緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

昨日のNHK「医療~安心できますか」

2006年10月15日 | 医療

「日本の、これから 医療~安心できますか」昨日のNHK。 途中から見たのですが、医師不足→急性期病院の医師の疲労と病院の撤退→医師の増加は医療費の増加に繋がるため、医療費抑制のためには医師を急速に増やす予定はない。→医療費増加を抑制するためには、病院の機能分化の明確化(風邪で大病院受診などは急性期病院を忙しくしてしまう、社会的入院の療養型への移行)。 ここまでは、ストーリーになっていました。

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医療費抑制、財源維持のために混合診療の導入を行うべきか。 一方、必要とすべき医療が自己負担額により、受けられなくなっている患者がいる。 財源は、市場原理の導入ではなく、公的資金で賄うべきか・・・ でも、将来、財源は破綻しそう・・・ と流れていき、何が言いたい番組だったかわからなくなってしまいました。 

要は、「限りがある財源で、必要な医療に必要な費用を当てるには、医師の増加を抑えながら調整していくのではなく、一人一人が不要な医療は差し控え、ちょっとしたことはかかりつけ医に相談し、無駄な医療費を消費しない姿勢を持つべきである。 そうすれば、医師数を最小限にしなくても財源が確保でき、最終的には我々の安心した医療に繋がっていく・・ 」と、言いたかったのではないかと思いました。 

栗橋病院の本田先生とジャーナリストの伊藤さんが激しく言い合う場面などは、生放送の良さでしたが、結局時間内にまとめ切れなかったように感じました。 ちなみに、私は大学研修時代、医局は本田先生といっしょでしたので、20年ほど前になりますが、色々ご指導頂きました。 ご自分の信念に熱く、まっすぐな先生でした。

カナダで短期研修をしたとき、エドモントン総合病院の中に、レントゲン設備がないことに驚愕でした。 医療費抑制の結果でした。 多くの方が日本の医療に不安を最初訴えたそうですが、皆保険でどこでもすぐに医療が受けられることが当然という価値観の上にその不安は立脚していると思うのです。 胸部写真一枚、総合病院でとれないエドモントンの現状を見た時、日本の明日を見たような気持ちでした。 小さな政府で背負えるものは限度があります。 国が何をやってくれるのか・・から、一人一人の国民の意識改革へ変革していかなければならないのではないでしょうか。 

緩和ケア科外来は総合診療科の一角で開かせていただいているので、急性期病院の入り口での日々の葛藤を目の当たりにします。 「○○病院で昨日検査をしたのだけど、結果を説明してもらえないので、こっちでもして欲しい」 (紹介状と検査の写真や結果をお持ちください、二重な検査になりますから・・と看護師さん) 「熱がでたんですが、大きな病院で見て欲しいです」 (まずはお近くのかかりつけの先生に相談を・・と看護師さん) 「3軒病院にいって薬をもらったけど、納得がいかないので、そっちにもかかりたい。 えっ、紹介状?そんなのないですよ。薬?飲んでないですよ」 
番組の中で、肝炎や糖尿病の患者さんが出ていましたが、そうした患者さんにはしっかり医療費が回るように、一人一人が考えたいものです。

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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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2部構成と知らず・・・。 (kappa)
2006-10-15 23:49:23
第1部は、観そびれました…(再放送しないかな?)。

…なので、途中からの感想なのですが…。



『医療 ・ 福祉 ・ 教育 は、等しく受けられるべきもの』 という意見に賛成です!

…ただ、『等しく』 ない、カネだけでは解決できない(?)、様々な問題があるので、カネの議論をする前に、もっと問題を広く深く掘り下げて、議論するべきではないか?と思います。



出演されていた患者さんたちのような、深刻な状態にもかかわらず、病気となんとか折り合いつけながら頑張っている患者さんたちや、日々の生活もあるのに、必死に介護と看護と生活と…幾つもの草鞋を履いて頑張っている家族や、なんやかんや言われたって、目の前に苦しんでいる人が居れば、頑張っちゃう医療従事者・・・。

こういう人たちが、色々な意味で、報われる社会になれば良いなと思う…いや、そう変えていきたいと思いました。





あと…、議論がたち切れたり、大きな声に小さな声がかき消されてしまった所が、残念でした…。
返信する
kappaさん、2部をご覧になったのですね (aruga)
2006-10-16 19:16:12
中々面白い番組でした。次は、政府の医療費削減政策番組でしょうか・・医療系メールニュースに削減案についてのニュースが載っていました・・
返信する

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