上顎洞がんで何度か手術をなさっており、今回も洞内をデブリドマン(洞内の表面を削り取るような処置)をされた。左の目の下に感覚がないようなビリビリするような感じ、左の上唇がまるで5倍くらい膨れ上がったような麻痺をしたいやな感じ、この2つの不快感を訴えて緩和ケア科外来に受診された。
ちなみに癌は取りきれている。(何度も書きますけど、緩和ケアは終末期だけの医療ではないのだぁ~!!!)
オキシコドン徐放剤を40mgから60mgに主治医が増量したけれど、全然変わらないと言う。
明らかに神経障害性の不快感。目の下のビリビリ感をまずは何とかしたいということで、これはフィギュア3回転ジャンプくらいの難易度。鎮痛補助薬として、メキシレチン 300mg 3x (3回に分けるという意味)を処方した。判定は5日後とし、再来していただいた。
ぴったり5日目には、目の下の痛みは消えた!もう一つの、上唇の腫れ上がった様な感じは、5倍から3倍くらいの腫れあがった感じにはなっていた。
暫く、これで経過を見ていくこととしたのだが、その2週間後になっても、麻痺して3倍腫れた感じは一向に良くならない・・・
オピオイド増量もダメ、鎮痛補助薬もダメ・・・これは、4回転ジャンプくらいの難易度・・・
ここでひるんでは、緩和ケア医の名がすたるとばかりに、う~~~んと考えた。
オキシコンチン飲み続けて早1年。投与量は少量ではあるのだが、オピオイドローテーションをかけてみる事にした。
オピオイドローテーションとは、今国内で使用可能な医療用麻薬の、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルを順繰りに切り替えていくことをいう。理屈は掃除のモップと同じ。最初は良く取れるモップも、ごみが一杯つくと取れなくなってしまう。そこで、新しいモップに変えるとまたごみをくっ付けてとってくれるようになる。ごみが痛みというわけだ。
オキシコドン:モルヒネ=2:3の換算比になる。
オキシコンチン40mgだからモルヒネのMSコンチン60mgに切り替えてみることにした。この程度の量ならば、クロスオーバーも2~3日もかける必要はないので、一日で変更するスケジュールにして服薬方法を紙に書いて渡した。
そして、2週間後・・・・上唇の感覚が鈍く腫れぼったい不快感は・・・・ほとんど消えていたぁヨッシャー!!
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相変わらず、切れ味いいですね。本当にpain cntrolが上手い!先生に出会えた患者さんは幸せです。
有賀先生に質問です・・・毎日超多忙な日々をお過ごしのことと思います。その中での時間のやりくりはどのようにされているのですか?ブログも書いていらして・・・1日24時間平等にあるはずなのになんか先生には30時間くらいあるのでは・・と感じてしまいます。
時間の使い方先生の中でこれは・・というところはありますか?ぜひ聞いてみたいです。
本題から離れてしまいました。
あと・・胸水はどのようにとるんですか?
とれば呼吸困難感はやはり改善しますか?
時間のやりくりはとっても下手です。20代のころの半分以下のスピードと集中力になってしまっています。ブログは心の整理の場なので、夜な夜な思いついたときや週末の書き溜めで楽しんでいます。緩和ケアは非採算部門なので、治験や教育・研究などでがんばらなければ認めてもらえないのが結構辛いところです。
胸水は基本的には抜かないでオピオイドとマイナーでコントロールしますが、急性期病院では主治医がすぐに抜いてしまいますので、あくまでもそのサポートに徹しています。抜かないでコントロールするなんて、考えられないのだと思います。でも、やっぱり抜くと楽にはなりますよね。その時だけは・・