いつの時代も人というものはストレスで悩まされます。相対する人と人との軋轢ー対立する人と人の間に入って物事を進めるときなどは大変なストレスを感じ身体が蝕められます。
幕末から明治にかけて生きた勝海舟は正にその人と人との軋轢の中に生きた人物でしょう。しかし勝海舟と言う人物はこのストレスをうまく利用した人物のようです。幕末には長州征伐で対立する幕府と長州の間を幕府側の使者として取り持って和解交渉して和解は成立したものの上司から敵である長州とつるんでいると疑われ左遷されてしまいます。ストレスを感じるというかたまったもんではありません。正にストレスが溜まる状態。しかし勝海舟はここからが人と違います。悩むどころか暇が出来たと喜んで大坂から江戸に帰り好きな読書に専念するのです。ストレス解消法のキーボードは好きなこと楽しいことに転換すること。
同じ時期、大坂城には長州征伐の問題で14代将軍の徳川家茂がおりました。この方は歴代将軍の中でも純粋無垢の癖のある勝海舟でも惚れ込んだ人物でした。このころの幕府は朝廷と上手くいかず徳川家茂も幕府と朝廷の中の軋轢に悩んでいました。まじめな人物だけに当然ストレスは大変なものだったでしょう。残念ながら21歳の若さで亡くなってしまいますが過度のストレスが原因ではないでしょうか。こんな時に大坂城にいた徳川家茂の心を和らげたのが勝海舟です。悩んでいる若き将軍を海に誘い出し軍艦に載せて大坂湾を巡行しました。勝海舟が上手いのは軍艦に乗って上機嫌になった徳川家茂に神戸海軍操練所の計画の許可をこの時にもらったのです。徳川家茂のストレスもこの時に少しは解消したようです。
歴史の中のストレス解消法を考えながら悩める今を生きてみてはいかがでしょうか。
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