かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 213(中国)

2019-04-11 22:10:44 | 短歌の鑑賞
馬場あき子の旅の歌28(2010年5月実施)
    【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)171頁~
     参加者:曽我亮子、F・H、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子 司会とまとめ:鹿取 未放


213 老仙は哈密(はみ)の黄土を打つ人なり水精(みづは)棲む大き瓜を売りゐつ

        (レポート)
 天山南路と西路の分岐点として繁栄する地に作者はいる。はるばる来て西王母に想いを馳せ、飛天芸術にも接した。ここで老人にあえば「黄土を打つ人なり」であっても、それはもう老爺ではなく「老仙」と呼びたい気分であろう。土地の代表的産物の瓜を作り、売っているというのだ。しかしながら、そこは老仙の商い物「水精棲む大き瓜」というのも、なかなか楽しい。瓜からうりこ姫誕生のお噺しもあることから、水分の多い瓜に作者らしい空想を点じた一首である。(慧子)


     (当日発言)
 哈密は甘くて美味しい哈密瓜で有名だが、その瓜を育む地は黄土なのだ。老人がその黄土を耕し、瓜を作って売っている。飛天図を見てきた余韻からか、老人が仙人に見える。仙人が作る水分たっぷりの甘い哈密瓜には水の精が棲んでいるのだ。(鹿取)

コメント
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