かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 340

2024-11-07 15:34:43 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 渡辺松男研究41(2016年8月実施)
    『寒気氾濫』(1997年)【明快なる樹々】P139
     参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子    司会と記録:鹿取 未放


340 湯気あげて日に乾きゆく杉の幹百本千本なべて直立

     (レポート)
 杉を植樹した山の斜面をみることがある。霧が晴れようとしていたのか、いかにも高温多湿の日本の風土が思われる。(慧子)


     (当日意見)
★晩秋とか冬の光景でしょうか。日が射してきて木の幹が湯気をあげながら乾いてい
 く。木が百本も千本も湯気をあげながら整然と並んでいるのでしょう。その直立の姿
 に作者は感動している。直立は当然とたいていの人は思っているから感動などしない
 が、ここに作者独特の感性がある。ちなみに『けやき少年』には、ベクトルの方向は
 逆だが次のような辛辣な歌がある。(鹿取)
  木の直立をうたがわぬ人にきょう会いて退屈はわれを震えあがらす

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