緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

非定型抗精神病薬の舌下錠

2016年04月17日 | 医療

熊本の地震、心配です。

東北の震災では、津波の被害が大きく、
流されたか否かといった、生か死でした。
熊本は、直下型で、倒壊による負傷者が多く、
救急医療物資が不足していくのではないかと思います。

熊本地域の方々は、
大きな地震が数日間続いていますので、
夜も安心して眠れないのではないかとも
思っています。

1週間ほど前から急性気管支炎状態で、
動けなくなってしまったのですが、
もう少し元気になったら、
献血に行こうと思っています。

一日も早く地震がおさまりますように。
被害が拡大しませんように。






2016年3月に製造販売承認を受けた
抗精神病薬アセナピンマレイン酸塩
(商品名シクレスト5mg、10mg)は
舌下錠なのだそうです。

適応は「統合失調症」で、
MARTAに属する薬剤。

2016年1月までに世界61カ国で承認されており、

臨床試験での副作用が66.2%
傾眠(12.9%)、口の感覚鈍麻(10.1%)、
アカシジア47例(8.4%)、錐体外路障害35例(6.3%)
体重増加35例(6.3%)、浮動 性めまい29例(5.2%)など
重大な副作用は悪性症候群、遅発性ジスキネジア、
肝機能障害、ショック、アナフィラキシー、
舌腫脹、咽頭浮腫、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス
などが報告されているようです。
http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/product/sycrest/index.html

発売はまだ先のようです。
http://ameblo.jp/kyupin/entry-12145672348.html





オランザピンやクエチアピンも同じMARTAです。



今まで、
オピオイドの難治性嘔吐症に対し、

D2、H1両方の受容体遮断作用目的に
MARTAを選択することがありましたが、

経口薬のため、飲めない場合は、
結局は定型抗精神病薬のハロペリドールの点滴となり、
錐体外路症状、アカシジア、
飲み込みが悪くならないかなど
非定型に比較して、
副作用出現に注意が必要でした。

MARTAで 舌下錠はありがたいです。




しかも、思ったほど傾眠の頻度が高くないので、
セロクエルなどに比較すると、
日中にも投与しやすいかもしれない・・と
思いました。

一方で、不眠があって、
ベンゾジアゼピンはせん妄の引き金になりそうな時、
オランザピンやセロクエル、リスペリドンを
選択することがありますが、
代わりにはならないかもしれません。

もう一つ、非定型抗精神病薬では、
糖尿病では投与禁忌のものと、
投与可能なものに分かれますが、
副作用を見ると、これも、
糖尿病患者さんには投与できない薬剤
なのかもしれません。







舌下錠というと、
フェンタニルの速放性のものを想起し、
薬価は高くなるのかな・・
と思ってしまいます。


適応外投与のことですから、
記載は押えますが、、
がんの制吐剤ガイドラインには
同じMARTAのオランザピンは
出てきます。

患者さんにとって利益があるように
勉強はしておきたいと思います。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 理事選ありがとうございまし... | トップ | 今週も、引き続き咳・痰症状... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
MARTA (おがけn)
2016-04-18 13:22:48
MARTAでは?
返信する
おがけnさん (aruga)
2016-04-18 15:47:08
一番上だけMARTAとして、2つ目以降をMALTAとしてしまっておりました。
御指摘、ありがとうございました。
返信する
いつも (きみ)
2016-04-18 21:34:19
新しい薬剤の情報を教えていただけて、とても勉強になります!

患者さんやご家族のために、また、共に働くスタッフの支えになれるように、薬剤師さんにも声をかけて、これからも深く正確な知識を積み重ねていきたいです。

私は九州在住ですが、さほど揺れの影響がない地域に住んでいます。熊本と大分にいる親戚や友人は大変ななかでも頑張っていますので、出来る限りのことを協力したいと思っています。

先生も、お体どうぞお大事になさって下さい。
今年の緩和医療学会もですが、来年も楽しみにしています。
返信する
きみさん (aruga)
2016-04-20 00:00:18
コメント、ありがとうございます。

大きな地震がずっと続いていて、その都度、死傷者の方の数が増えていくように感じています。
日常品や医療品の必要度が、被害地域から徐々に九州全体に上がり、影響が出てきているのではないかと思います。
どうか、皆様お疲れが最小限に留まりますように、早く揺れが落ち着きますように。

学会の事、お心に留めてくださり、ありがとうございます。がんばりを後押しくださり、感謝です!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事