関東甲信越は一足早く梅雨が明けた。
このあたりだけ梅雨前線が消滅したらしい。
個人的な予測では、そろそろ梅雨明けだろうと思っていたが、
見事に予想が当たった。
梅雨が明けると、いきなりの猛暑である。
もう何年もの間、この時期は忙しく過ごしていたが、体が空いていたら
一度は行ってみたいと思っていた場所があった。
今年は、幸いからだが空いていたので、長年の願望を叶えることにした。
そこに行くのは、子供の頃から憧れていた蝶を見るためである。
目的は無事見られたのだが、今回は割愛する。
ちなみにトップも上の緋縅手乗りも連れが撮影したもの。
標高を上げるとそこは別天地だった。昨年から何カ所か別天地には
出向いているが、今までで最も感動した景色かもしれない。
途中の水辺には蜻蛉も飛んでいた。
山に登るとこの時期の定番、アキアカネもちらほら。
強風のために、蝶は種類が非常に少ないが、ヤマキだけは
あちこちで見られた。
さて、今回、別天地を訪れたのは、いくつかの複合目的が
あってのことだが、隠れた大目的も実は存在していた。
それは・・・
もう何十年も昔の話。
自分はまだ小学校低学年だった。
蝶が好きな少年だった。
自分が住んでいた埼玉県の熊谷市は、暑さで有名になったが、
子供の頃とはいえ、さほど自然が豊富ではなく、蜻蛉のいる
池もなかったし、少々の草むらや土手と田んぼ、小川がある
くらいだった。
そんな環境で見られるのは、蜻蛉ならアキアカネにシオカラトンボ、
ハグロトンボ、カトリヤンマ、アジアイトトンボ、たまに、ヤブヤン
マ、ハラビロトンボ、ミヤマアカネ、ギンヤンマ・・・
蝶は、モンシロチョウにスジグロチョウ、キチョウ、モンキチョウ、
アゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ、ヤマトシジミ、ベニシジミ、
キタテハ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、コミスジ、
ゴマダラチョウ、イチモンジセセリ、ヒメジャノメ、キマダラヒカ
ゲ、たまにツマキチョウ、ヒオドシチョウ・・・といった住宅街の
蝶だった。
そんな中で色々な虫をとって遊んでいたのだが、ある年、モンシロ
チョウにしては小さく、やけに羽が細長く、胴体も細長い、奇妙な
白い蝶がたくさん発生したことがあった。
図鑑を調べて、それはヒメシロチョウであるとわかった。
普通にとれたので子供の自分には、ヒメシロチョウは普通種という
図式ができあがってしまっていた。
何頭かは採集して標本も作ったと思うのだが、小学校低学年頃だか
ら、管理能力なんてあるわけなく、当時のものは何も残っていない。
しかし、考えてみるとそんな埼玉の低地でヒメシロチョウなんて、
普通はあり得ないことである。
食草毎誰かが山から持ち帰ったものについていたとか?何かの偶
然が重なってある年だけ見られた可能性もある。
そんな遠い思い出の中で、ヒメシロチョウは、幻の蝶になってしまった。
今回の別天地行きに際し、せっかくだから、その幻の蝶に会ってみ
ようと言うことになったのだ。
とは言いつつ、帰りの時間も迫っているので、通りがかりのいそう
な場所を一カ所選んで、10分ほど時間をもらって、周辺をぶらつく
ことにした。
梅雨明けの晴天なのだが、予報通り風が強く、蝶はほとんど現れない。
たまに現れるのは、最近やたら目に付く機会の多いモンキチョウばか
りである。
そんな中、もう一踏ん張り・・・と見回った草むらで、小さな白い蝶
が一頭だけ飛んでいる。しかし、草むらの奥にいてすぐ見失ってしまう。
時間もないし、あきらめかけたとき、その蝶はこちらまで飛んできた!
落ち着きなく飛び回るが、やっと止まってくれた!!!
おお!ヒメシロチョウだっ!
幻の蝶との数十年ぶりの再会であった。
その一角では、まだ会う機会の持てなかったこれらの蝶にも会えた。
時間もなくていい加減なショットになってしまったが。。。
本当はもっとたくさんの未見蝶に会う予定だったのだが、大風に祟られてしまった。
また近いうちに訪れてみようと思った。
話は変わるが、熊谷市立図書館3F美術展示室での展示を早速見てきた。
その内容は、飛ぶ生き物の世界と題して、鳥、獣、昆虫など飛ぶ生き物をたくさん展示する
という共催展である。その中で、当方のトンボ写真も38点飾っていただいている。
今回の展示に際し、お話を下さり、プリントおよびパネル作成までしていただいた、自然の
博物館U氏には深謝する次第である。展示の方向性からして、身近なトンボ、埼玉にゆかり
のあるトンボを扱っているため、当方イチオシのトンボ写真やインパクト重視の写真が少ない
のが少々残念ではあるが、今回は大変ありがたい話を頂いた。共催展ということで数多くの
昆虫標本、鳥獣の剥製(博物館より貸与)を展示しており、それらだけでも見る科値は十分
にある。8月30日まで。