このところ、身近な方のがんのことで、
色々考えるところがありました。
抗がん治療が身体的な負荷を及ぼすようになってから、
緩和ケアを中心とした医療に切り替わるまでの間、
どうしてこんなことになってしまうのか・・・と
思ってしまうような医療機関、その診療内容、
医師とのやり取りは、予想を超えていました。
多くの医療機関はそんなことはないだろうと信じていますが、
理解ができませんでした。
途中からの関わりでしたが・・・
とはいえ、そこで医療を受けていることを思うと、
言いたいことを言ってしまうわけにもいかず、
患者さんとその家族が困らないことを
一番に考えるしかありませんでした。
夜間のナースコールが頻回だったということで、
鎮静の同意書を渡されるとか、
(その状況がせん妄というわけではありませんが、)
病院として、ハロペリドールも経口抗精神病薬といった、
せん妄を起こしやすい時に、そうならないようにしながら
睡眠確保ができる薬剤が一剤もない病院だったとか、
(その身近な方がどうであったかということではなく、)
日頃から多くの方に行っている診療内容が
垣間見れるような現状に、
鎮静の同意書を渡す前に、
整備すべきことがあるだろうと強く感じました。
そんな中で、思わずその医師に尋ねました。
がん診療に携わる医師のための緩和ケア研修会は受講されているかと。
受講済みでした。
患者さん方から言われることがあります。
緩和ケア研修会、受講数は10万人を超えたといえ、
本当に、それが診療に反映されているのでしょうかと。
今回のことで、
患者さん方がおっしゃっていらっしゃったことに
やっと理解が届いたような気がしました。
先月、日本癌治療学会学術集会の会場で、
患者さん団体の方で、患者さんからの相談を受けることもある方に、
その病院についてたずねたところ、よくご存じでした。
でも、Webサイトを見ても、
あまり、悪い評判が書かれていないのは不思議ですね・・と
お伝えしましたが・・
緩和医療を専門にするようになって20年以上・・
教育、臨床と力を注いできたように思っていましたが、
こんな風に、身近な方の療養生活が
心穏やかではないことを経験すると、
一体、何をやってきたんだろう・・と
その無力感で一杯だったこの数か月でした。
一人でも多くの方が、疾病に罹患したとしても、
同じ、今を生きる仲間として、
幸せを感じながら、人生を歩み切ってもらえるように
支援する・・
そんな目標を子育てで奮闘しながら
送ってきた医師生活の中に置いていました。
私と同じ年のその方の死は、
私の歩んできた道を一度立ち止まり、
振り返ることを静かに伝えてくれています・・
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私は麻酔科医として、緩和医療も学んでいる者です。私の身内が肺癌(Pancoast腫瘍)で、地域の拠点病院にお世話になりました。
右腕神経叢を中心とした激しい疼痛で、お新香を噛むことでさえ疼痛増悪するも、デュロテップMTパッチ12.6mgで、「依存症になるかもしれないから」とベースやレスキュー増量もなく、疼痛の緩和されることなく亡くなりました。
緩和の拠点講習も行っている病院なのですが、現実は…
しかし、少しでも他の患者さんに還元されるよう、やんわりと緩和ケア内科の先生と呼吸器の先生にお願いしました。
地域により格差がありますが、先生方のご尽力で緩和医療が着実に前進しているのは事実です。私自身も少しでも改善できるよう、努力します。
はがゆさ、いたたまれなさ・・、誰よりも近い思いを感じてくださっているのではないかしらと、胸が熱くなる思いでした。
先生がお書きくださっているように、少しでも改善できるように私もこれからも努めて行きたいと思います。今、どこかで同じような思いを感じながら頑張られている先生がいらっしゃると思うと、本当に励まされます。
シェアしてくださり、心から感謝いたします。
気持ちも新たにと行きたいですが、今回の記事についたコメントを見て私も思ったことがあったので一つ。
それは、昨日親の手伝いで親の職場にいたときのこと。
一通の電話が鳴り、事務員の方がとられました。
何やら話し込まれた後に、私の母(薬剤師)に、事務員の方が歩み寄り何やら言いたげでした。
そして、母が気づいた後に、何やら話し込まれていました。そして、ひと段落ついたころに、私に話してくれました。もちろん父も丁度寄っていたため一緒に話し込んでいました。
話の内容としては、今職場に働いて居られるAさんの家の方が癌を患っており、家での看護が出来かねる状態であるということ。今の段階では麻薬が入ることはないが、家で面倒を見ることができない場合、Aさんの職場であり親の職場も医療機関であることから打診のために医療機関側から連絡があったということです。
癌性疼痛がないにしても何れ痛みが出て、麻薬の処方が必要になってくるのは間違いないし、すでに麻薬施用者の期限切れの状態の父ですから更新するわけにもいかない。とはいえ、家族が面倒を見ることができないのに家におらせることができないわけですから、親の職場への入院以外にないということです。
それに父も一度苦い経験がありますから絶対に首を縦に触れる心情ではない。そう読んだ私でしたが、実際に父は首を縦に振り、Aさんから話が来たら考えようと言ったのです。
父の心の広さを感じました。そして何よりも、患者さんを一人でも助けてあげようという気持ちを持っていることに何か感じるものがありました。
医師が患者さんを見捨てたらそれではあんまりにも可哀そうです。aruga先生が見聞きした話は患者さんの心に十分により添えれているものではなかったと思います。
無力を感じるのは、患者さんのために何かできるという気持ちがあるのに、それができないからおこるものであると感じます。私はそう思われている医師の方の力になれる医療者をめざしたいと思います。
では。
温かさが身に沁みます。