樋田淳也は知能犯。
「只今、自転車にて日本縦断中!」、などと、スポーツタイプの自転車に書いて、堂々と、街中を走っていた。
オウム真理教の、菊池直子や、高橋克也、は、ひたすら、逃げ隠れた。
逃走犯は、身を隠す、という、犯罪心理学の常識を覆した。
度胸があるというのか、どうせ、いつか、捕まるんだから、という理由で、警察をおちょくったのか、それは、知らないが、面白いヤツだ。
留置場くらし、が、退屈になって、ちょっとだけ、外の空気を吸ってみたいと、思ったのか。
☆
ならば、留置場くらしの、長い、容疑者たちは、たまには、20人くらい、集合させて、日本の、どこかの観光地に、バス旅行させて、やってはどうだろうか。
あるいは、希望者には、老人介護をさせるとか。
無実なのに、冤罪で、留置場に、入れられている容疑者も、数えきれないほど、いるのだから。
☆
あるいは、食料を渡し、無人島に、連れてって、アウトドアの生活を、二日くらい、させてやるとか。
キャンプファイヤーで、缶詰の保存食糧を食べながら。
歌うのは、当然、エルビス・プレスリーの、Jailhouse Rock(監獄ロック)
The warden threw a party
看守が盛大なパーティーを開こうなんて言い出しやがった
in the county jail.
こんな田舎の監獄でな
The prison band was there
俺達はこの監獄でバンドを組んでいるからよ
and they began to wail.
そりゃあ泣き叫ぶ程に嬉しかったさ
The band was jumpin’
俺達は演奏しながら跳び跳ねる
and the joint began to swing.
そして音楽に合わせて体を動かす
You should’ve heard those
お前さんも聴いておくべきだったぜ
knocked out jailbirds sing.
檻の中を行ったり来たりの常習犯共も俺達の音楽に聞き惚れてやがった
Let’s rock, everybody, let’s rock.
さぁ一緒に唄おうぜ 皆一緒に唄おう
Everybody in the whole cell block
独居房に居る奴等も唄えよ
was dancin’ to the Jailhouse Rock.
俺達の唄で皆楽しそうに踊ってやがる
あるいは、歌舞伎の、白波五人男
日本駄右衛門
問われて名乗るもおこがましいが 産まれは遠州浜松在
十四のときから親に放れ 身の生業も白浪の
沖を越えたる夜働き 盗みはすれど非道はせず
人に情けを掛川から 金谷をかけて宿宿で
義賊と噂高札に 回る配布の盥越し
危ねえその身の境涯も 最早四十に人間の定めはわずか五十年
六十余州に隠れのねえ 賊徒の首領日本駄右衛門
弁天小僧菊之助
さてその次は江ノ島の 岩本院の稚児上がり
平生着慣れし振袖から 髷も島田に由比ヶ浜
打ち込む浪にしっぽりと 女に化けた美人局
油断のならぬ小娘も 小袋坂に身の破れ
悪い浮名も龍の口 土の牢へも二度三度
だんだん越える鳥居数 八幡さまの氏子にて
鎌倉無宿と肩書きも 島に育ってその名さえ
弁天小僧菊之助
忠信利平
続いて次に控えしは 月の武蔵野江戸育ち
幼児の折から手癖が悪く 抜け参りからぐれ出して
旅をかせぎに西国を 回って首尾も吉野山
まぶな仕事も大峯に 足を留めたる奈良の京
碁打ちと言って寺寺や 豪家へ入り込み盗んだる
金が御嶽の罪科は 蹴抜の塔の二重三重
重なる悪事に高飛びなし 後を隠せし判官の
御名前騙りの忠信利平
赤星十三郎
またその次に列なるは 以前は武家の中小姓
故主のために切取りも 鈍き刃の腰越や 砥上ヶ原に身の錆を
砥ぎなおしても抜け兼ねる 盗み心の深翠り
柳の都谷七郷 花水橋の切取りから 今牛若と名も高く
忍ぶ姿も人の目に 月影ヶ谷神輿ヶ嶽
今日ぞ命の明け方に 消ゆる間近き星月夜
その名も赤星十三郎
南郷力丸
さてどんじりに控えしは 潮風荒き小ゆるぎの
磯慣れ松の曲がりなり 人となったる浜育ち
仁義の道も白川の 夜船へ乗り込む船盗人
波にきらめく稲妻の 白刃に脅す人殺し
背負って立たれぬ罪科は その身に重き虎ヶ石
悪事千里というからは どうで終いは木の空と
覚悟は予て鴫立沢 然し哀れは身に知らぬ
念仏嫌いな 南郷力丸
「只今、自転車にて日本縦断中!」、などと、スポーツタイプの自転車に書いて、堂々と、街中を走っていた。
オウム真理教の、菊池直子や、高橋克也、は、ひたすら、逃げ隠れた。
逃走犯は、身を隠す、という、犯罪心理学の常識を覆した。
度胸があるというのか、どうせ、いつか、捕まるんだから、という理由で、警察をおちょくったのか、それは、知らないが、面白いヤツだ。
留置場くらし、が、退屈になって、ちょっとだけ、外の空気を吸ってみたいと、思ったのか。
☆
ならば、留置場くらしの、長い、容疑者たちは、たまには、20人くらい、集合させて、日本の、どこかの観光地に、バス旅行させて、やってはどうだろうか。
あるいは、希望者には、老人介護をさせるとか。
無実なのに、冤罪で、留置場に、入れられている容疑者も、数えきれないほど、いるのだから。
☆
あるいは、食料を渡し、無人島に、連れてって、アウトドアの生活を、二日くらい、させてやるとか。
キャンプファイヤーで、缶詰の保存食糧を食べながら。
歌うのは、当然、エルビス・プレスリーの、Jailhouse Rock(監獄ロック)
The warden threw a party
看守が盛大なパーティーを開こうなんて言い出しやがった
in the county jail.
