演芸見ブんログ

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07/08/10 柳家×(プラス)三笑亭 Vol.3 講談

2007-08-10 | 講談会・落語会
宝井琴柑…『鞍馬天狗と牛若丸』

三笑亭可龍…『猫と金魚』

柳家初花…『竹の水仙』

《お仲入り》

三笑亭夢吉(強制友情出演)…『権助魚』

柳家初花…『反対俥』

三笑亭可龍…『阿武松』


『講談二ツ目時代』と共に楽しみにしていたこの会。
可龍さんと初花さんが2席ずつに、講談協会の新鋭「宝井琴柑」さんが出演という触れ込みで、私も期待に胸を膨らませながら日本橋亭へと向かいました。

開口一番の琴柑さん。宝井琴星門下の小柄でカワイイ女流さんです。
調べてみると昨年4月に入門して6月に前座ということですから、キャリアは1年2か月
ところが声は大きくて聴きやすいし、何より解りやすい!
講釈師の全ての要素を兼ね備えているのではないかと思うぐらいの力量でしょう。
源義経が幼少の牛若丸時代に、鞍馬山での天狗とのエピソードはハッキリと澱みなく読んだのには感動を覚えました!
さすがに「鞍馬より牛若丸が出でまして、その名を九郎判官・・・義経にしておきなさい」のセリフはありませんでしたが、また新たに女流講釈の注目株を見つけた思いです。

可龍さんの一席目は「猫と金魚」
「平日の池袋演芸場のような入りで安心しました」と可龍さんがのっけから笑わせます。
私、この噺は大好きで、何よりもとぼけた番頭と主人との掛け合い漫才のようなやり取りがたまりません!
序盤からこんなに笑わせるなんて、この会はどうなるのでしょうか???

過去2回、早朝寄席と二ツ目勉強会で拝見したことがある初花さん。
先日の全生庵での「感謝祭」では、猛暑の中で脱水症状に陥り、なのにビールを飲んで“三途の川”の一歩手前に行き掛けたそうです。
それでも「いざとなっても墓はあるし、何より圓朝と並べますから…」と訳の解らない理屈から、名人・圓朝→名人・甚五郎とつないで本題に入りました。
宿屋の主人の変貌ぶりが可笑しく、なおかつサゲもきれいにまとめ上げていたのが印象的でした。

休憩中、日本橋亭では初めて見る『定式幕』だったのですが、開いた拍子にマイクが倒れてしまいました!
慌ててマイクを直す琴柑さんの後に、モギリで活躍(?)した夢吉さんが飛び入りで登場。
飛び入りと言ってもプログラムに名前が書いてありましたが、“強制友情出演”という矛盾した扱いに夢吉さんも疑問を投げ掛けていました
ニートな生活のマクラから、こちらも私の大好きな「権助魚」で大いに笑わせていただきました。夢吉さんの権助は最高です

初花さんの二席目は、後に登場した可龍さん曰く『反対俥…のようなもの』
本当に面白かったのですが、大変申し訳ありません。あえて詳細と感想は控えさせていただきます

トリは可龍さんの『阿武松』で、私は初めて聴く噺です。
この噺の中で主人公の長吉(後の阿武松)が2度目に世話になる錣山喜平治の部屋が『根津七軒町』となっています。
「真景累ヶ淵」でも同様ですが、私が子供の頃に乗った都電(20系統と40系統)の停留所は『池之端七軒町』でした。
根津と池之端、まぁ隣町同士ですからどうってことないのですが、初めて聴いた噺だけにちょっと気になってしまいました。
さて、この「阿武松」はもともと講談種なのでサゲがある噺でないのですが、可龍さんのくすぐりや長吉の大飯食らいの描写が見事で、飽きることなく最後までジックリと聴く事ができました。

全6席、それぞれが個性あふれた内容で、暑さも吹き飛ぶ楽しい時間を過ごすことができました