演芸見ブんログ

寄席・野球観戦等に行った備忘録を残しています

07/08/01 雷蔵八百夜~257夜~

2007-08-01 | 芸協見ブんログ
春雨や雷太…『古着買い』

三遊亭遊馬…『禁酒番屋』

春雨や雷蔵…『くやみ小僧』

《お仲入り》

三遊亭遊馬…『やかん』

春雨や雷蔵…『死神』


「八月はノンビリする」の舌の根も乾かぬうちに・・・。
ネタ出しで雷蔵師匠が『死神』、遊馬さんが『禁酒番屋』とあっては聴かないわけにはいきません。
ようやく梅雨も明け、汗を滴らせながら上野広小路から日本橋まで歩いて向かいました。
入口では雷蔵師匠自ら木戸に立ち、客案内をしてらっしゃいました。

開口一番の雷太さん。「古着買い」という初めて聴く噺ですが、出だしは兄貴分に買い物を付き合ってもらい、中ほどは兄貴分が店の番頭に啖呵を切るという内容。
まるで「壷算」から「大工調べ」になったような噺ですが、雷太さんの啖呵が見事でした!

遊馬さんの一席目は「禁酒番屋」ですが、遊馬さんは風邪をひいたそうでかなり声が掠れています。
自身の健康管理を恥じる言葉がありましたが、逆に普段大きな声を出す遊馬さんが声を出せないという、これはこれで滅多に聴けないことと前向きに捉えることにしましょう。
声は出なくとも遊馬さんの「禁酒番屋」は、番屋の侍の酔っていく様が素晴らしい。「しょうべん」と「しょんべん」も使い分けられていて場内大爆笑でした。

雷蔵師匠の一席目は「くやみ小僧」。こちらも初めてのはなしですが、雷蔵師匠のブログによると橘ノ圓師匠から稽古をつけていただいたとか。
その圓師匠は上方の橘ノ圓都師から教わったそうで、いわば上方から移ってきた噺のようです。
内容は「牛ほめ」などと同じように教わった文言を間違って披露してしまうというもの。悔やみの言葉にも“紋切り型”というのがあるのは知りませんでしたが、暗くなりがちな弔いの受付が笑いに包まれてしまいました。

「一席目の自分の声に自分で笑ってしまった」という遊馬さんの二席目。
上杉謙信と武田信玄の合戦場面を講釈調に語る所では“中手”も出たほどですが、遊馬さんのスケールの大きさが表れた楽しい高座でした。

雷蔵師匠は古今亭今輔師から教わった(前出のブログより)という「死神」。
今まで聴いた「死神」とはちょっと変わっていて、医者ではなく「行者」、呪文も「寿限無」を主体にしたものでした。
男と死神のやりとりをじっくりと、それでいて明るく聴かせ、最後はドキドキする噺を堪能させていただきました。