緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

随意楽瞬時

2013年09月30日 | つれづれ

時々のぞくフェースブック。
メッセージには、受信箱とその他と2つあることを知りませんでした。
何気に、開けてみたその他のボックスに、
初めて見るお名前が。

私の出身地の大学の医学部に通う学生さんからでした。

随意楽瞬時

この言葉を検索していて
私のブログにたどりついてくださったようでした。

しかも、この記事の学校出身で、
バスケ部だったとか。

バスケットをやっていた次男とは
年もあまり違わず、
もしかすると、どこかで
すれ違っていたかもしれません。

こんな御縁もあるのだなあと思いつつ、
その方からのリクエストで、
この記事をFBにも繋いでみたいと思います。



(以下、再掲です)





次男が中学生の時のこと・・・


進学校では、ピカイチの中学の体育館。
応援旗に目が留まりました。


「随意楽瞬時」

随意とは、”その時々。思うまま。束縛・制限のないこと”

『心を解き放って、その瞬間を楽しみなさい・・』

ということでしょうか・・




その学校の試合。

最終の第4ピリオド、残り数分。
野球で言えば9回裏2アウト・・・
負けていたその学校はタイムをとりました。

チーム全体が輪になっていました。

闘魂 魂をみせろと罵声が飛ぶかと思っていたのですが

その時、驚いたことに
監督の言葉にどっと笑いが起こりました。

子供達は心から楽しんでいる様子でした。



負けはしましたが、すばらしい試合でした。



ありがちな応援旗には、
必勝、常勝、忍耐、根性・・
などと言う言葉が並びます。

人生も、耐えること、頑張ることを求められます。



一方で・・

心を解き放って、その瞬間を楽しみなさい・・

「随意楽瞬時」
ずいい、しゅんじを たのしむ 
(で、いい?)

何と良い言葉だろうかと思いました。



お馴染み・・スラムダンクに何度も出てくる言葉
「バスケットは好きですか?」
何か繋がるものがあります。



心から、人生を楽しみたい・・なあ・・

患者さんとの会話が
この随分昔の思い出を思い起こさせてくれました。







治癒することが難しい状況で
不条理に向き合うことを余儀なくされる現実・・


その中においても、
人生は楽しむことができるのだと、
患者さんとともに
医療者が、
きちんと感じられるようになるには
押しつぶされそうになる場面を何度も何度も乗り越える経験があって
できることなのではないかと
最近、とみに感じるようになりました。




鎮痛薬の投与方法は
マニュアルやガイドラインで標準化されたものを
伝えていくことができるのですが、

こうした不条理の中に、
楽しみを共に発見し
励まし、喜びあっていくことは、

医療者一人一人の
感性や
歩み寄りや
自分の変容を求める勇気などによるため

教えて、できるようになるものではなく、

ここが、緩和ケアの一番難しいところだと
日々、頭を抱えている自分にもまた、気づかされています・・


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13 コメント

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質問があります (マコ)
2006-07-28 11:39:37
はじめまして、毎回 拝見させていただいてます。

先生に質問があります



もし、先生が重い病にかかったとしたら、自分はどうなると思いますか?医学の知識があるがゆえに、一般の人とは違い自分の病状、そしてその先の事がよく分かると思いますが、医師の立場から見て先が長くないと分かってても 前向きに病気と闘う事が出来ると思いますか? それとも、もうダメだと言って諦めてしまうと思いますか?



