江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

裸形の国  筆のすさび

2023-04-26 22:56:00 | 奇談

裸形の国

                                                                       2023.4
数年前、芸州(安芸の国:今の岡山県)の人が漂流して、どこかに国に流れ着いた。
その国の人は、皆裸であった。
その国の酋(おさ)が、時々、国を巡視するのを見たが、国王も王妃も裸であった。
芋がおおく生じ、土中に入れて蒸し焼きにして食べる。
芋の葉をとって、植えておけば、また芋が出来る。
穀類はなくて、食べることはない。

この裸の国付近に、安芸の人が難船して漂流していたのをオランダ船が助けた。
彼を、その裸の国に預けておき、翌年日本につれてきた。
というのは、漂流者を連れ帰ると、褒美の金が得られるからである。

武元景文は、その漂流者にあって、そのことを詩に書いたが、私は、それを失念した。

「筆のすさび」菅茶山、安政三年 より

 

 



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