緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

ジェネラリストというプロフェッショナル

2011年12月25日 | つれづれ

週末は、大学生達が6人ほど集い、楽しい時を過ごしておりました。

皆熱い思いを語っており、
”今時の若者”という言葉に代表されるような印象と大きく違い、
自分の意見を語り、共に議論してくれたことに
ちょっと、びっくりしながら、その逞しさに、感嘆していました。

そんな中で、
総合~学科という学科が増えてきたことに
時代の流れを感じました。

今までは、専門学科に特化していた学科が主流でしたが、
例えば、総合政策学科では、
例えば、法律、政治、経済、国際関係、外国語など、様々な専門分野を浅く広く学ぶようです。

で・・
結果的に、いずれも専門というほど追究しておらず、
自分にとって、何が専門なのだろうかというジレンマに陥ってしまうようでした。




これは、医学の中に、総合医/家庭医という分野ができたころに
よく似ています。

内科、外科、産婦人科、麻酔科・・様々な診療科をローテーションし、
患者さんにコンタクトする第一の入り口の役割を果たします。
結果的に、どれも浅く、広く学び、
目的は、患者さんを診て、
さらに専門特化した施設や診療科に紹介する必要性を見極めたり、
予防や健康管理指導をしていくことにあります。
前者は、トリアージ機能です。




で、私は、その大学生さんに言いました。
「ジェネラリストというプロフェッショナルなのよ」




法律と政治と経済と・・それぞれについては少しずつかもしれないけれど、
法律の専門家と政治の専門家と経済の専門家の間を埋める役割があり、
統合させるスキルをもったプロなわけです。

これは、がん治療における緩和ケアチームの役割と似ています。
外科、腫瘍内科・化学療法科、放射線治療といった専門診療科を行き来する患者さんを支援しながら、
これらの専門診療科間をにかわように繋ぎ合わせる役割。

Interdisciplinary professional

Interdisciplinary
は、日本語では「学際的な」と訳されることが多いのですが、
多専門分野を一つの規範に統合するものであり、
以下のような説明も見つけました。

Interdisciplinarity involves the combining of two or more academic fields into one single discipline. An interdisciplinary field crosses traditional boundaries between academic disciplines or schools of thought, as new needs and professions have emerged.   (From Wikipedia)



社会のニーズは、
法律や政治の世界でも
医療の世界でも共通した進行をしていることを、
若い人達に交わることで、知ることができ、
医療畑だけで生きてきたものにとって、
本当に新鮮で、刺激になりました。

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12 コメント

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わたしも研修医と話がしたいです (たこです)
2011-12-27 19:24:24
日々患者さんとの疼痛の緩和などで格闘中の自分を診て欲しい。うまく行った症例はなんていうことないですが、これだけが表に出て来て、うまく行かなかった症例は、なかなか出てこない。今年度の日本緩和医療学会では、うまく行かなかった症例が、ポスターで採用となり、なかなかレフリーのありがたさを感じました。うまく行かない症例もあると思いますが、先生はどのように対応されていますか。
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大学の要素 (くまごろう)
2011-12-29 02:12:33
みんな、今どきの若者ですよ。
平成生まれの子は、小学校の頃から、討論とか議論とか発表会を多く取り入れた教育を行っているので、ある面で、しっかりしている一方で、親が大事に育てているなあと思う面もあり、いろいろです。
でも世の中、普通の大学は、確実に変わりました。
少子化と、学生のニーズに合わせた魅力ある大学作りなのですが、今は、大学に入れるハバが広くなり、社会人でも、大学で学べる機会が多くなりましたから、就職してからも、大学をうまく利用して行くことも、今の時代に必要なことなのかも知れません。
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今年も終わりです (わかめちゃん)
2011-12-29 18:13:39
仕事が終わり、帰省準備です。

大学生も、きっと授業が終わり、みんなでワイワイのひと時だったのではないでしょうか?
友達のお母様の前で、いろいろなことが言えることは、やっぱり「今どきの子」ですね。
でも大学生活も楽しそうでいいですね。
純情な若者です!

