緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

Relationship-centerd care

2014年11月03日 | 医療

学会理事の先生が、「先生の所信表明、
Relationship-centered care という言葉を思い浮かべましたよ。」
と声をかけてくださいました。


Relationship-centered Care

Mary Catherine Beac
h, et al
All illness, care, and healing processes occur in relationship—relationships of an individual with self and with others. Relationship-centered care (RCC) is an important framework for conceptualizing health care, recognizing that the nature and the quality of relationships are central to health care and the broader health care delivery system. RCC can be defined as care in which all participants appreciate the importance of their relationships with one another. RCC is founded upon 4 principles: (1) that relationships in health care ought to include the personhood of the participants, (2) that affect and emotion are important components of these relationships, (3) that all health care relationships occur in the context of reciprocal influence, and (4) that the formation and maintenance of genuine relationships in health care is morally valuable. In RCC, relationships between patients and clinicians remain central, although the relationships of clinicians with themselves, with each other and with community are also emphasized.
(J Gen Intern Med, 21(Suppl 1); 2006)

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1484841/


1994年に初めて提唱され、
論文として掲載されているのは、
このgeneral internal medicine(総合診療)の
2006年の概念のようです。

重要な4つの要素を示されています。
これらを上手く日本語で説明したものが、
医学界新聞に2011年掲載されているようです。

(前略)

もともと“patient-centered medicine”という概念が1969年にBalintによって提示され,1980年代後半にStewartらがこれをさらに発展させてきた。そし て,1990年代に入り,医師中心,患者中心を越えた第3の枠組みとして,relationship-centered care, mindful practiceという概念が提示された。

 Relationship-centered care3,4)と は,さまざまな「関係」を中心にヘルスケアを構築するという考え方で,「関係」にかかわる人の個性を取り入れること,感情が重要な要素となること,相互作用の中で「関係」が生じていくこと,「関係」の形成と維持が倫理的に重要であること,という4つの原則が示されている。


4)の論文が、前述のものです。
さらに、この新聞の中で言及している
目にとまった言葉がありました。

 一方mindful practice5)で は,早急な判断をせず,未知のものへの好奇心を保ち,謙虚な心構えでいること,また,自分自身の心の動きを見据え,柔軟な思考過程でバイアスも認識しつ つ,共感的な医療実践を行うこと,などが強調されている。これらの姿勢を備えて臨床実践を行うことで,ケアの質が向上するとされる。

(出典; 週間医学界新聞 第2956号 2011年12月5日 宮田靖志(北海道大学病院))


(引用文献)
3)Tresolini CP, and the Pew-Fetzer Task Force on Advancing Psychosocial Health Education. Health Professions Educaion and Relationship-Centered Care. San Francisco : Pew Health Professions Comissions ; 1994.
4)Beach MC, et al. Relationship-centered care. A constructive reframing. J Gen Intern Med. 2006 ; 21(Suppl 1) : S3-8.
5)Epstein RM. Mindful practice. JAMA. 1999 ; 282(9) : 833-9.



けして新しい言葉ではないのですが、
こうした言葉の本質は、
古くから変わらないものなのだろうと思います。

単に患者さんを中心に据えるというだけではなく、
よりよい関係を患者さんも医療者も
ともに形成させていくことが
医療の中心にあるというこの言葉、
示唆に富んでいます。






今日、理事会が開催され、
第22回日本緩和医療学会学術大会大会長に
選出されました。

多くの方にご支持の言葉を頂き、
本当に、ありがとうございました。
2017年6月22日~24日横浜

他の学会に類を見ない、
多彩な職種や専門背景を持つ医療者の集団で、
医療内容も療養形態が在宅、病棟、支援チーム、外来と多岐にわたり、
ガイドラインなどで標準化、均てん化を目指しても
地域における文化や死生観は大きなウエートを占め、
緩和ケアは表現しきれない多様性に富んでいます。


1万人を超える学会員を持つ緩和医療学会。
プロフェッショナリズムをみがき、
リラックスした集う場で、
次の1年、またがんばれそう・・と思えるような
そんな心地よい距離感、コミュニティーの形成など、
この言葉のような関係性を大切にしたような場を
作りたいと思っています。

来年の総会を待ち、第20回を応援していきたいと思います。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« がん治療が大きく変わろうと... | トップ | 枯れる美しさ “照葉(てりは)” »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事