくてはならない。指定医の資格がなければ、就職も、精神科クリニック開業も、できないから、指定医の事は、早くから、しっかり理解しておいた方がいい。指定医をとるには、8症例のレポートを書かなくてはならない。8症例とは、統合失調症3症例(そのうち一つは措置入院)、躁鬱病、中毒(アルコールとか、覚醒剤)、小児精神病、認知症、器質性精神病(内科疾患で精神病合併したもの、頭部外傷、SLEなど)の8症例である。これらは全部、保護入院でなくてはならい。このうち、措置と小児の症例が、手に入りにくい。基本的に入院から、退院までの症例であるが、入院か退院のどちらかが含まれていて、三ヶ月していれば、それはレポートとして認められるのである。早くから、一度、厚生省に電話して、精神保健指定医研修会に出てみるといい。三日で5万の講習会である。夏のおわりと、11月に、年二回やっている。レポートは、四百字の原稿用紙3枚~5枚と、極めて少ない。こんな簡単なレポートなのに、指定医の合格率は65%とかなり低い。医師国家試験の方が、ずっと難しいのに、合格率9割前後と較べると、驚く数字である。国家試験に通ったんだから、といって、だれているとしか思えない。レポートの審査は、夏と冬の年二回やってくれる、ということも、なめる原因ではなかろうか。
症例は、通りやすい患者の症例でなければならない。
一言で言って、暴れて入院したが、薬が効いて、めでたく退院して通院治療になった、という症例がいいのである。そういう症例なら、入院期間は2週間であっても、全く問題なく通るのである。逆に、薬が効かない症例では、保護入院であっても、10年も診療した症例であってもダメなのである。だから、通るレポートを書くためには、出来るだけ早く、研修医のうちから、自覚していた方がいい。むしろ、研修医で、大学病院の方が、指導もしっかりしていれば、症例も集まりやすく、いいのである。
僻地の民間病院だと、レポートをとって指定医になって、辞めて都会の病院に転職する事を院長がおそれて、いい症例を担当させてくれない、意地悪をすることがあるのである。それに較べると大学病院は、封建制で、給料も少なく教授の奴隷にならなくてはならないが、そのかわり面倒見がいいから、通るレポートが手に入りやすいのである。
さて、症例は、入院から退院までが必要なのだが、同じ病院に入院してても入院形態が変更すると、それは、入院や退院と同じ意味になるのである。任意入院から保護入院への変更は、入院と同じ意味になり、保護入院から任意入院への変更は、退院と同じ意味になるのである。だから、患者が退院しなくても、入院形態が変われば、十分通るレポートは書けるのである。だが、患者が入院しても、他の病院から転院では、入院とはならないのである。入院形態の変更は、病状が変わったという意味に解釈するのである。任意から保護への変更は、症状悪化であり、入院と同じ意味になるのである。保護から任意への変更は症状軽減であり、退院と同じ意味と解釈するのである。転院は、病院がかわっただけで、症状は変わりないから、入院とも退院とも見なされないのである。ここらへんの事はどこにも書いてないし、研修会でも説明しない。これの意味が解っていない人が、かなりいるから、指定医の合格率も低い面もあると思う。実際、こういう意味が全然分かっていない精神保健指定医の院長がいるのである。
任意入院について、その言葉が、患者に誤解を起こしやすいと思うので書いておきたい。任意入院というと、本人の意志で入院したのだから、いつでも退院できると思う患者もいるのではないだろうか。そういう軽い気持ちで、入院する人もいるのではないだろうか。だが、実際は、そうではないのである。任意入院で入院しても精神科医の判断で、すぐに保護入院に切り替える事ができるのである。保護入院になってしまえば、退院したいと思っても、精神科医と保護者が許可しなければ、永遠に退院することは出来ないのである。入院時に、そういう事をきちんと患者が納得するまで説明すべきなのだが、ちゃんと説明しない精神科医や精神病院が多いのである。患者は、そういう事をしっかり理解してほしいと思う。任意入院は、けっして任意で自由な入院ではないのである。私は、「任意」という言葉がイメージとして不適切だと思う。任意入院は、任意に入院して、任意に退院できる入院ではないのである。「任意入院」ではなく、「同意入院」とでも名前を変えた方がいいと思う。
