緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

最近、保険適応拡大していた鎮痛効果がある薬剤

2017年05月21日 | 医療

保険適応拡大されたもので
気がついていなかったもの

1.アミトリプチリン(トリプタノール®)
末梢性神経障害性疼痛

2.デュロキセチン(サインバルタ®)
変形性関節症に伴う痛み


(リンク先:PMDAサイト内添付文章)


1は、公知申請されていたものが認められて
適応拡大となったということでしょう。
本薬剤の末梢神経障害性疼痛に対する鎮痛効果は
沢山臨床研究報告があります。

(公知申請:保険適応外使用について、
薬理学的、医学的に有効性が確認されているものについて
臨床試験を新たに実施しなくても保険適応拡大の承認申請が
できる制度)



2は、変形性関節症では
複数の疼痛が混在するので、
デュロキセチン・・か・・・・
と、ちょっと考えてしまいました。

機序としては、下行性抑制系の賦活化による
鎮痛効果が考えられているようなので、
関節に分布するニューロン活動電位を抑制する
ということなのでしょう。
ただ、変形による骨膜刺激の体性痛の緩和は
神経が過敏になる前に、骨膜が刺激される機序に、
RANKLのような骨代謝、骨免疫なども関係するため、
非ステロイド性抗炎症薬がそこに関わる鎮痛機序とは
異なると思われるため、SNRIである本薬剤単剤では
どうかなあと思うわけです・・・

と、すると、変形性関節症は高齢の方に多いため、
効果以上の副作用が生じることも想定され、
注意を払う必要があります。

整形外科領域の先生方で効果の手ごたえを
教えていただけるとありがたいなあと思います。


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