かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 325(トルコ)

2019-09-06 19:09:04 | 短歌の鑑賞
   馬場あき子旅の歌44(11年10月実施)
    【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P146~
     参加者:泉可奈・N・I、K・I、崎尾廣子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                     

325 水涸れし瞑想の泉に膝つきてかの日いもうとがみしものを見む

      (レポート)
 今、瞑想の泉には水が無い。そこで先生は、その淵に膝を付き、いもうと様が、かつての日に見ようとされたトルコタイルの美しさを仰ぎ見ようとされておられる。そこにはいもうと様への鎮魂の感情も流れている。(T・H)


     (当日意見)
★「膝つきて」で鎮魂の気持ちを表している。(慧子)
★亡くなった方はタイルの美しさだけに見ほれていたのだろうか。もしかしたらタイルの向こうに
 トルコの歴史、民族、政治等さまざまなもの、宗教的な人間存在とは何かを見ていたのではない
 か。何と言っても場所は「瞑想の泉」なのだから。と、作者が思ったかどうかは分からないが、
 少なくとも今作者は、眼前に見える建物や風景の美しさだけを見ているのではない。「見む」は
 意志であるから、作者はいもうとが見て感じたことの追体験をしようとしている。(鹿取)


コメント
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