かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 192

2024-01-29 16:25:18 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究23
    【眉間】『寒気氾濫』(1997年)79頁
    参加者:泉真帆、かまくらうてな、渡部慧子、鹿取未放、
        S・Iと鈴木良明は紙上参加
    レポーター: 泉 真帆 司会と記録:鹿取 未放
            

192 石の上の蜂いっぴきの死へそそぐ四十五億歳の白光

      (レポート)
 太陽は誕生して四十五億年がたつのだ。その白光に、はかない命の死が照らされている。献花や献香のように献光ということばがあっていいのかもしれない。作者のいつくしみのまなざしを感じる。(真帆)


      (紙上意見)
 宇宙が生れて、93億年目、地球が誕生した。45億年前だった、その時、宇宙のどこからか、光が地球に届いていた。同じ光が45億年かけて、一生を終えた蜂に降り注いでいる、瞬きのような一瞬、いやそれよりも短い、蜂の生涯だった。もしかしたら、ハタラキ蜂だったのかもしれない。ふと、人の一生を重ねてみたくなる。(S・I)


 蜂は太陽に挑んだのだろうか、それとも太陽に生かされたのだろうか。ともあれ、蜂は日当たりの良いところで死んでいることが多い。太陽は45億年前頃に誕生しているから、蜂の死骸には「四十五億歳」の白光が降り注いでいるのである。(鈴木)


     (当日意見)
★「献光」って造語でしょうが、いいですね。(慧子)
★松男さん、「四十五億歳」のような歌い方をよくしますね。(鹿取)

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