新説百物語巻之二 2、奈良長者屋敷怪異の事
奈良の長者屋敷の怪異の事
奈良に長者屋敷きと言う古い家があった。
成るほど、昔はそれなりの人の住んでいた所と見えて、余程の大屋敷であった。
化物が出ると、噂されて、今は住む人もなかった。
しかし、近頃より道心者修行者の様な者達が、誰にことわる言う事もなく、住みついていた。
夜分になれば、月影にて、幾人も踊る影法師が壁にうつっていた。
其のかたちは、小坊主もあり、又すこしは大きな影もあった。
その影ばかりであって、そのすがたは見えなかった。
怪しい事であったが、近頃の火事で、屋敷も跡かたなく焼け失せてしまった。
森という姓の人が、見に行ったと、後にみづから語った。
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