厚生省も、保護入院より、できるだけ、任意入院での入院を推奨しているし、また、こんな事を書けば、精神病院に患者が入院したがらなくなる人も出てくるかもしれないから、経営のため患者をとりたい精神病院としては、こういう発言は不快に思う精神科医もいるかもしれない。しかし私は、精神科医なんか、どうでもよく、精神科の世界から爪弾きにされても、痛くも痒くもないので、書いておく。また、任意入院の時、ちゃんと説明していない精神科医が多い。仕事に慣れきってしまってだれているのである。
ちゃんと説明しない理由は、だれている面もあるから、私の説明を、むしろ歓迎してくれる精神科医もいるかもしれない。まあ、だが、ともかく、私が、何を言っても、精神病院の入院者数に変化なんか起こらないだろうから、たいした問題ではない。
精神科を選んだら、精神保健指定医の国家資格を取らなくてはならない。指定医の資格がなければ、就職も、精神科クリニック開業も、できないから、指定医の事は、早くから、しっかり理解しておいた方がいい。指定医をとるには、8症例のレポートを書かなくてはならない。8症例とは、統合失調症3症例(そのうち一つは措置入院)、躁鬱病、中毒(アルコールとか、覚醒剤)、小児精神病、認知症、器質性精神病(内科疾患で精神病合併したもの、頭部外傷、SLEなど)の8症例である。これらは全部、保護入院でなくてはならい。このうち、措置と小児の症例が、手に入りにくい。基本的に入院から、退院までの症例であるが、入院か退院のどちらかが含まれていて、三ヶ月していれば、それはレポートとして認められるのである。早くから、一度、厚生省に電話して、精神保健指定医研修会に出てみるといい。三日で5万の講習会である。夏のおわりと、11月に、年二回やっている。レポートは、四百字の原稿用紙3枚~5枚と、極めて少ない。こんな簡単なレポートなのに、指定医の合格率は65%とかなり低い。医師国家試験の方が、ずっと難しいのに、合格率9割前後と較べると、驚く数字である。国家試験に通ったんだから、といって、だれているとしか思えない。レポートの審査は、夏と冬の年二回やってくれる、ということも、なめる原因ではなかろうか。
症例は、通りやすい患者の症例でなければならない。
一言で言って、暴れて入院したが、薬が効いて、めでたく退院して通院治療になった、という症例がいいのである。そういう症例なら、入院期間は2週間であっても、全く問題なく通るのである。逆に、薬が効かない症例では、保護入院であっても、10年も診療した症例であってもダメなのである。だから、通るレポートを書くためには、出来るだけ早く、研修医のうちから、自覚していた方がいい。むしろ、研修医で、大学病院の方が、指導もしっかりしていれば、症例も集まりやすく、いいのである。
僻地の民間病院だと、レポートをとって指定医になって、辞めて都会の病院に転職する事を院長がおそれて、いい症例を担当させてくれない、意地悪をすることがあるのである。それに較べると大学病院は、封建制で、給料も少なく教授の奴隷にならなくてはならないが、そのかわり面倒見がいいから、通るレポートが手に入りやすいのである。
さて、症例は、入院から退院までが必要なのだが、同じ病院に入院してても入院形態が変更すると、それは、入院や退院と同じ意味になるのである。任意入院から保護入院への変更は、入院と同じ意味になり、保護入院から任意入院への変更は、退院と同じ意味になるのである。だから、患者が退院しなくても、入院形態が変われば、十分通るレポートは書けるのである。だが、患者が入院しても、他の病院から転院では、入院とはならないのである。入院形態の変更は、病状が変わったという意味に解釈するのである。任意から保護への変更は、症状悪化であり、入院と同じ意味になるのである。保護から任意への変更は症状軽減であり、退院と同じ意味と解釈するのである。転院は、病院がかわっただけで、症状は変わりないから、入院とも退院とも見なされないのである。ここらへんの事はどこにも書いてないし、研修会でも説明しない。これの意味が解っていない人が、かなりいるから、指定医の合格率も低い面もあると思う。実際、こういう意味が全然分かっていない精神保健指定医の院長がいるのである。