その列車とは”小名浜お買い物列車”と名づけられた団体臨時列車で普段は貨物列車しか走らない福島臨海鉄道にJR東日本の14系客車が乗り入れ、それを福島臨海鉄道の機関車が牽引すると言う列車でした。情報を得たとき、これは素晴らしい被写体になると喜び勇んで撮影に出掛けた記憶があります。
当時の福島臨海鉄道の社長には某大学の鉄研OBの方が就任していて、同社在任中に一度はJRからの乗り入れ列車を設定したいととの意思をもたれている事は噂話で聞いていました。しかしまさか、それが現実の事になるとは思っても見ませんでした。
臨時時列車が現実に走るまでの裏話は知る由もありませんが、貨物列車しか走らない線区に旅客列車を運転するためには、いくつものハードルを越えなくてはならないのは予想がつきます。
特に各省庁への旅客営業の一時的な認可を得るためには、わずか二日間の運転のためにかける労力として、果たして報われるのだろうかと思えるほどの作業量だと察しがつきます。しかし、社長は鉄ちゃんのど根性とでも言うのでしょうか、幾多の困難を乗り越えて97年の12月に二日間だけJRからの直通列車運転にこぎつけたました。そし当日、地味な臨海鉄道としては桁違いの撮影者の数で沿線は振るわっていました。
その後も小名浜の花火大会にあわせてキハ110系が入線したとこもありますが、すでにJR東日本自体に客車が減少してしまった現在、機関車が牽引するこのお買い物列車がまた見られる可能性は低いようです。

JRとの接続駅である泉を出て小名浜駅に向かう団体臨時列車。普段は貨物列車しか牽引しない福島臨海のDLにとっても思っても見なかった晴れ舞台だったのでしょう。 97,12,21 101レ