今年10月に、可決された
第3期がん対策推進基本計画。
「ライフステージに応じた〇〇」が
がん診療のトレンドになってきました。
小児、AYA世代(思春期と若年成人:
この二つは分けてほしいという意見があります)
高齢者といった、それぞれの特徴を加味した
支援体制を持つことが医療者には求められています。
高齢者の支援を考えるときに、
加齢、老化・・はとても
大切なポイントになります。
高齢者の体が思うように動かせないとか、
老化だとかといった言葉で表されるものは、
疾病ではないため、病名はつきません。
ただ、病態名として老衰と言われていたものを
老年症候群、フレイルという状態名でよびます。
フレイルとは
加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像
(鈴木隆雄他.後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究 )
フレイルのスクリーニング方法
5項目中、3項目以上該当するとフレイル
1~2項目該当でプレフレイルと判断
これは、Lind Friedの基準を持ちいたもので、
今もよく使われるものですが、
精神・心理、社会的な側面を加味していないことから
さらに、様々な評価尺度が開発されています。
ただ、この尺度は教科書的にも知っておくべきものと
思います。
(Fried LP, J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001)
愛知県大府市地域在住の65歳以上で、
パーキンソン病、脳血管障害、認知症の
患者を除外した4745名について、
このスクリーニングを実施したところ、
フレイルは11.3%、プレフレイルは32.8%でした。
(Shimada H, et al. J Am Med Dir Assoc. 2013)
年齢別結果は以下のグラフ
(出典;同上)
予想以上に、潜在的なフレイル状態の65歳以上の方は
多いようです。
高齢者の方が、元気そうだからと
抗がん治療を行ったところ、
思っていた以上の副作用が出てしまい、
寝たきりになって、
動けなくなってしまった・・
などということを避けるためには、
事前に、こうしたスクリーニングを実施することは
とても、大切なのではないかと思います。
街を見ても、本当に
元気なお年寄りが増えてきました。
見かけだけではなく、質的なことも見て、
元気に長生きして頂ける支援は
とても、大切です。
主な疾病別にみた年代別受療率(人口10万対)
内閣府;第1章, 第2節, 3 高齢者の健康・福祉.平成29年版高齢社会白書.2017年
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_2_3.html
75歳以上のがん患者さん。
入院はもとより、外来通院治療患者さんも
増えてきました。
ご自分なりの生活を送りながら、
治療継続ができるよう
緩和ケアチームも意識していきたいと思います。