川を渡る馬たち、背景に色づいているのは農園のりんご
けっこう深い
馬を下りて木の橋を渡っているところ
写真入り 馬場あき子の外国詠17(2009年4月実施)
【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)86頁~
参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)
139 馬なければ歩みきれざりき高地ムスタンゆきゆきて四本(よもと)の柳植ゑきつ
(レポート)
今、馬場先生は、ようやく高地ムスタンの地にたどり着き、4本の柳を植えて来られた。これは今回のネパールへの旅のメイン・イベントであったろう。1本ではなく4本の柳というところがいい。近くに川が流れているのだろうか。風に靡く柳の姿を思い浮かべるだけで、気持ちが和らぐ。そのムスタンの地へは、馬がなければ来れなかった。馬が唯一の交通手段である。「ゆきゆきて」の語句にそれまでの道程のご苦労が偲ばれる。(T・H)
(まとめ)
行動半径を広げようとすれば、この土地では馬に乗るしかない。林檎を食べた農場の向かい側に、鱒の養殖場などがあった。これも近藤享氏指導のものである。そこに行くにはカルガンダキ川(幅70~80メートルといったところか)を渡らないといけないのだが、もう浅瀬ではなく、馬の腹くらいまで水かさがあった。素人はとてもそんな川を馬で渡ることが出来ないので、何人かの馬子さんたちが馬だけを向こう岸へ渡してくれた。われわれは材木を一本渡しただけの橋を幾つか渡り継いで向こう岸にたどり着いた。鱒の養殖場などを見学した後、更に河原を遡行して、広大な河川敷のような所に植樹をした。そのうちの幾本かは背丈ほどに育っていたと10年後にこの地を再訪した友人が教えてくれた。「ゆきゆきて」は「伊勢物語」の東下りを連想するが、旅のあてどないさびしさがにじんでいる。(鹿取)