緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

この2週間

2013年08月18日 | つれづれ

今週末は、大学のFD。

ファカルティーデベロップメント。

教員のスキルアップのための
1泊2日の合宿です。





先週は、夏季休暇を使って、
ポーランドとラトビアにいました。


ワルシャワの聖アンナ教会
とても、エレガントです。


ショパンが日曜日のミサで引いていたオルガン
三位一体プロテスタント教会


旧市街の街並み
この後の街に比べて、やや年齢層が高い印象でした。



ワルシャワのキュリー夫人が住んでいた家です。
街の路地にあって、見落としやすく
何度も地図とにらめっこしてやっと見つけました。




ポーランドの郷土料理の冷たいスープ。
赤カブ、サワークリームでピンクです。




ワルシャワやバルト三国の
どこかに行こうと始まった今回の旅。



ラトビアのリーガは美しい観光地でした。


教会のある広場。
チキンがとても美味しかったです。



リーガ大聖堂





最後にポーランドの京都と言われる
クラクフに立ち寄りました。




街の中心の広場




平均の最高気温は25度位の地にもかかわらず、
その週の日中の最高気温は39度という
驚異的な暑さで、
BBCの天気予報でも異常を伝えていましたが、
上海42度というニュースにかき消されていました。

夜は、20度位まで下がっていましたので、
日が暮れると外が気持ちよく、
たまたま入ったレストランがミシェラン2つ星でした。



すごく美味しかったアペタイザー



ラムチョップ
フレッシュジュースは絞たての
オレンジやグレープフルーツでした。




広場に面した聖マリア教会は
1222年に造られたもので、
息を飲むような美しさでした。


ポーランドの首都であったこともあるクラクフ
本当に、日本の京都のような位置づけです。





そんなクラクフから、
車で一時間のところにアウシュビッツがありました。


Bがさかさまになっていることで有名な門
ツアーのスタート地点です。

ツアーには、各言語のガイドさんがいます。
日本語は、お一人中谷さんとおっしゃる方がいらっしゃるとのことでしたが、
英語のツアーに参加しました。
30人位のグループでした。




そこには、まさに、
ピーター フランクルの夜と霧に描かれた場がありました。

夜と霧ー生きることを考える

凄惨さという言葉では表せないような痛みを感じました。
この本を読んでいなかったら、
私は、その場に足を運ぶこともできなかったかもしれません。

苦難の中に、人が生きることが語られていて、
だからこそ、何があったのか
感じてみたいと思いました。




この本の後ろの方に、
ピーターフランクルが、戦争が終盤になってきたころ、
病気の人々のケアにあたるようになっていたころのことが描かれています。

死が迫っていた女性が
窓から見える木が希望を語ってくれること、
その木は、女性に
「私はここにいる・・ 永遠の命です」と
語りかけていると。

点在する建物。
中には一つ一つ丁寧な説明と写真と物が展示されています。

ガイドさんから、これが病院だったと言われた建物を見たとき、
夜と霧の場面を思い出していました。

もう、何十年も前のことですから、
当時の木は残っていないと思いましたが、
それでも、何本も植えられている木を見ては、
その女性の視線を追っていました。





収容所跡の博物館は、
訪れた日も、30度以上あったと思いますが、
世界中から、訪れている人が驚くほど多く、
案内してくれた方も、その日は、
いつも以上に混んでいると言っていました。


荒涼としたビルケナウ収容所
線路の終点がこの収容所となっていて、駅名もない
ヨーロッパ各地から引き込まれた最終地点。


このサイトは、本当によく記載されています。
アウシュビッツ強制収容所に行って分かったこと、分からなかったこと

人の根源に触れた本に出会い、
その地を自分の目で見ることができたことは、
何事にも代えがたい大切な時間でした。







休みが終わり、当直があり、
そして、この週末の泊まり込み合宿。
来年のシラバス作成を基礎、臨床、公衆衛生
全科の責任者が集まって話しあいです。



9月からは、緩和医療学講座では
大学と大学院と両方の授業が一度に始まります。






合間には、移植学会でのシンポジウム、
(腎不全の緩和医療という、
研修医時代は、腎外科で過ごした私にとっては、
緩和医療へ進んだ原点の立ち位置です)
母校から全1年生への講演という
大変光栄な依頼を頂き、
乗り越えられるかこの秋・・です。

昨日、ちらっと観たTVでの
緒方貞子さんの姿。
私にとっての憧れの人です。
彼女のような現場主義を貫きたいのですが、
バランスをどう保つか、
私自身の課題です。





もう一つ、東京都の方にお知らせです。
東京都緩和医療研究会が立ち上がります。

今まで、都内には、企業さんと共催の
沢山の研究会がありました。
指導医等他地域に比べ、大変多くの医師がおり、
医師主導的な地域性のある意見交換の場や
症例報告を交える検討の場にかけていました。

今回の研究会は、まったく、企業との接点がない研究会です。
緩和医療学会の東京都在籍の現理事と
地方会委員の7名が発起人で準備を進めています。

来年、1月12日(日)には、私の所属先で
第1回目の学術集会を予定しています。

企業さん共催でない会ですから、
ここでの症例報告や教育講演は、
学会の専門医の申請時に
業績や教育歴として記載できます。

学会の都の現代議員の方に、
しばらくしたら、研究会の立ち上げと
学術集会のお知らせをお送りする予定です。






次々に仕掛けていく場を頂けることに感謝しつつ、
病棟への足の運び方と文献を読む時間の作り方に
悩んでみようと思ったお盆でした。

これから、日曜日の9時からのセッションに出かけてきます。

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2 コメント

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Unknown (jun)
2013-08-22 10:06:27
思慮深い夏休みですね(^^)
その後のお仕事の流れ、ワーカホリックに戻られるにしても、激流ですね・・・!読んでいるだけで溺れそうです(笑)
ヨーロッパの写真をちらちら見ながら、お身体を大切に乗り切ってください。
ヨーロッパ旅行はいったいいつ行けるようになるんだか、と思いつつ、ポーランドの旅は広島と同じく、子供のうちに見せておきたいところなのかも、とも思いました。
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junさん (aruga)
2013-08-25 18:36:14
本当に、いつか溺れそうです。
ただ、今を楽しめているのが、何よりだと思っています。それも、多分子育ての経験があったからなのでしょう。自分のために時間が使えることがこんなにもありがたいと感じられるのは、大変だったからこそ与えられた力だと思っています。
コメント、ありがとうございました。
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