Days of Dragonflies & Moths

トンボや蛾に関わる記事中心。
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写真集「関東甲信越のトンボ2010plus」

百蛾夜行 第四巻

2007年07月07日 | 
豹紋の夜

すっかりルーティーンとなってしまった週末の山奥回りである。
ここのところ毎日朝が早いので、夜は眠気との戦いになってしまう。
七夕の前夜は、どんな蛾で埋め尽くされているのだろうか?

下界は雨がぱらぱらしていたが、山にさしかかると地面は乾いていた。
しかし月も出ておらず、まあまあの夜となった。
低山のポイントでは、蛾影もまあまあだ。これは期待が持てるかも?

わざともったいをつけてゆっくり見回ってみると、早速初物を見つけた。
いずれは必ず出会う種類の一つと思っていたセアカヨトウである。
装飾を施した青銅器のような渋い模様が特徴だ。
曇りの晩と言うことで、蛾の動きもせわしなく、下手に踏み込もうとすると
たちまち物好きのホソバやらなにやらがたかってくる。
今年の救いはカメムシの少ないこと。去年はこれがどこに行っても沢山出て
その悪臭たるや耐え難いものだった。今年は蛾以外の昆虫は地味だが、ふと
見渡してみると偶然の産物か面白い光景も見られる。


一瞬異種間交尾かと思ってしまった微妙なショット。
象がキリンに恋をした話は有名だが、これはさすがにないだろう。



夏になるとこういう光景も見られる。
オオムラサキ、スジグロチョウ、時にはゼフィルスもやってくる。
これはゼフィルスではないが、夜のトラフシジミ。


そんなこんなで他の虫に目がいっていると言うことは、蛾の収穫はさして
芳しくなかったとも言えるのだが、まあまあそこそこ面白い初顔には
出会えた。アオケンモン、クロフシロエダシャク、そしてコスカシバも紛れ込
んできていた。
このあたりのメンバーも、いずれは山でお目にかかれると予想していた連中だ。


七夕前夜の初顔其の一 
1.ナカシロオビエダシャク(初ではない) 2.アオケンモン 3.フタスジアツバ 4.クロフシロエダシャク 
5.キオビカバスジナミシャク? 6.ルリモンシャチホコ 7.セアカヨトウ

1は当初、よく調べずにクロスジハイイロエダシャクと記していたが、
ちゃんと調べたらナカシロオビエダシャクの変異と判明(一種減....)


カトカラはワモンが一頭と寂しく、その他、ミクロ系もそこそこ怪しいのが出たが、
あまり長居するのもなんなので、小一時間で切り上げ、標高を上げにかかる。

まずは峠のポイント。
天候はまあまあだが、飛び回っている蛾は小型種が中心だ。大型種はエゾシモフリ、
クルマ、ウンモンなどのより低地でも会える仲間しかおらず、目新しいところでは
ハンノケンモンの姿が目立ったが、生体は初めてではあるものの初物ではなかった。
ここでは、もういい加減会っても良さそうなものと思っていたルリモンシャチホコ
とマダラメイガのDioryctria sp.を新たに得たのみ。


マダラメイガトリオ 
一番左はまだ調べていない(初顔かどうかは微妙)。真ん中はおそらくヒメトビネマダラメイガ(初)。
右は、Dioryctria sp.(初) 割と大きく、暗がりで見たらツヅリガの一種に見えた。


カトカラは皆無。大した蛾影もなく車の往来も少なくないので、別場所へと移動する。
とりあえず洞窟&自販機ポイント。二週間ほど前、下界はこの蛾の姿ばかりが目についたが
今や山奥で盛りである。しかも他の蛾は殆どいない!いてもホシオビコケガやまだ調べてない
小型のキヨトウ系、ミヤマエグリツトガ e.t.c.・・・といった何とも地味なメンツだった。
かろうじて自販機でキオビカバスジナミシャクではないかと思われる小さなナミシャクを
見たに留まった。この仲間は新鮮な個体の綺麗さは幾ばくかと思うが、残念ながら擦れた個体
ばかりに出会う。


ここで繁殖しているのか?と勘違いしてしまいそうな光景


ヒョウモンエダシャクはチョウっぽいメジャー感の漂う蛾だが、よくよく見ると、前翅は
白地に墨を吐いたような色合いである。墨の黒という色と白の織りなす色世界は幽霊画など
にも見られるが何ともいえず不気味でその配色を見ると本能的に恐怖感を感じる。美しくも
あるが怖さも持った蛾と感じる。目の良い鳥もこの配色を見て恐れをなすのではないだろうか?



ちょうど旬なのだろうが、山奥まできてこれとは・・・
何とも呆れる光景だった。


ここも早々に見切りをつけて、今度は林道の集落付近へと向かう。
手前の分岐点でクロテンケンモンスズメを見かけたが、写す気も起きなかった。
少し進んだ先の明かりでも蛾影は地味で、ノコメセダカヨトウやホシシャク(生体は
初めて)などが見られただけで、すぐさま見切りをつけた。かろうじてウスイロアツバ
の初顔があった。


明かりに来ていた大型のクワガタ♀

残るは頼みの綱、渓谷沿いのポイント。
蛾影は少なくはないが、なぜかどの個体も擦れている。


七夕前夜の初顔其の二
8.ウスイロアツバ 9.ハスオビマドガ 10.コスカシバ 11.オオナミスジキヒメハマキ? 
12.ホシギンスジキハマキ 13.シロアシヨツメモンヒメハマキ 14.ツマグロギンハマキ
キヨトウ系などまだ調べていないが、現状不明のマダラメイガ一種を除き15種追加。


無期限暫定 テンオビヨトウ(初) 16種追加 通算1333種目
※その後の調べで過去に見ていて同定していなかった二種ニセクロクモシロキバガ、
キタウンモンエダシャク(いずれも6月撮影)を追加し、7/10現在で1335種となっ
ている。


結局、最後のポイントでは、ずっと探していたフタスジアツバにやっと会えた他、
擦れた新顔を僅かに得られただけに終わった。
今回、初顔はそれなりに出たが、今ひとつ派手さに欠ける夜だった。
帰り道にタカネの羽化でも。。。と最初思っていたが、既にその気は失せていた・・・笑い。


ホシシャク、ハンノケンモン(右上)、同開翅状態(右下)はいずれも生体に会うのは初めて。
バンタイマイマイ(左下)は埼玉では初めてお目にかかった


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