かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 336(スイス)

2019-09-17 18:59:04 | 短歌の鑑賞
 馬場あき子の外国詠46(2011年12月実施)
     【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)167頁~
     参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、たみ、藤本満須子、渡部慧子 
      レポーター:崎尾 廣子 司会とまとめ:鹿取 未放
    

336 風景は人間を抱き暮れゆけどグリンデンワルドの山夜を圧倒す

      (当日意見)
★街は人間くさいところで、人間のいとなみと自然を対比し、自然への畏敬を詠っている。
   (N・I)
★グリンデンワルドに降りると突然屹立して現れるというから、山はアイガーであろう。(藤本)
★「グリンデンワルドの/山夜(さんや)を圧倒す」とレポーターは読まれたが、そこは「グリ
 ンデンワルドの山(やま)/夜を圧倒す」だろう。(鹿取)
★人間の営みとか業を拒絶して山は屹立している。自然の山の前では人間は何ものでもない。上の
 句との対比で下の句の怖さがよけいに際だっている。(たみ)  


      (まとめ)
 たみさんの意見に同感である。335番歌(氷河渉るマンモスの足の重さもて佇めば襲ひくる白きアイガー)の続きで、夜の暗闇にあってますます山の持つ神秘的な恐ろしさを感じとっているのだろう。もちろん、民家やホテルに明かりは点いているが、人工の明かりなどは遙かに凌駕した圧倒的な山の力なのだろう。(鹿取)

コメント
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