かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 1の25

2020-05-20 18:37:31 | 短歌の鑑賞
    改訂版渡辺松男研究3【地下に還せり】
      『寒気氾濫』(1997年)12~
      参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      司会と記録:鹿取 未放(再構成版)



25 樹の抱く闇黒はかりがたけれど栃の実に日はそそいでおりぬ

★いろいろあるんだろうけれど栃には実が成り、それに日が照っている。(慧子)
★樹の方は計り知れない暗黒を抱いている。そういう樹に日はさんさんと降り注
 いでいるんだなあと感動している。(鹿取)
★人間を樹に託して表現しているのではないか。いろいろあるけどいいこともある
 よと。(曽我)
★私は逆に好きな栃を歌うのがメインだと思う。結果として人間もそうだよねとい
 うことは言えても、人間のことを言いたくて栃の樹に投影しているのではないと
 思う。(鹿取)
★暗黒とはどんなものかなと分からないところがある。(曽我)
★具体的に説明しろと言われたらできないけど、作者は目の前の栃の樹は暗黒を抱
 えていてそれははかりがたいと感じている。だから私はそのままそうなのねと受
 け取っている。(鹿取)


コメント
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