裸形の国
2023.4
数年前、芸州(安芸の国:今の岡山県)の人が漂流して、どこかに国に流れ着いた。
その国の人は、皆裸であった。
その国の酋(おさ)が、時々、国を巡視するのを見たが、国王も王妃も裸であった。
芋がおおく生じ、土中に入れて蒸し焼きにして食べる。
芋の葉をとって、植えておけば、また芋が出来る。
穀類はなくて、食べることはない。
この裸の国付近に、安芸の人が難船して漂流していたのをオランダ船が助けた。
彼を、その裸の国に預けておき、翌年日本につれてきた。
というのは、漂流者を連れ帰ると、褒美の金が得られるからである。
武元景文は、その漂流者にあって、そのことを詩に書いたが、私は、それを失念した。
「筆のすさび」菅茶山、安政三年 より
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