今年もお世話になりました。
どうぞよいお年を・・・そして、風邪ひかないように・・・また来年も、コメントさせていただきます。ありがとうございました。
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ジェネラリスト (ALL)
2012-01-04 05:17:01
明けましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。
先生とつながりができ、私は大変心強く感じております。
又どうしようもない時はどうか助けてください。

私の発症と同時期に、母も難病を発症しました。
私も母も、確定診断がなかなか困難な経過で、加療まで時間を要しました。
どの専門医に診てもらうかの判断に、自分自身が大変辛い思いをしました。

限界はあると思いますが、総合的な見方と適切な判断と指示&支持、重要だと思っております。

専門性がどうしても注目されますが、トータル的な視点,視野は医療者として忘れたくないですし、患者としては医療者に忘れて欲しくないと実感しております。
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初めまして (あや)
2012-01-04 14:22:56
こんにちは。時々おじゃましておりましたが、初めての投稿です。
aruga先生のブログの読者だったサジタリウスさんが昨年12月9日に亡くなりました。
私は彼と親交のあったものです。
http://blog.goo.ne.jp/pf-vo-takami
こちらの9日前後にその時の様子が書き込まれております。宜しければごらんになってください。
先生のお話はわかりやすく、コメントにきちんとした返信も返って来るので、普段の受診の際もいろんな参考になるし、生活の励みにもなると話してくれたのを思い出します。
サジタリウスさんの代わりに感謝を。
今年もさらなるご活躍をお祈り申し上げます。
どうもありがとうございました。
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たこさん (aruga)
2012-01-05 23:25:38
コメントありがとうございます。
上手くいかなかったことを共に考えること。
本当に大切なことだと思います。

今、私の立場で上手くいかないことというのは、若い医師にある程度任せながら、あまり表にでないで調整することの難しさを感じるようなケースです。自分で調整できればもう少し楽なのでしょうが、教えることの難しさを本当に感じます。
磨くべきことは、実践的に教えながら患者さんに還元していく力だと思っています。
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くまごろうさん (aruga)
2012-01-05 23:29:49
アメリカの友人のベビーシッターさんは、住込みだったそうです。子供がだんだん大きくなっていくと、子供が学校に行っている間、そのベビーシッターさんは、大学に行き始めたのだそうです。その時間で単位を取りながら、何年もかかったそうですが、大学を卒業し、幼児教育の専門家となり、活躍をしていると聞きました。こういった大学の卒業が日本でも可能になるといいなあと思いました。頂いたコメントで、思い出したので・・
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わかめ (aruga)
2012-01-05 23:31:30
昨年、応援くださりありがとうございました。
年をまたいでの返信となってしまいました。
本年も、どうぞ、宜しくお願いいたします。
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ALLさん (aruga)
2012-01-05 23:33:48
ご指摘の通り、総合医と専門医、両者ともに、大切ですね。そして、綜合医としてのプロが増えていくと本当によいと思います。

今年もどうぞ、宜しくお願いいたします。
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あやさん (aruga)
2012-01-05 23:41:32
サジタリウスさん、そうでしたか。
震災の時、ガケさんというハンドルネームの方のコメントで、大切な方に繋がり本当に安堵しておりました。
あやさんをはじめとする多くの方々に支えられ、見守られながら最期まで歩みきられたことを知ることができ、心から感謝です。
あやさんと出会われてサギタリウスさんは本当にお幸せだったのだなあと、頂いたコメントから強く感じることができました。

繋がりがあった方の最期がわからないとき、時に心が宙ぶらりんになってしまうことがあります。こうして、コメントを入れて頂いたことで、私たちにも区切りを持つことができました。
あやさん、本当にありがとうございました。
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