古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十九章 拝仕御米之事 其の六

2014年09月25日 06時36分46秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第二頁、上の三~四行目

 

解読 無利足三拾年賦ニ御貸下ケ被為成下、訳而被仰

    聞候御趣一同恐入難有仕合ニ奉存候。返上納之儀ハ

読み 無利息三十年賦にお貸し下げ成し下せられ、わけて仰せ

 聞かされ候御趣、一同恐れ入り有り難き幸せに存じ奉り候。返上納の儀は

解説 「無利足」・・・「無利息」と同じです。当て字。 「三拾年賦ニ」・・・三十年間、毎年一回払いに」。 「御貸下ケ被為成下」・・・お貸し下げ成し下せられ。貸して下さり。 「訳而」・・・『わけて』。とりわけ。 「被 仰聞」・・・仰せ聞かされ。丁寧な敬語です。「被」と「仰」の間が一字分空いているのは、「欠字」と言って、上の人に対して敬意を表す為に「仰」のすぐ上を一字空けて書く書き方が礼儀でした。 「聞候御趣」・・・「聞」も形で覚える字です。次の縦棒は「候」です。「御趣」は何となく判ります。 「難有仕合ニ」・・・有り難き仕合わせに。「有」は超難解文字の一つです。「仕合」・・・『しあわせ』と読む。「幸せ」の当て字。 「奉存」の次の「レ」の様な字は「候」です。


第二十九章 拝仕御米之事 其の五

2014年09月24日 06時09分41秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第二頁、上の一~二行目

 

解読 手段無御座、甚難儀仕候ニ付、猶又年賦返納ニ

    奉願上候處、御慈悲之御取扱を以、當巳より

読み 手段御座無く、甚だ難儀仕り候に付き、猶又年賦返納に

    願い上げ奉り候処、お慈悲のお取扱を以当巳より

 

解説 「手段」・・・目的を達する為の方法。手立て。 「無御座」・・・御座無く。「無く」の丁寧な言い方。 「甚」・・・一字で『はなはだ』と読む。たいへん。 次は「難儀仕候ニ付」・・・たいへん難儀したので。 「猶又」・・・読むのは困難です。形で覚える。『なおまた』。 「年賦返納ニ」・・・年一回払いに。 「奉願上候處」・・・御願いしました所。 「御慈悲之御取扱を以」・・・お情け深いお取扱をして戴いて。 「當巳より」・・・本年巳年から。 


第二十九章 拝仕御米之事 其の四

2014年09月23日 05時53分35秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第一頁、上の本文の五~六行目

 

解読 候處、先達而納方御取調御諭ニ付、色々与勘弁仕

    精々取立内納仕候得共、残米本行之通取立方

 

読み 候処先達て納め方お取調べお諭しに付き色々と勘弁仕り

  精々取り立て内納仕り候えども、残米本行の通り取り立て方

 

解説 「(御願い申し上げ)候處」・・・年賦返済で刈り入れを御願い申し上げましたが。 「先達」の次の字は「而」です。文章の流れで読む。 「納方」・・・返済米の納め方。 「御取調」の次は「御諭」・・・御諭し『おさとし』、言い聞かせて納得させる。 「色々与」・・・色々と。「与」は変体仮名の「と」。 「勘弁仕」・・・勘弁仕り、こちらの苦しい内情をよく考えて戴いて。 六行目はじめは「精々」・・・『せいぜい』。 「取立」・・・百姓から米を取り立てる事。 「内納」・・・分割で納付する事。 「仕候得共」・・・致しましたが。 「残米」・・・「残」も難しい崩しです。 「本行之通り」・・・この文章の通り。 最後は「取立方」。


第二十九章 拝仕御米之事 其の三

2014年09月22日 06時10分56秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第一頁、上の本文の三~四行目

 

解読 難渋仕御下ケ之義奉願上候得共、外々江

    差支御取扱難相済由ニ付、年賦拝借御願申上

読み 難渋仕り、お下げの義願い上げ奉り候得ども、外々へ

 差し支え、お取扱相済み難き由に付き、年賦拝借御願申し上げ

 

解説 「難渋仕」・・・難渋仕り。生活に困り。 「御下ケ之義」・・・お米を援助して下さる件。 「奉願上候得共」・・・願い上げ奉りそうらえども。御願い致しましたが。「得共」も難解。 「外々江」・・・外部へ。 「差支」・・・差し支え。支障が有ること。此の字も読むのは困難です。 「御取扱」・・・お取り扱い。「取」も難解文字。 「難相済由ニ付」・・・相済み難き由に付き。援助する事は、外部へ差し支えるので、取り扱う事は出来ない由に付き。 「年賦拝借」・・・年賦返済でお借りすると言う事で。この字もとても難しいです。 最後は「御願申上」です。 


第二十九章 拝仕御米之事 其の二

2014年09月21日 05時56分55秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第一頁、上の本文の一~二行目

 

解読 右者私共浦村嘉永五子年ひそん傷ニ付

    荒多ク上毛高へもたれ強『つをく』御年貢志のぎ難

読み 右は私ども浦村嘉永五子年、ひそん傷みに付き

    荒れ多く上毛高へもたれ強く、御年貢凌ぎ難く

解説 「右は」・・・右に書いた米拝借願いの件は。 「私共」・・・「共」がわかりにくいですが、この文書は、全体に文字は読みにくい様です。

「浦村」・・・「浦」もわかりにくい。 「嘉永五子年」・・・江戸時代の人々はどの様に読んだのかわかりませんが、この様に書きます。一八五二年。「年」は前行にも出ましたが、形で覚えるよりほか有りません。 「ひそん傷」・・・漢字で書けば「干損傷み」。旱魃で田畑が乾いて、収穫が少ない事。 「荒多ク」・・・「荒」も「多」も難解です。穀物の実りが少ないこと。 「上毛高」・・・収穫の多い年の穫れ高。「毛」はヒラカナの元字で「も」ですがここでは漢字の「毛」。 「もたれ強」・・・強く依存すること。「強」・・・読めませんが「つをく」と振り仮名が付いています。「つよい」を「つおい」と発音するのはこの地方の方言の一種です。 「御年貢」・・・「具」が読めませんが、文章の流れで読みます。 「志のぎ難」・・・凌ぎ難く。年貢納付と言う大事を乗り越えるのが難しく。