ブログ版 清見糺の歌 8(修二会) 鎌倉なぎさの会
67 若狭井のふたはずすおと水のおと闇のそこより聞こえきて、春
「かりん」95年7月号
「おと」を二度重ねて春を待つ思いがこころよいリズムとなっているさわやかな歌。「若狭井」は「お水取り」の名の由来になった香水(きおうずい)を汲み出す井戸で、二月堂から離れた「閼伽井屋」という建物の中にある。この若狭井から汲み上げたお香水を二月堂の本尊である一一面観音にお供えするのが「お水取り」の儀式なのである。
もっともこのお香水、三月一三日の午前一時半頃、一本の蝋燭の火だけをたよりに汲み出すそうで、「閼伽井屋」に入れるのは決まった人だけ。練行衆が何重にもガードしているそうで二月堂内陣にいる作者に「若狭井のふたはずすおと」は聞こえない。作者のこころの耳が聞いた音である。だが闇の底でうずくまる作者には、長い冬を越えて世の中に春をもたらす音として聞こえたのだ。読点を置いて「春」で収めたリズムが力強い。(鹿取)
67 若狭井のふたはずすおと水のおと闇のそこより聞こえきて、春
「かりん」95年7月号
「おと」を二度重ねて春を待つ思いがこころよいリズムとなっているさわやかな歌。「若狭井」は「お水取り」の名の由来になった香水(きおうずい)を汲み出す井戸で、二月堂から離れた「閼伽井屋」という建物の中にある。この若狭井から汲み上げたお香水を二月堂の本尊である一一面観音にお供えするのが「お水取り」の儀式なのである。
もっともこのお香水、三月一三日の午前一時半頃、一本の蝋燭の火だけをたよりに汲み出すそうで、「閼伽井屋」に入れるのは決まった人だけ。練行衆が何重にもガードしているそうで二月堂内陣にいる作者に「若狭井のふたはずすおと」は聞こえない。作者のこころの耳が聞いた音である。だが闇の底でうずくまる作者には、長い冬を越えて世の中に春をもたらす音として聞こえたのだ。読点を置いて「春」で収めたリズムが力強い。(鹿取)
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