狐狸が鍼医を呼ぶ
2020.1
江戸の日本橋に、一人の鍼医いた。鍼が上手であった。
盲目の人であった。
ある時、駕籠を伴って来た人がいた。
駕籠に乗っていくと、立派な家に着いた。
老婆が出てきて、病人の部屋に案内された。
数十歩の長さの廊下を通っていった。
病人がいたので、診察のため、腹をさわったところ、剛毛が生えていた。
それで、驚いて、手を放した。
触って見ると、顔は先が尖った獣であった。
それで、初めて、人でない事を知った。
しかし、治療を請われたので、腹等に鍼をさして治療した。
鍼医は、恐ろしく思い、帰してくれるよう、頼んだ。
すぐに、家に送り帰してくれた。
それから後は、怪奇なことは、起こらなかった。
狐狸の類でも、鍼が病気によく効くのを知っていて、
鍼医を招いて、病を治してもらったのだ。
寛政七年の事である。
以上、「半日閑話」太田南畝 より。
2020.1
江戸の日本橋に、一人の鍼医いた。鍼が上手であった。
盲目の人であった。
ある時、駕籠を伴って来た人がいた。
駕籠に乗っていくと、立派な家に着いた。
老婆が出てきて、病人の部屋に案内された。
数十歩の長さの廊下を通っていった。
病人がいたので、診察のため、腹をさわったところ、剛毛が生えていた。
それで、驚いて、手を放した。
触って見ると、顔は先が尖った獣であった。
それで、初めて、人でない事を知った。
しかし、治療を請われたので、腹等に鍼をさして治療した。
鍼医は、恐ろしく思い、帰してくれるよう、頼んだ。
すぐに、家に送り帰してくれた。
それから後は、怪奇なことは、起こらなかった。
狐狸の類でも、鍼が病気によく効くのを知っていて、
鍼医を招いて、病を治してもらったのだ。
寛政七年の事である。
以上、「半日閑話」太田南畝 より。
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