馬場あき子の外国詠15(2009年1月実施)
【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)81頁~
参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)
128 ムスタンの満月ただにしろじろとニルギリを照らす一夜ありたり
(レポート)
井上靖の「ヒマラヤの満月」という短編小説にヒマラヤの風や霧やその匂いが読んでいるページにただようように書かれていて、出会えた月を「天の一角に白銀の欠片がおかれている」とあるらしい。掲出歌の「満月ただにしろじろと」とあるように、どうやらネパールで見る月は白いのかもしれない。さてその月をたずねた地名と共に「ムスタンの満月」と初句に置き、俳句の土地への挨拶にならったのかと思ったが、それのみではない。ムスタン、ニルギリと固有名詞を二度までうたいながら、一首が騒々しくなるどころか、静けさや荘厳が感じられ、「ニルギリを照らす一夜ありたり」とはそこに作者がいあわせたことをうかがわせて、表現に妙味がある。(慧子)
(まとめ)
「ムスタン」という語はジョムソンを含む広域の呼び名で、知名度はジョムソンより格段にムスタンの方が高い。そのムスタンに満月が照り輝き、一夜だったがその光景に遭遇して感銘を受けた。その貴重な一夜に巡り会えた尊さを言っているのだろう。
私事になるが、私がこの旅行を迷っていると「ニルギルに出る満月を見たくないですか」と旅行者の方に言われた。その殺し文句につられて馬場の旅に同行したが、口惜しいことにその美しい満月を眠っていて見損なったのだった。(鹿取)
【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)81頁~
参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)
128 ムスタンの満月ただにしろじろとニルギリを照らす一夜ありたり
(レポート)
井上靖の「ヒマラヤの満月」という短編小説にヒマラヤの風や霧やその匂いが読んでいるページにただようように書かれていて、出会えた月を「天の一角に白銀の欠片がおかれている」とあるらしい。掲出歌の「満月ただにしろじろと」とあるように、どうやらネパールで見る月は白いのかもしれない。さてその月をたずねた地名と共に「ムスタンの満月」と初句に置き、俳句の土地への挨拶にならったのかと思ったが、それのみではない。ムスタン、ニルギリと固有名詞を二度までうたいながら、一首が騒々しくなるどころか、静けさや荘厳が感じられ、「ニルギリを照らす一夜ありたり」とはそこに作者がいあわせたことをうかがわせて、表現に妙味がある。(慧子)
(まとめ)
「ムスタン」という語はジョムソンを含む広域の呼び名で、知名度はジョムソンより格段にムスタンの方が高い。そのムスタンに満月が照り輝き、一夜だったがその光景に遭遇して感銘を受けた。その貴重な一夜に巡り会えた尊さを言っているのだろう。
私事になるが、私がこの旅行を迷っていると「ニルギルに出る満月を見たくないですか」と旅行者の方に言われた。その殺し文句につられて馬場の旅に同行したが、口惜しいことにその美しい満月を眠っていて見損なったのだった。(鹿取)