写真は、カレッタ汐留の癒しの森
オープン前日に偶然出会ったクリスマスイルミネーションです。
最近、知り合いの医師のフェイズブック記事を読み、
思い出すことがありました。
結婚してすぐに消化管のがんと診断され、
治療を行っていた患者さんでした。
私がお目にかかったときには、
がんがダクラス窩に転移をしていました。
ダグラス窩とは、子宮と直腸の間の窪みのことで、
女性にだけある窪みです。
若い患者さんでした。
痛みのこと、吐き気のこと、生活のこと、
さまざまなことに一生懸命耳を傾けたいと思っていました。
結婚生活はほぼがんとの時間でした。
ご主人との関係は、どうされていたのだろう・・
普段の痛みは緩和されてはいましたが・・
緩和ケアを学び始めたアメリカでは、
性的な問題、痛みや苦痛感、気持ちの問題も含めて
耳を傾ける対象となっていました。
生活の質:QOLを維持し、改善するのが緩和ケアだよ
あなたが聞かなければ、患者さんは言葉にできないでしょ・・
躊躇する心に、そう言い聞かせながら
そっと、尋ねてみました。
小さな声で、答えてくれましたが、
それまででした。
何となく気まずいような空気が流れたことを
思い起こしました。
一般的に、多くの気がかりな症状に対し、
どうかな・・と思いながら、まずは、尋ねてみます。
その結果、それはあまり問題ではないことがわかれば、
それで、その話は終わりにして、次へ・・
そうして、一人一人の患者さんが必要とする支援を見極めていきます。
ですから、聞かないで、スルーしてしまうことの方が問題は大きいのですが、
この時ばかりは、触れない方がよかったのかもしれない・・
そんな感覚でした。
どんな風に聞くことができれば、
患者さんは負担なく答えられたのだろう・・
この経験からすでに15年以上経ていますが、
いまだに、自分の中で未熟で自信がもてません。
国内において、性のQOLを緩和ケア関連のセッション等で
議論がした経験が私はありません。
でも、がん治療期間が長くなってきて、
婦人科がんや乳腺、前立腺などの泌尿器科がん、
消化器がん・・さまざまながんで
言葉に中々できないような問題が増えているような気がするのです。
ふと思い出した過去の出来事。
未熟なまま、どこか封印していたように思います。
一度、フェイスブックの知り合いの医師に、
ゆっくりと話を聞いてみよう・・・
まだまだ、課題だらけです・・
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今日、沖縄で開催された「がん患者会のピアサポートを目的とする支援プログラムに関する当事者と専門職との合同勉強会」の参加しました。
若年性乳がんの心理社会的課題に焦点あてディスカッションでした。
37歳の時、そろそろ結婚を真剣に考えようなあ?いい歳だし子供も産みたいしと思っていた矢先の乳がんの告知でしたから「私死ぬの?」というより、「え?もう結婚できない?」「子供も産めないの?」ずーっと一人で生きていくんだとかなりのショックで恐怖で頭真っ白でした。
患者会の中でも、年齢、既婚か独身か、子供いる、いない、悩みどころの違いはありました。
50代の方が多い患者会の中では、そのような悩みはたいした悩みではないように思われて話すことも出来ず、疎外感を感じてまいした。セクシャリティーな話はできない・・でも若い時は大事な問題。
私は、こんな自分嫌で・・と自責の念にとらわれ恋愛にも消極的ななり、結婚が破断なったり・・
相談する人がいなかった・・できなかった・・
その方は今は話すタイミングではなかったのでしょうか。でも先生の言葉かけに何か考えることや気づきがあったのかもしれません。
自分だったらどうだったのだろうとしばし考えてしまします。
デリケートな内容なだけに難しい問題ですが、大事なことを思い出しました。
今日の勉強会参加して、そして先生のブログを見て新たな決意です。同じ想いしている若い人がいるはず。
呼びかけてみようとそう思った一日でした。
ありがとうございました。
年齢や、結婚や出産前後、それぞれで悩む内容が異なり、さらに、診断前後、治療過程においても、異なってくることに、改めて気づきました。
その患者さんとは、本当に困っていた時に、話し合えていたらもっと違ったのでしょうが、性の問題を通り越した心の問題になっていました。
答え辛い質問に答えてくださってありがとう・・そういうのが精一杯でした。
殆ど20代後半~30代前半の方々で、既婚者はほんの一部、血液の方々に婦人科一部という構成でした。
皆さん 「誰にも相談出来ない問題」 「同じ患者だからこそ言える」 とおっしゃる方々ばかりでした。
病棟看護師の時には、若いこともありましたが、全くセクシュアリティーの問題を意識しておらず、患者になっても年令的に自分でラインは引いていましたので、重大なことを見落としていたと痛感しました。
ピアサポートの有用性を実感しましたが、やはり医療者の介入は不可欠な一面があると感じました。
先生のその患者さんは、その時にはその反応であっても、経過によっては、先生の存在がより大きな救いになる場面があったのではないかと、私も思います。
既婚者の方が、「周りが優しい程 女性として妻としてうしろめたい」と吐露されて、私にとって新たな大きな痛みの存在の実感でした。
恋愛への不安と恐怖, 彼に事実をいつどう伝えるか, 結婚を彼や彼の家族に受け入れてもらえるか, 性欲減退, 性交痛 子供を見ると嘔気が出現するなどの拒否反応, 友人の幸せを祝福出来ない自己嫌悪…と問題は具体的で多様だと実感しました。
この会は、ご兄弟が血液疾患でご自身が骨髄提供された既婚女性が企画しています。
次回3回目は男性の会だそうです。
素晴らしい取り組みだと思っています。
機会があれば、継続して勉強させて頂きたいと思っています。
先生のブログでも、この問題について継続発信して頂けることを期待しております。
個人情報ですよね・・なんて言われてしまったら・・・
話題を変える、そっと部屋を出る、ごめんなさいと謝る、いろいろあると思いますが、医師として強く出るよりも、黙って下がった方がいい時もあるなあと最近思います。
踏み出さなかった時の後悔。
どちらを選んでも心は痛むのかも知れませんね。
もし、その時の後悔が言葉に原因があるのなら、次はきっとうまくいきますよ。そうやって私たちは育てられているんですよね、きっと。
私だけにしか伝えられないメッセージがきっとあるはずだといつも探しています。
そして自身の良心に従った行いなら、きっといつかは心に届くはずだと信じています。
「思い」は形や数字にはならないけど、一番大事なものだと思っています。
ピアサポートの様子をここにシェアしてくださり、ありがとうございました。
心に思うのものは、一人一人違っていて、それを安全に吐露できる場を作ることは難しさと大切さを持っているものだと感じました。
わかめちゃん
その時、その時で違いますよね。受け取り手、話し手の背景にあるものやその時の感情や、状況にどう合わせることができるかが大切なのだと思いました。
takeさん
その人の心に届こうと、思いを馳せることの大切さを感じます。伝えたいと思う前に、~について話しあうことをどのように思っているかということを知ろうとすること・・
いずれにしても、性的な問題は話し合うタイミングが難しいなあと思った次第です。