かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 335(スイス)

2019-09-16 20:19:59 | 短歌の鑑賞
 馬場あき子の外国詠46(2011年12月実施)
     【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)167頁~
     参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、たみ、藤本満須子、渡部慧子
     レポーター:崎尾 廣子 司会とまとめ:鹿取 未放
    

335 氷河渉るマンモスの足の重さもて佇めば襲ひくる白きアイガー

         (まとめ)
 マンモスは氷河時代に棲息していた哺乳類動物だが、作者は獲物を求めて氷河をさまよう巨大なマンモスを思っている。空想しているうちに、餓えて氷河をわたりながら重い足を一時休めて佇むマンモスに作者がなりきってしまったのだ。その時、アイガーが「襲ひくる」のは、獣の本能的な実感であろう。「白き」という何でもない形容が、ここでは山の魔の恐ろしさをあますなく伝えている。ちなみにアイガーは標高3,970メートルで、切り立った峻険な北壁を持つ。(鹿取)


      (当日意見)
★作者は疲れてはいないが、自意識を出された。(慧子)
★雪崩が押し寄せて押しつぶされたマンモスが化石化している山。作者はマンモスと一体化してい
 る。前半字余りでずっと続く部分(氷河渉るマンモスの足の重さもて~佇めば)には、足を引き
 ずり引きずり息もたえだえにやっと登ってきた様子がよく伝わってくる。富士登山をしたときの
 ことを思い出しました。(たみ)

コメント
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