かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞 12

2020-05-29 18:06:34 | 短歌の鑑賞
ブログ版清見糺鑑賞 3  ピエタ  
                かりん鎌倉支部  鹿取未放     

12 ダイダロスの羽根借りゆかな低空の夜間飛行は誘蛾灯まで
                  「かりん」94年6月号     
 ダイダロスは古代の名工。クレタ王ミノスのためにラビュリントスを作った。後、囚われたが息子イカロスと翼を作って脱出。しかし、イカロスは高く飛びすぎたため、太陽の熱で翼のつなぎ目の鑞が溶けて墜落死した。
牢獄というには大げさだが、ある窮屈な場から、ダイダロスの羽を借りて飛んでいきたいという。しかもイカロスのように墜ちないために夜間、低空をゆくのである。だが行く先は誘蛾灯。恋する女が待つそこは太陽の熱よりも危険な罠かもしれない、ということも作者は予感している。結句に転換の妙がある。

コメント
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