医学の知識が多少ある人(学生)が病気になってしまって、私はどう励ましていいか分からないでいます。先生教えて下さい(>_<)
返信する
Unknown (aruga)
2006-07-28 23:09:04
お訪ねくださってありがとう。そして、ご質問ありがとう。



医学的知識は基本的知識。自分が罹患したら、医学一般としてではなく、自分の病状と治療効果について納得できるまで勉強をするでしょうね。その上で、自分がどのような位置にいるかで、どのように向き合うか悩むでしょう。



医学知識があるかないかで、人の支え方は代わらないと思いますよ。励ますのではなく、話を聞くことが大切だと思います。病気についてどのように説明を聞いていて、それについてどのように感じているか。そして、どのようしてあげればよいか迷っているけれど、力になりたいと思っている自分のことを率直に話してみたらいかがでしょう。

何をしてあげたかではなく、悩みながらも傍にいることに意味があると思います。どうしたらいいんだろうと思っているマコさん。ご友人(でしょうか)の方は幸せな方ですね。
返信する
Unknown (マコ)
2006-07-29 14:44:30
先生、コメント有難うございます



聞いて頂けて気持ちが楽になりました

私がしてあげれる事をしようと思ってます。傍にいることぐらいしか出来ませんが…。



先生 本当に有難う御座いました
返信する
Unknown (がん治療中)
2008-10-11 11:08:17
「随意楽瞬時」
『心を解き放って、その瞬間を楽しみなさい・・』

この言葉って、今の自分の胸に突き刺さります。

人間は、瞬間瞬間を生きてるんですね。
だから、今を大切にしなくてはいけない。
そして、この瞬間を楽しむんですね。

色々な気づきを頂きありがとうございました。
返信する
随意楽瞬時 (宮口式記憶術実践中)
2008-10-12 17:36:16
自分もスポーツやっていた人間なので
色々、昔のことが甦ってきます。

昔は、グラウンドで水を飲むなとか激しいトレーニングをやれとか、根性見せろとか、そういうものが主流でしたが・・・

それが全て正しいわけじゃない。

楽しんでた方がいい結果がでることが多い。
楽しんでいた方が、苦労せずに結果がでる。
そう思う今日この頃です!

『心を解き放って、その瞬間を楽しみなさい・・』

いい言葉です!!
返信する
お立ち寄りありがとうございます。 (aruga)
2008-10-12 22:46:42
がん治療中さん、宮口式記憶術実践中さん、コメントありがとうございます。
言葉には、力がありますよね。共感してくださり、ありがとうございました。

リンク先におじゃまさせて頂きました。
利潤が関係するリンクのあるコメントは通常、公開とさせていただかないことが多いので、今後、ご理解くださいますようお願いいたします。
返信する
今を楽しむ心と歩み寄る心。。 (ぴょん)
2011-08-24 19:20:12
ボランティアを初めて3年。


今を楽しむ心と歩み寄る心よりも、慣れと、慢心になりつつあり。。


日々反省です。。
返信する
ぴょんさん (aruga)
2011-08-24 23:00:43
ご無沙汰しています!!
ボランティアをはじめて、もう3年になるのですね。素晴らしいなあ。
支援を継続することって、大切で、大変なことだと思います。
そうした中で、さらに、慣れと慢心に気をつけようと思われていること、私も、見習わなければ・・と思いました。
返信する
素敵ですね (toru)
2011-08-27 01:35:34
はじめまして。

プレガバリンの情報を探していて、ここにたどり着きました。私は外科医ですが、緩和ケアの基本教育に関する指導者講習会に参加したり、緩和ケアの道を歩み始めています。

「随意楽瞬時」良い言葉ですね。以前、本で読んだ小林正観さんの言葉を思い出しました。

過去は「past」、未来は「future」、現在は「present」。そうです、今、この瞬間がプレゼントなのだと。

現在を大切に、今日一日を大切に、今できることを自分なりにやってみる。それでいいんじゃないか、と思う今日この頃です。
返信する
toruさん (aruga)
2011-08-29 22:07:17
こんにちは。コメントありがとうございます。

>現在は「present」。そうです、今、この瞬間がプレゼントなのだと

あらためて、「あっ、そうそう。その通りだわ」と思い入りました。
コメントを読ませて頂いた瞬間に、心が暖かになったのも、”楽瞬時”のtoruさんからのプレゼントだったのだなあと思いました。
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