壬生寺 大念仏狂言 10月6日~三日間
秋の念仏狂言の時期が来た。因みに、壬生における開催日程は以下の通り、
4月29日から5月5日までの7日間 大念仏会(だいねんぶつえ)
10月の体育の日までの3日間 秋の特別公開
京都三大念仏狂言は以下の通り、
① 千本閻魔堂大念仏狂言
三つの狂言の中でただひとつ、セリフが入り観客を笑わせ楽しませてくれる庶民的な演劇で京都市登録無形民族文化財。上演日は節分と5月上旬(4月5日の花供養には鞍馬寺でも行われる。)
② 嵯峨大念仏狂言
壬生狂言と同じく宗教的な無言劇だが民族芸能として高い評価を受けて国選択・京都市登録無形民族文化財になっている。 3月、4月、10月に釈迦堂境内の狂言堂で一般に公開される。
炮烙割り
③ 壬生大念仏狂言
「カンデンデン」の鐘と太鼓の単純な音色がしばらく頭の中から離れない。無言劇なのでその音色を背景に所作が進んで行く。円覚上人が念仏を広める為に始めたが、狂言の中に念仏は一切出て来ない。
まずは人を集めて楽しませてから念仏を説いた。その際声が届かないので無言のジェスチャーで、道徳や善行を説明したのだ。出し物は30以上あるが、現代のモラル・常識には当てはまらない出し物も多い。最初の演目の「炮烙割り」も人間の狡さを現わしているが、炮烙を割る因果関係は現代に通じない。ただ何千もの炮烙が、舞台上から落下し土煙が上がるのは壮観だ。
また近隣の保存会の素人の方達の努力と熱演には感動する。六斎念仏踊りやこのような民間伝承の芸能が、猿楽・能・狂言と進化し、歌舞伎・文楽へと昇華した。そして近代の各種芸能に発展した。現代の我々が漫才やコントに爆笑するのは、このような宗教布教の活動・工夫のお陰を受けている。
現代人は、笑いのセンスは進んだのだが、江戸時代以前の庶民が当然に知っていた芝居のエッセンスを知らない。念仏狂言の解説書が無ければ意味すら分からないのは誠に寂しい。