かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 327(トルコ)

2019-09-08 20:58:04 | 短歌の鑑賞
   馬場あき子旅の歌44(11年10月実施)
    【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P146~
     参加者:泉可奈・N・I、K・I、崎尾廣子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                     

327 苦悩なき顔もて貧しき老爺たち夕べのチャイを道にゐて飲む

     (レポート)
 乾燥地帯ではチャイをよく飲む。貧しい身なりをした老爺たちが、チャイハナの縁台に座ってチャイを飲みながら四方山話に花を咲かせている。彼等に「苦悩」がないかどうかはわからない。むしろ苦悩はいろいろあるだろうが暢気そうな顔をしておしゃべりを楽しんでいる。先生はその情景をご覧になって、むしろほっとしておられるのではないだろうか。(T・H)


      (当日意見)
★苦悩ある顔だからこういっている。(泉)
★貧しいけれど精神的に豊かな顔をしている。(N・I)
★書いてある通りに読めばよい。(藤本)
★「苦悩なき顔」はねじ伏せた使い方。(鹿取)


     (まとめ
 もちろん苦悩が無いわけではないが、それを表に出して深刻そうな顔はせず、あくまで穏やかな顔つきをしているのだろう。だから作者は老爺たちの内面は承知の上で「苦悩なき顔」と詠っている。古文の「ゐる」は座る・しゃがむの意味なのだが、ここの「ゐ」はそれで、集まった貧しい老爺たちは道にしゃがむか座るかしてチャイを飲んでいるのである。(鹿取)


コメント
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