古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十九章 拝仕御米之事 其の一

2014年09月20日 07時24分57秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「拝仕御米之事」第一頁、上の表題部と一~二行目。

 

解読      拝仕御米之事

      一、御米九石也       田并上村

            但シ壱ケ年三斗ツゝ

読み      拝仕るお米の事

     一つ、お米九石也      田並上村

            但し一ケ年三斗づつ

解説 「拝仕」・・・「拝借」のつもりで書いていますが、「借」の文字を忘れたのだと思います。本文中では「拝借」と出て来ます。「お借りするお米のこと。」 「田并上村」・・・田並上村。 「壱ケ年三斗づつ」・・・「年」の崩し方も難しい。「斗」も読むのは困難です。一石は十斗、一斗は十升です。年三斗づつでは、三十年を要します。利息の規定は有りませんが、どうなっているのか判りません。 表題部の次の行の薄い文字は、用紙の裏面に書いている文字が、映って見えているものです。前章・前々章に引き続き、飢饉による米の借用願いの勉強です。


第二十八章 乍恐拝借仕米之事 其の六

2014年09月19日 08時14分49秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐拝借仕御米之事」第二頁、上の四行目以下。

 

解読 御座候。依之乍恐借状書付差上申候。已上。

    明次二年十一月     田並上村庄屋  榮蔵

                   同所   肝煎  才助

     藤本源二郎殿

読み 御座候。これに依って恐れ乍ら借状書付差し上げ申し候。以上。

    以下読みは省略。

解説 「御座候」・・・仕らせるべき筈に御座候。返済させるべき筈で御座います。 「依之」・・・慣用句です。「これに依って」。 「乍恐」・・・慣用句で、「恐れながら」。 「借状書付」・・・『しゃくじょうかきつけ』。拝借状証書。「書」の崩しは超難解文字になります。回数で覚える字。 「已上」・・・「以上」と同じ。 「明次」・・・明治改元後まだ日が浅いので、時々この様な「明次」が出て来ます。 藤本源二郎さんは、郷役所と呼ばれていた当時の田辺藩の役人です。


第二十八章 乍恐拝借仕米之事 其の五

2014年09月18日 06時01分09秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「乍恐拝借仕御米之事」第二頁、上の二~三行目

 

解読 御貸居ニ被為成下、重々難有奉仕合存候。左候へ者

    来ル午秋出来ヲ以元利無滞御返上納可為仕筈ニ

読み お貸し据えに成し下せられ、重々有り難き仕合わせに存じ奉り候。左候えば

    来たる午秋出来を以て元利滞り無く、御返上納仕らせるべき筈に

解読 「御貸居ニ」・・・お貸し付けに。 「被為成下」・・・「成し下す」に「せられ」が付いて、「成し下せられ」丁寧な言葉遣いになります。 「重々」・・・「重」は何となく判ります。 「難有」・・・有り難き。 「奉仕合存候」・・・「仕合」は上からの続きで、「有り難き仕合わせに」と読みます。 続けて「存じ奉り候」。 「左候へ者」・・・「者」は変体仮名の「は」で、「さそうらへば」と読みます。「そうであるならば」。 古文書特有の言葉です。覚えましょう。 「午秋」・・・「午」は明治二年のこと。 「出来」・・・収穫。米の獲れ高。 「元利」・・・本書には利息の表示が有りませんが、別に決めていたものと推定されます。 「無滞」・・・滞り無く。 「御返上納」・・・返済し納付する。 「可為仕」・・・仕らせるべき。 最初の「御貸居」は、私の解釈ですから、間違っているかも知れません。


第二十八章 乍恐拝借仕米之事 其の四

2014年09月17日 07時03分56秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「乍恐拝借仕御米之事」第一頁、上の六~七行目

 

解読 百姓共ニ而取立仕兼本行之通御貸居ニ

    被為成下様奉願上候処格別之御了簡ヲ以

読み 百姓どもにて取り立て仕り兼ね、本行の通り御貸し据えに

    成し下せられる様願い上げ奉り候処、格別の御了簡を以て

解説 「百姓共ニ而」・・・百姓どもにて。百姓だけでは。 「取立仕兼」・・・取り立て仕り兼ね。取立をする事が出来ない。「仕兼」、『つかまつりかね』もよく出る言葉です。 「本行之通」・・・本文の通り。 「御貸居ニ」・・・「居」には、「据える」『すえる』と言う意味もありますので、「お貸し据えに」と解釈しておきます。「お貸し下げ」と同じ意味と考えます。 「被為成下様」・・・成し下せられる様。「して下さい」の丁寧な言い方です。 「格別」・・・「別」の崩し字も超難解です。「前」の崩し字と良くにています。 「御了簡」・・・『ごりょうけん』、取り計らい。


第二十八章 乍恐拝借仕米之事 其の三

2014年09月16日 08時26分46秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

「乍恐拝借仕御米之事」第一頁、上の四~五行目

 

解読 奉存候。然ル処此節出来ヲ以皆御返上納

    可仕筈ニ候得共、當年も殊之外凶作ニ付難渋

読み 存じ奉り候。然る処、此の節出来を以て皆御返上納

    仕るべき筈に候得ども、当年も殊の外凶作に付き難渋

解説 「奉存候」・・・(有り難き幸せに)存じ奉り候。存じ奉ります。 「然ル処」・・・ところが。然しそう言った状況の中で。 「此節」・・・この節。今年の。 「出来」・・・収穫。米の取れ高。 「皆御返上納」・・・この「皆」は『かい』と読みます。すべて一括して返済上納する事。 「候得共」・・・そうらえども。御座いましたが。 「殊之外」・・・殊の外。「殊」は難しいですが、形は何となく理解出来ます。 「難渋」・・・二回目です。