7月にはいったころ、患者さんに言われました。
「本当は春頃だと思っていたの。
だから、遺書を書いてあったの。
お葬式には、黄色いチューリップを
飾ってほしいって。
もう、7月でしょ。
難しいよね。」
私の子供達と同じくらいの
お子さんがいらっしゃいました。
色々あって、春頃
入院されたばかりの時は
「心配で。不安でたまらない」
と言われていたのですが、
この7月の頃になると
「しょうがないわ。
きっと、がんばって
生きていってくれるから」
お子さん達を信頼し、ご主人やご家族に委ねていらっしゃいました。
時々尋ねてくる姪御さんがいました。
4歳くらいだったでしょうか。
その小さな来訪者に尋ねられたことがあります。
「ねえ、死んだらどうなるの?」
「どうなるんだろうねえ。
星になるのかもしれないし
蝶ちょになるかもしれないって
教えてくれた牧師さんもいたよ
知りたいわね」
穏やかな7月でした。
その年の夏、
Dr. Bruera の所に 海外研修に行くことにしていました。
まだ、日本では概念すらなかった
オピオイド ローテーションをはじめとする研修目的をたてていました。
この患者さんのことが、とても、気がかりでした。
きっと、もうお目にかかれないだろう・・
黄色い花のハンカチを持っていていただきたい
そう思い、病棟に持参していきました。
でも、お別れのしるしになってしまうようで
結局、渡すことなく机にしまったままにしてしまいました。
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今は、その方が私を応援してくれています。思い出すと「先生、大丈夫、それでいいよ」って言ってくれているような感覚によくなります。
私にとっても、その人を失いましたが、その方は私にたくさんのことを残してくれました。
ここに書いて、何かを感じてくれた方がいらっしゃったならば、その方は、さらにここで何かを感じてくれた読者にも残してくれているのだと思います。
生き抜きながら残してくれた方々に、私自身心から感謝をしています。
繋がりを思い出させてくれたtakeさんのコメント、本当にありがとうございました。
何かを手放すと言うこと
何かを失うと言うことは、
何かを得ると言うこと
その方の声が聞こえてきそうですね、
「先生、ありがとう」
って。