こんな田舎の監獄でな
The prison band was there
俺達はこの監獄でバンドを組んでいるからよ
and they began to wail.
そりゃあ泣き叫ぶ程に嬉しかったさ
The band was jumpin’
俺達は演奏しながら跳び跳ねる
and the joint began to swing.
そして音楽に合わせて体を動かす
You should’ve heard those
お前さんも聴いておくべきだったぜ
knocked out jailbirds sing.
檻の中を行ったり来たりの常習犯共も俺達の音楽に聞き惚れてやがった
Let’s rock, everybody, let’s rock.
さぁ一緒に唄おうぜ 皆一緒に唄おう
Everybody in the whole cell block
独居房に居る奴等も唄えよ
was dancin’ to the Jailhouse Rock.
俺達の唄で皆楽しそうに踊ってやがる
あるいは、歌舞伎の、白波五人男
日本駄右衛門
問われて名乗るもおこがましいが 産まれは遠州浜松在
十四のときから親に放れ 身の生業も白浪の
沖を越えたる夜働き 盗みはすれど非道はせず
人に情けを掛川から 金谷をかけて宿宿で
義賊と噂高札に 回る配布の盥越し
危ねえその身の境涯も 最早四十に人間の定めはわずか五十年
六十余州に隠れのねえ 賊徒の首領日本駄右衛門
弁天小僧菊之助
さてその次は江ノ島の 岩本院の稚児上がり
平生着慣れし振袖から 髷も島田に由比ヶ浜
打ち込む浪にしっぽりと 女に化けた美人局
油断のならぬ小娘も 小袋坂に身の破れ
悪い浮名も龍の口 土の牢へも二度三度
だんだん越える鳥居数 八幡さまの氏子にて
鎌倉無宿と肩書きも 島に育ってその名さえ
弁天小僧菊之助
忠信利平
続いて次に控えしは 月の武蔵野江戸育ち
幼児の折から手癖が悪く 抜け参りからぐれ出して
旅をかせぎに西国を 回って首尾も吉野山
まぶな仕事も大峯に 足を留めたる奈良の京
碁打ちと言って寺寺や 豪家へ入り込み盗んだる
金が御嶽の罪科は 蹴抜の塔の二重三重
重なる悪事に高飛びなし 後を隠せし判官の
御名前騙りの忠信利平
赤星十三郎
またその次に列なるは 以前は武家の中小姓
故主のために切取りも 鈍き刃の腰越や 砥上ヶ原に身の錆を
砥ぎなおしても抜け兼ねる 盗み心の深翠り
柳の都谷七郷 花水橋の切取りから 今牛若と名も高く
忍ぶ姿も人の目に 月影ヶ谷神輿ヶ嶽
今日ぞ命の明け方に 消ゆる間近き星月夜
その名も赤星十三郎
南郷力丸
さてどんじりに控えしは 潮風荒き小ゆるぎの
磯慣れ松の曲がりなり 人となったる浜育ち
仁義の道も白川の 夜船へ乗り込む船盗人
波にきらめく稲妻の 白刃に脅す人殺し
背負って立たれぬ罪科は その身に重き虎ヶ石
悪事千里というからは どうで終いは木の空と
覚悟は予て鴫立沢 然し哀れは身に知らぬ
念仏嫌いな 南郷力丸